【北中米ワールドカップ 決勝 スペインvsアルゼンチン】セレステ・イ・ブランコの連覇を阻んだ無敵艦隊ラ・ロハの進軍

16年ぶりの戴冠かそれとも連覇か

6月12日に開幕した北中米ワールドカップは予定された103試合を終え、
残すは決勝戦の1試合のみとなった。

フットボール界の次代のアイコンであるラミン・ヤマルを擁するオフェンス陣と、
ここまで7試合で1失点という盤石のディフェンス陣を以って、
決勝まで勝ち上がってきたスペインか。

20年間フットボール界のトップオブトップに君臨するリオネル・メッシを擁し、
エジプト戦、スイス戦、イングランド戦と劇的な勝利を重ねて決勝まで勝ち上がり、
カタール大会に次ぐ連覇を虎視眈々と狙うアルゼンチンか。

世界中の視線がニューヨークのメットライフスタジアムに注がれる中、
キックオフのホイッスルが鳴った。

耐えているだけ?それともその時を待って牙を研いでいる?

スペインの将、ルイス・デ・ラ・フエンテ、
アルゼンチンの将、リオネル・スカローニが、
決勝のピッチに送り出した11人はそれぞれ以下の通り。

試合の入りこそ、ヤマルの左足のシュートがEマルティネスに阻まれたり、
メッシに渡りそうになったボールをシモンが飛び出してクリアしたりと、
お互いに決定機がある展開だったけど、程なくして試合の主導権を握ったのはスペイン。

選手の立ち位置でアルゼンチンの選手たちを動かしながら、
空いたスペースにボールを運んで巨大なロンドを展開。

アルゼンチンは人に食いつく守備を身上としているだけに、
スペインのポジショナルプレーの前には格好の餌食なのかもしれない。

メッシがサイドに開いたり中盤に下がったりしてパスを引き出すも、
スペインの選手たちのファウルを辞さない守備の前になかなかボールを前に運べず、
前半のアルゼンチンはシュート0本。

このようなサッカーを目指していたポヤトス時代のガンバも、
たまにスペイン式の片鱗を見せることもあったけど、
やはり本家を見ると足元にも及ばないと思わされるね。

さらにアルゼンチンは、
前半終了間際に、今大会出色のパフォーマンスを見せていたLマルティネスが負傷し、
オタメンディと交代になるというアクシデントも重なってしまった。

ただ、今大会のアルゼンチンは、前半低調だったところから、
後半に急激にギアを上げて試合を決めるという試合を続けているので、
スペインとしては主導権を握りながらゴールを奪えなかったことが、
のちのち命取りにならなければいいのだけど。

90分の終わりに崩れた数的均衡

大会前から物議を醸していた30分を超えるハーフタイムショーも、
ロナウドとロナウジーニョがマドンナと共演する演出に驚かされつつ滞りなく終わり、
セカンドハーフがキックオフ。

前半の低調なパフォーマンスを受けてアルゼンチンのスカローニ監督は、
後半頭からサイドMFのニコ・ゴンサレスに代えてアンカーのパレデスを投入し、
布陣を中盤菱形の4-4-2にシフト。

中央を厚くしたことより、前半と比べてアルゼンチンがボールを持つ時間が長くなったけど、
試合の流れを変えるまでには至らず、後半も依然スペインが試合の主導権を握る時間が続く。

対するデ・ラ・フエンテも、ぺドリとフェラン・トーレスを投入し、
膠着状態の打破を試みるも、決定機をことごとくEマルティネスに阻まれ、
ゴールネットを揺らすまでには至らない。

そんなファイナルに相応しい互いに譲らぬ攻防は後半アディショナルタイムまで続くも、
試合は思いもよらぬ形で動く。

後半アディショナルタイムも3分になろうかという時間帯に、
イーブンなボールに対して突っ込んだエンゾ・フェルナンデスが、
クバルシに遅れてチャージする形になり、この日2枚目のイエローカードで退場に。

その後のヤマルの直接FKを凌いでなんとか延長戦に持ち込んだアルゼンチンだったけど、
数的同数でも防戦一方の試合展開を強いられていたことを思うと、
延長戦で起きることは予想出来たように思う。

約束されたゴールを獲りに来たラ・ロハ

90分の戦いを終えて迎えた延長前半も引き続きスペインが試合の主導権を握ると、
メリーノがシュートに持ち込もうとしてEマルティネスと交錯すると、
溢れたボールをニコ・ウィリアムスが押し込み、スペインが先制!!

・・・と、思ったら、このゴールはメリーノがシュートを打つ前のプレーで、
オタメンディに対してファウルがあったとしてノーゴールの判定に。

VTRで見てもかなり微妙なコンタクトだったので、
スペインとしては文句の一つや二つ言いたくなる判定だったけど、
そんな判定にもめげずに敵陣で試合を進めると、延長後半にようやくその時がやって来る。

右サイドのペナルティエリアの角付近からポロが対角線のクロスをあげると、
左サイドのポケットの深い位置でニコ・ウィリアムスが頭で折り返し、
中央に走り込んだフェラン・トーレスがフィニッシュ。

遅かれ早かれスペインがゴールを決めるとは思っていたけど、
スペインらしい地上での崩しと言うよりは、ダイナミックな展開からの得点だったので、
やはりワールドカップを制するチームは自分たちの形に固執せず、
色々な引き出しを持っているんだなと思わされたね。

対するアルゼンチンも、延長後半のアディショナルタイムに、
CKからジュリアーノ・シメオネに決定機が訪れるも、
これを大きく枠外に外してしまい、万事休す。

斯くしてアルゼンチンの連覇の夢は潰え、スペインが2010年の南アフリカ大会以来、
16年ぶりにワールドカップの黄金のトロフィーに手にすることになったね。

Football goes on

32年ぶりに北米大陸で行われたワールドカップは、
政治介入と思われる不穏な事案もありながらもなんとか閉幕。

過去最高の成績を目指した日本代表は、
ドイツやスペインを降した前回のカタール大会ほどのインパクトは残せず、
またしてもノックアウトステージの初戦で姿を消すという結果になってしまった。

ただ、コンスタントにグループステージは突破出来るようになってきているので、
ここから先に進むには愚直にチャレンジを続けていくしかないんだろうね。

まあ、そうは言っても今から4年後の話をするのは気が早すぎるので、
開幕を来月に控えたJリーグ、そして半年後にサウジアラビアで行われるアジアカップと、
この夏ワールドカップで生まれた熱を1人のサポーターとして繋げていきたいね。

スペイン10アルゼンチン
’106 フェラン・トーレス