【明治安田生命J1リーグ9節 ベガルタ仙台vsガンバ大阪】良くないことは平成に置いていきましょう

2020年11月1日

平成最後のJ1リーグ戦

天皇陛下の退位が発表されて以降、何でもかんでも「平成最後の〜」という
冠言葉がつく世間の風潮に辟易している人も多いと思う。

僕は2歳だったのではっきりとした記憶は無いのだけども、
昭和という時代が終わる時は、僕の周囲の人たちの話を聞く限り、
「これが昭和最後の〜だ」と思っていても言えないような厳粛な雰囲気があったそうなので、
それと比べれば昨今のお祭りムードも良いんじゃないかと思う。

そして、平成5年に始まった僕たちの国のサッカーのプロリーグも今年で27年目を迎え、
今節、平成最後のJ1リーグ戦が行われる事になった。

サッカーというスポーツを取り巻く環境が激変した平成という時代を、
勝って気持ち良く締め括りたいというのはどこのチームも同じだと思うけど、
ガンバの場合、15位という順位が示す通り、平成最後とか関係無しに、
勝たなければいけない状況に瀕している。

ところが、そんな僕らの気持ちとは裏腹に、
仙台のサポーターに素晴らしい平成最後のリーグ戦をお届けする事になってしまった。

リーグ杯の躍動感は何処へ

先日のミッドウィークの磐田戦で、若い選手たちが躍動感溢れるプレーを見せてくれたので、
この試合に対する期待値は高かったのだけども、
試合が始まってみると、攻守両面でちぐはぐ感が否めない、
僕らがよく知っている最近のリーグ戦でのガンバだった。

ただ、対戦相手の仙台もミスが目立ち、お世辞にも良いプレーをしているとは言い難く、
いかにも調子の上がらないチーム同士の対戦という試合だったように思う。

この試合でのガンバは、磐田戦でいい動きをしていた米倉と矢島をスタメンに抜擢。

左SBのオジェソクに攻撃面での貢献を期待するのは厳しいので、
米倉にはオーバーラップからのチャンスメイクを期待していたのだけど、
守備では頑張っていたものの、セールスポイントである攻撃ではクロスの精度を欠き、
チャンスを作り出すことが出来なかった。

磐田戦で出色のパフォーマンスを見せていた黒川が、
大学リーグとの兼ね合いで今回の遠征に帯同出来なかったので、
SBはこの組み合わせで行かざるを得ないのは承知しているのだけど、
関西大学のサッカー部の監督は元ガンバの前田雅文なんだし、
もっと強気に交渉出来たんじゃないだろうか。

矢島に関しては、コーナーキックからキムヨングォンのゴールをアシストしたものの、
今野とのダブルボランチが全くと言っていいほどハマらず、
流れの中ではほとんど仕事を出来なかった。

今季のリーグ戦全試合でスタメン出場を続けていた遠藤に代わり、
せっかくスタメンのチャンスが回ってきたのに、こんなプレーを続けているようでは、
まだまだ遠藤のポジションは悪い意味で安泰と言わざるを得ないだろうね。

またしても疑問が残った選手起用

前半終了間際に失点し、タイスコアのまま迎えた後半。

永戸のシュートが三浦に当たってコースが変わって入るという不運なものだったので、
失点自体は致し方無しなところはある。

ただ、前半からチームとして上手くいっていなかったにも関わらず、
後半34分に遠藤を投入するまで何も手を打たなかっただけでも疑問なのに、
その際に下げた選手がアデミウソンだったというから更に理解出来ない。

前半から、アデミウソンのドリブル突破ぐらいでしかチャンスを作れそうになかったのに、
その武器を放棄してどうやって点を取るつもりだったのだろう。

個人的には、縦への推進力を高めるために、矢島か倉田に代えて、
田中達也をもっと早い時間帯で投入すべきだったんじゃないかと思っているのだけども。

長沢駿の正しい使い方

この試合で決勝ゴールを挙げたのは昨季までガンバに在籍していた長沢。

かつての所属選手に恩返しゴールを決められるのはガンバのお約束だけど、
ガンバ在籍時にあれだけ酷評されていた長沢に決められるのはなんたる皮肉。

長沢は、スタメンで起用すると、恵まれた体格と相反する競り合いの弱さや足元の拙さ、
スピードの乏しさが目立ち、物足りなさを覚えてしまうけど、
全体的に運動量が落ちた後半から投入されると、ディフェンスのマークが甘いことが多いので、
その長身や長い足を使ってワンタッチゴールを決める。

現に、ガンバに移籍してきた当初の長沢は、後半途中に投入されて、
追加点を奪うことが多く、かつてのスーパーサブの「仕上げのリンス」に準えて、
「仕上げの長沢」と言われていたこともあったからね。

試合後のインタビューで、ガンバ相手のゴールは「複雑」と語っていたところに、
彼の人柄の良さを改めて認識する事になったけど、
今回の勝利で、仙台の渡辺監督は長沢の正しい起用法を覚えたんじゃないだろうか。

昨季の歓喜をもう一度

次節のホームでのFC東京戦は令和最初のJ1リーグ戦。

まあ、冒頭にも書いたように、降格圏を目下にしている状況なので、
令和最初だろうが何だろうが勝たなければいけない状況には変わりはない。

FC東京はリーグ戦9試合負けなしで首位に立つなど、
ガンバとは対照的に絶好調なだけに、苦しい試合を強いられることは間違い無いけど、
昨季のホームでのFC東京戦は、試合終了間際にアデミウソンが決勝ゴールを挙げ、
パナソニックスタジアム吹田を歓喜の渦に巻き込んだ劇的な試合だった。

その再現を期待するのは求め過ぎな気もするけど、
決して勝てない相手では無いと思うので、
かつての指揮官にはもう一度吹田の地で泡を吹いてもらいましょう。

ガンバ大阪12ベガルタ仙台
’32 キムヨングォン
’45+1 永戸勝也
’90+1 長沢駿