【明治安田生命J1リーグ4節 川崎フロンターレvsガンバ大阪】この日の等々力劇場の主演はガンバ大阪だった

2020年11月1日

この日の等々力はガンバ大阪にとっての劇場だった

2019年のJ1リーグが開幕して約1ヶ月足らず、
ここまでのガンバ大阪は、昨季ほどの深刻さは無いものの、
3試合で8失点と決して順調とは言えない滑り出しだった。

このタイミングでガンバ大阪が乗り込んだのは、
2年連続でJ1リーグを制している川崎フロンターレのホーム、等々力陸上競技場。

今季の川崎は、3試合連続でドローと、こちらも順調な滑り出しとは言い難いけど、
”劇場”とも称され、J1リーグ連覇の原動力となった彼らのホームで勝つことは容易では無い。

そんな川崎相手に、何度もピンチに晒される場面はあったものの、
東口を筆頭に体を張ってゴールを守った守備陣。

そして、ひとたび攻撃に転じれば、
矢のようにピッチを駆け抜けるアデミウソンとファン・ウィジョに牽引される攻撃陣。

手に汗握る一進一退の攻防は、後半アディショナルタイムに、
左SBの藤春のクロスを右SBの三浦が押し込んで決着がついた。

カタルシスが爆発するアウェイゴール裏。

期待を裏切られて落胆してスタジアムを後にする事も多いけれど、
こういう瞬間を味わう度に「これだからサポーターはやめられないな」と認識させられる。

等々力では東口順昭に神が降りる

2017年も2018年も、等々力での川崎戦は悲惨だった。

スコアこそ、それぞれ0−2と0−1と僅差の敗戦だけど、
内訳をみると、防戦一方で終始シュートを浴び続ける試合展開で、手も足も出なかった。

しかしながら、本来であれば6点、7点を取られてもおかしくない展開の試合を、
サッカーの試合として成立させていたのは、
スーパーセーブを連発してガンバ大阪のゴールを守っていた東口だった。

今年の等々力でも例外は無く、東口に神が降りていた。

強風の影響からかキックの精度は安定していなかったけど、
「やられた!」と思った場面を何度も防ぐ姿は、まさに守護神という名に相応しかった。

アジアカップでは腰痛の影響もあって出場機会が無かった東口だけど、
コロンビア戦とボリビア戦のいずれかでは出場機会が与えられるはず。

この日の等々力で見せたようなパフォーマンスを代表でも発揮して、
その力を改めて日本のサッカーファンに知らしめて欲しいと思う。

倉田・高のコンビはボランチ問題の最適解となるか

昨季のガンバが、今野の戦線復帰まで降格圏を彷徨っていたことからもわかる通り、
なんだかんだ遠藤と今野のボランチじゃないと
ガンバはチームとして機能しないという問題を抱えていた。

しかし、そんな2人もそれぞれ39歳と36歳で、
この先何年もガンバの中盤を託すのは現実的ではない。

そんな2人の牙城を崩す存在として期待されている高も、
良い若手であることは否定しないけど、今季が開幕してからのパフォーマンスを見る限り、
まだまだ実力不足と感じる場面は多々あった。

しかし、ジュニアユース時代を過ごした古巣相手に見せた高の90分間のパフォーマンスは、
信頼を寄せるに値するものだったと思う。

良い意味で期待を裏切ってくれた高はポジティブな要素だけど、
中盤でコンビを組んだ倉田の存在もまた大きかったんじゃないだろうか。

思えば12年前、ユースからトップに昇格した倉田秋は、
ボランチとして出場したリーグ杯の浦和戦での鮮烈なパフォーマンスにより、
遠藤の後継者として期待されていた時代があった。

その頃は周囲の期待に応えられなかった倉田だったけど、
年月が経ち、かつての自分のように将来を嘱望されている若手と、
ボランチのポジションで共にプレーしている姿は感慨深いものがある。

倉田と高のダブルボランチが、ガンバが抱えていたボランチ問題の最適解となるか、
今後のプレーに期待したいところやね。

満員の吹田スタジアム神戸を倒そう!

次節はホームで神戸と対戦。

チケットが完売しているのは、ガンバに対する注目度が高いというよりは、
神戸のVIPトリオ目当てのところが大きいのは間違いない。

三木谷オーナーのリアルサカつくには賛否両論あるけど、
スター選手を多く獲得してチームの注目度を上げ、観客を呼ぶという考え方は、
プロスポーツが興行である以上は正しいと思う。

三木谷オーナーのマーケティング戦略の恩恵に授かって、
ガンバ大阪のホームであるはずの吹田スタジアムが満員になるのは、
嬉しいかな悲しいかなという複雑な気持ちだけど、
VIPトリオ目当てで吹田スタジアムに来た人たちが、
ガンバ大阪を好きになってくれるような試合を期待したいところやね。

川崎フロンターレ01ガンバ大阪
’90+1 三浦弦太