【明治安田生命J1リーグ28節 ガンバ大阪vs北海道コンサドーレ札幌】こんな試合を1週間前にやってほしかった

2020年11月1日

ブーイングはクールでスマートに

前節の大阪ダービーでの敗北は、いけ好かない宿敵に苦杯を舐めさせられただけでなく、
フェアプレー宣言の際にガンバサポーターがブーイングしたというニュースが、
ネット上に駆け巡ったことで、より後味の悪いものになった。

サッカーの応援に於けるブーイングについては各々意見があると思うけど、
僕自身、ブーイング自体は悪いものだと思っていない。

「サポーターは応援することしかできない」ってよく耳にするセリフだけど、
サポートするチームが不甲斐ないプレーをした際に選手を叱咤するブーイング、
対戦相手のキーマンがボールを保持した際に、威圧する目的で行うブーイングは、
チームの勝利に貢献する仕事として行う価値はあると思う。

ただ、今回の大阪ダービーのように、フェアプレー宣言や、
スポンサーの挨拶にブーイングしたところで、はっきり言って勝利には繋がらない。

ブーイングは気に入らないものに八つ当たりするためのものではなくて、
あくまで声援と同じ目的でチームの勝利を思っておこなうもの。

今のガンバのチーム状態は決して良い訳では無いので、
何かに八つ当たりしたくなる気持ちはわからなくも無いけど、
応援と同じでブーイングもクールでスマートに行こうぜ。

フライデーナイトに輝いたガンバの中盤

余計な前置きが長くなってしまったけど、札幌との3連戦に臨むにあたり、
宮本監督は4バックから3バックに戻してきた。

対戦相手云々よりも前節の大阪ダービーで4バックが機能しなかったので、
3バックに戻しただけのような気がして、どうも短絡的な印象を持ってしまったのだけど、
試合が始まってみれば、思いのほか機能していた。

その要因の一つが井手口のインサイドハーフ起用だったと思う。

このブログで何度も書いていたように、中盤3枚の布陣で井手口の良さを引き出すには、
インサイドハーフしか無いと思っていたのだけど、どういうわけか宮本監督は、
これまで可動範囲を制限されるアンカーのポジションで井手口を起用していた。

しかしながらようやく僕の声が届いたのか、
この試合では井手口をインサイドハーフで起用。

持ち前の可動域の広さで前線に積極的に飛び出して攻撃参加するだけでなく、
守備面に於いても、同じくインサイドハーフで起用された倉田とともに、
この布陣の泣き所であるアンカーの矢島の横のスペースを、
気の利いたカバーリングで埋め、攻守両面で存在感を発揮していた。

また、先月のルヴァンカップのFC東京戦で4バックに回帰して以降、
唐突にポジションを失った矢島に関しても、久しぶりのスタメンだったにも関わらず、
荒野のマンマークを掻い潜りながら見事に攻撃のタクトを揮っていた。

5得点も挙げた試合だったので、攻撃陣に目が行きがちだけど、
この日のガンバの中盤は素晴らしかったと思う。

策に溺れたペトロヴィッチの誤算

ガンバにとっては今のところ今季のベストゲームと言っても良い試合だったけど、
札幌のチグハグさもまた目に付いた試合だった。

ペトロヴィッチのチームの前線の組み合わせは、普段は1トップ2シャドーだけど、
アンカーを置いているチームと対戦する場合は、2トップ+トップ下に変わり、
トップ下の選手がアンカーの選手をマンツーマンでマークするという方法を採用してくる。

この試合でも例に違わず、
トップ下に入った荒野がアンカーの矢島をマンツーマンで見る形になったけど、
これに加え、頻繁に前線にオーバーラップする髙尾をジェイに見させたことで、
札幌がせっかく良い形でボールを奪っても、
前線に鈴木武蔵しかいないという状況が何度も発生していた。

もし、トップ下のポジションがチャナティップだったら、
持ち前のキープ力で周りの選手たちが上がってくる時間を作れただろうけど、
そのチャナティップが試合前のウォーミングアップで故障してしまったことが、
ペトロヴィッチにとって大きな誤算であったことは想像するに難くない。

それにしても、チームが上手く機能せず、ガンバが得点を重ねていく過程で、
何か手を打たなきゃとパニックを起こしたように選手交代のカードを切り、
ピッチの中にいる選手たちをさらに混乱させてしまう様は、
浦和の監督だった時にもよく見たなぁと懐かしい気持ちになったけどね。

竜頭蛇尾にならないことを祈る3連戦

ルヴァンカップも含めた札幌との3連戦の第1ラウンドは、ガンバが大勝。

こういう試合を1週間前の試合でやってくれよと小言の一つや二つ言いたいところだけど、
残留争いを勝ち抜くために貴重な勝ち点3を獲得し、
さらに得失点差も-2というところまで減らせることが出来たので、とりあえずは良かった。

そして、札幌との3連戦の第2ラウンドである
ルヴァンカップ準決勝の1st legまで中4日。

宮本監督の事だから、
この試合のスタメンをそっくりそのまま送り出しそうな気がするけど、
ペトロヴィッチとてバカではないだろうから、
この試合の結果を踏まえて何らかの対策を講じてくるだろう。

頭を打って途中交代した福田の程度にもよるけど、もし福田が出場できないとなれば、
U-21枠で出場が濃厚な髙江のプレーにも期待したいところ。

札幌のDF陣は頻繁にオーバーラップするので、
空いたスペースを巧みなフリーランで陥れて、
今度こそVARの判断に頼らない正真正銘のゴールを決めて欲しいね。

ガンバ大阪50北海道コンサドーレ札幌
’57 倉田秋
’61 宇佐美貴史
’70 アデミウソン
’88 藤春廣輝
‘90+3 渡邉千真