【全国高校サッカー選手権大会 2回戦 青森山田vs米子北】米子北が弱いんじゃない、青森山田が強すぎるんだ

2回戦でいきなり実現した好カード

今日も1回戦に引き続きAブロックの試合を観に、大宮のNACK5スタジアムへ。

この2回戦の会場の最大の目玉は、前回大会王者の青森山田が登場する第一試合。

そんな絶対王者に相対する米子北は、来季のプレミアWESTへの昇格は逃したものの、
プリンスリーグの中国地区で優勝するなど、全国でも指折りの実力校である。

青森と鳥取といういずれも首都圏ではない高校同士の対戦にも関わらず、
大宮のスタジアムが観客で満員になったことからも、
高校サッカーファンのこの試合に対する注目度の高さが窺えた。

またしても仕事をしたスーパー1年生

今年度の青森山田の試合は先月の高円宮杯プレミアリーグのファイナルで1試合見たけど、
その試合の対戦相手の名古屋Uー18のように、
青森山田をポゼッションで上回ろうとするチームなんて、
高校年代にほとんどいないことは容易に想像できる。

なので、米子北の堅守速攻スタイルは、青森山田にとって、
「対戦相手がよく採用してくる戦術の1つ」ぐらいの感覚しかないだろうから、
組みにくさは感じないんじゃないかと思っていた。

ところが、どこかフワッと試合に入ってしまった青森山田に対し、
試合の主導権を握ったのは米子北。

米子北の代名詞でもあるコンパクトな4−4−2の3ラインが、
素早いプレッシャーで青森山田の中盤からボールを奪うと、
シンプルに裏を狙ったロングボールで何度も青森山田のボールに迫った。

しかしながら、米子北の前線には青森山田の屈強なDF陣を攻略できるほどの個の力は無く、
得点を奪えずに時間だけが過ぎていった。

そんなことをしているうちに本領を発揮し始めた青森山田に左サイドを攻略されると、
ヘディングシュートで先制ゴールを献上。

スコアラーは青森山田期待のスーパー1年生・7番松木玖生。

ボランチの選手なので、さっきまで6番古宿の隣でパスを捌いていたと思ったら、
得点機と見るや否や、クロスに対してファーサイドに飛び込んでいるなんて、
どんな感性をしているんだか。

ファイナルの後のブログでも同じことを書いたけど、
日本サッカーで松木と言えば安太郎ではなく玖生と言われるのは、
そう遠くない未来なのかもしれない。

白を飲み込んだ緑の衝撃

1点ビハインドで試合を折り返した米子北だったけど、
前半の戦いぶりは決して悪いものではなかったので、
同じような戦いを継続できれば得点は奪えるんじゃないかと思っていたものの、
後半の早い時間帯に4番高橋がロングボールの処理の際にスリップ。

このボールをかっさらった10番武田が落ち着いてループシュートを決め、
青森山田に決定的な2点目がもたらされることになった。

スタンドは転倒した高橋に対して同情する声が多かったけど、
来季からプレーするJのピッチで同じようなプレーをしたら、
この日と同じような同情はしてもらえないと思っておいた方がいいだろうね。
(まあ、大分のサポーターは優しいから野次られることはないだろうけど)

2点ビハインドとなった米子北は4−4−2の3ラインを崩し、
前線から積極的にプレスをかけたけど、
これが却って青森山田に気持ちよくプレーさせるためのスペースを与えることになり、
終わってみれば6失点。

スコアだけ見れば米子北が弱いという見方をする人もいるだろうけど、
この試合を見た人であれば、「米子北は良いチームだったけど青森山田がそれ以上に強すぎる」
という感想を持ったことだろう。

開幕戦で國學院久我山が前原に対して8−0の試合をしたのとは
違う次元の力の差を見せつけられた試合だったね。

倍率1.1倍の大本命を負かす刺客は現れるのか

2回戦が終わったのも束の間で、3回戦は明日の話。

選手権で波乱が起きるとすれば、
往々にして2日連続で試合が組まれる3回戦だと思っているのだけど、
浦和駒場スタジアムでの1回戦を見る限り、
青森山田と3回戦で対戦する富山第一にアップセットを起こせる力は無いだろう。

それは、富山第一が弱いと言っている訳ではなくて、
青森山田の強さの次元が違うという意味である。

ただ、この試合の米子北も、前半開始早々の5番為本のシュートが決まっていれば、
6−0というような結末にはならなかったと思うし、
勝負事に絶対は無いと信じて明日も浦和駒場スタジアムに足を運ぼうと思います。

青森山田60米子北
’36 松木玖生
’41 武田英寿
’60 神田悠成
’62 田中翔太
’68 後藤健太
’80+4 武田英寿