【明治安田生命J1リーグ32節 ガンバ大阪vsベガルタ仙台】J1残留で満足するチームになってはいけない

2020年11月1日

内弁慶シリーズ

各地で優勝争いや残留争いを占う試合が多く行われる中、
ガンバと仙台の試合に注目している人なんて両チームのサポーターぐらいだろう。

そんな両者の今季の戦いぶりは、
どちらもホームで強くてアウェイで弱いという内弁慶なところがあるので、
短絡的に考えればホームチームの我々ガンバ大阪の方が有利というカードである。

つい数年前までのこのカードはホームで勝てなくてアウェイで強いという、
外弁慶同士の対戦だったのに、すぐに傾向が変わってしまうあたり、
Jリーグの潮目って読みづらいよなとつくづく思う。

東口の見せ場は少ない方がいい

「勝っているチームはいじらない」でお馴染みの宮本監督だけど、
前節の大分戦で負けたにも関わらず、この日のスタメンは前節と同じ。

今季、スタメンに定着したかと思っていた髙尾が、
ここ数試合ベンチを温めていて、代わりに菅沼がスタメンで出ているけど、
髙尾のプレーがスタメンから外されるようなものだったかというと、正直疑問。

この試合に於いては、
キムヨングォンが韓国代表のUAE遠征から帰ってきたばかりだったので、
コンディションを考慮して、
菅沼を左に回し、髙尾を右CBで起用する選択肢もあったんじゃないかと思う。

実際、この試合でのキムヨングォンは前半に軽率なコントロールミスを2つ犯すなど、
本調子とは言えないパフォーマンスだったしね。

そのコントロールミスのうちの1つは失点してもおかしくないようなものだったけど、
長沢がループシュートに失敗して難を逃れることが出来た。

東口の威圧感に負けたのか、古巣に気を遣ってくれたのか知らないけど、
失点していれば試合展開が大きく変わるような場面だったので、
前半の大きなターニングポイントの1つだったように思う。

千両役者、背番号33

対するガンバの攻撃は、右サイドの小野瀬への展開から、
何度か良い形を作っていたけど、得点を挙げるまでには至らず。

高さのあるパトリックがいればまた違った形になっただろうけど、
ガンバのチャンスボールをことごとく跳ね返すシマオマテって、
敵ながら良いDFだなって再認識することが出来た。

そんなお互いに攻め手を欠いて、
じりじりと時間だけが過ぎていく試合を動かしたのは、我らが至宝・宇佐美貴史。

ルーズボールに対し、仙台のDFとの競り合いに勝って右サイドを抜け出すと、
そのまま中へ切れ込み、名手・ヤクブスウォビィクの守るゴールをこじ開けてみせた。

中央を走るアデミウソンにパスを出すと見せかけ、
スウォビィクの重心を中へ向けさせてからニアサイドをぶち抜くという、
簡単そうに見えてとても高難度のシュートだった。

宇佐美はその8分後にも中盤でのパス交換からアデミウソンへ決定的なラストパスを送り、
2点目のゴールをアシストするなど後半のパフォーマンスは素晴らしかったと思う。

とは言え、選手としてこれぐらいできるのは、既に証明済みなところがあるので、
本人が語った、「来季は優勝争い」を実現させるべく、
今後の宇佐美には、ピッチ上のリーダーとしての役割も求めていきたいね。

東京五輪の年もJ1でよろしく

その後、お互いにオープンな展開となりスコアが動きそうな気配はあったものの、
試合はそのまま2-0で終了。

残り2試合を残し、ようやくJ1残留を確定させることに成功しました。

まあ、前節終了時点で数字上のJ2降格の可能性は限りなく低かっただけに、
J1残留が確定したからと言って特別安堵しているわけではないけど、
クラブとして目指すところはここじゃないというのは、
ガンバ大阪というクラブに携わる全ての人たちの総意だろう。

来季に向けて弾みをつけるべく、次節のホーム最終戦は、
J1残留争いの真っ只中にいる松本の挑戦を退けて欲しいね。

ガンバ大阪20ベガルタ仙台
’69 宇佐美貴史
’77 アデミウソン