【YBCルヴァンカップ グループステージ3節 清水エスパルスvsガンバ大阪】数的不利がもたらした高い守備意識

2020年11月1日

チーム状態が悪いもの同士の対戦

直近のリーグ戦2試合を続けて落とすなど、
決してチーム状態が良いとは言えない今のガンバ。

とりわけ、リーグ戦6試合で15失点を喫している守備陣は、
立て直しが急務とされているけど、そんなガンバより多く失点を喫しているのが、
この試合の対戦相手である清水。

ガンバと同様に、昨季の後半戦は調子が良かった清水だけど、
オフシーズンでその好調さはリセットされてしまったようで、
未だにリーグ戦で未勝利と苦しんでいるね。

おそらく、清水としてはこのリーグ杯のガンバ戦を、
浮上のきっかけにしたいところなんだろうけど、それはこちらとて同じこと。

4月にもかかわらず、吐く息が白く氷雨が降り注ぐというコンディションの中、
そんな玄人好みの試合は行われた。

先制点までは良かった

この日のスタメンは直近の広島戦から6人を入れ替え。

特筆すべきは、ベンチ入りはしているものの起用される気配が無いため、
深刻なコンディション不良と噂されていた今野が、
何事も無かったかのようにスタメンでフル出場したこと。

この試合での今野のプレーを見ていても、
絶好調ではないのだろうけど、試合で起用出来ないほど悪いとは思えなかったので、
どうして今まで出場機会が無かったのか不思議でならない。

また、右サイドMFで出場した藤本も、セットプレーで三浦の先制ゴールを演出し、
その後も古巣相手に彼の左足の精度が未だに錆び付いていないことを改めて知らしめたね。

清水の攻撃にもさほど脅威は感じなかったので、
前半のうちに2点目を取っておきたいなと考えていたのだけど、
そんな時に試合の行方を左右するアクシデントが発生した。

試合の趨勢を変えた倉田の一発退場

前半17分、この日最初の清水のチャンスと言ってもいい自陣ゴール前の攻防で、
高橋のヘディングシュートを手でブロックした倉田にレッドカードが提示され、
ガンバは試合の4分の1も終わっていない時間帯で数的不利に。

また、それだけでなく、このプレーで献上したPKも決められて、
スコアを振り出しに戻されてしまった。

反射的に手が出てしまったような感じだったけど、その何分か前のガンバの攻撃の場面でも、
サイドチェンジのボールを倉田が手で止めてハンドを取られていたし、
立て続けに手を使った倉田のプレーは、はっきり言って軽率だったと言わざるを得ないね。

危機感が守備意識を高める

倉田の退場により10人になったガンバは、
2トップの一角のアデミウソンを左サイドに落とし4−4−1の布陣で清水と相対。

もう少し清水に押し込まれるかなと思ったけど、
遠目からのシュートを枠外に外してくれることが多く、
ガンバも防戦一方にはならずにカウンターでチャンスを作る場面もあり、
1人少ないながらもうまく戦えていた印象だったかな。

広島戦では球際の弱さや攻から守への切り替えの遅さが目立ったけど、
この試合で数的不利になってからその辺が見違えるように良くなったのは、
危機感が刺激されたからなのだろうか。

いずれにせよ、普段のリーグ戦からこれぐらいの守備意識の高さで試合をしてくれれば、
6試合で15も失点を積み重ねることもなかったと思うんだけどね。

また、攻撃に関しては、清水がDFラインをすごく高く押し上げてきていたので、
渡邉千真とアデミウソンのポジションを逆にして、
カウンターで最前線のアデミウソンを走らせたほうが
得点のチャンスが増えるんじゃないかなと思って見ていたのだけど、
宮本監督はそうはしなかったね。

渡邉千真は、神戸時代はサイドMFで起用されることも多い選手だったけど、
ガンバに来てからはFW以外で起用されることがないのはなんでなんだろう。

この勝ち点1は浮上のきっかけになるか

結局、お互いに追加点を挙げることが出来ずドローで決着することになったけど、
この結果を痛いと思っているのは、ホームで1人少ない相手に勝てなかった清水だろう。

ガンバとしては、1人少ないながらもアウェイで勝ち点1を拾ったことは、
収穫と考えてもいいだろうね。

そんなガンバが今週末、ホームで対戦する浦和の今季の戦いぶりは、
強いのか弱いのか読めないところがあるけど、
もともとタレントが多くいるチームだけに油断は禁物。

完敗を喫した前節の広島戦のスタメンから変えないとは考え難いので、
おそらく、この清水戦のメンバーが何人か起用されるはずだろう。

個人的には、4バックとダブルボランチは継続しても良いんじゃないかと思っているのだけど、
どうでしょうかね、宮本監督?

清水エスパルス11ガンバ大阪
’5 三浦弦太
’19 北川航也