【北米ワールドカップ アジア最終予選 日本vsオーストラリア】オウンゴールがアジア最終予選をようやく熱くする
今の日本にとってオーストラリアは怖くない
敵地のサウジアラビア戦で勝利を挙げた日本は、
日本に戻り埼玉スタジアムでのオーストラリア戦に臨んだ。
思えば、サウジアラビアとのアウェイゲーム→オーストラリアとのホームゲームって、
4年前のカタールワールドカップの最終予選でもあった流れなんだけど、
サウジアラビアに敗れて森保解任論が巻き起こる中でオーストラリア戦を迎えた4年前と違い、
今の日本代表を取り巻く雰囲気はとてもポジティブなものを感じる。
かつて広島で選手時代の森保監督と共闘したトニー・ポポヴィッチが、
どのような策略で日本に挑んでくるかはわからないけど、
もはや意識する場所がアジアではなくなった今の日本代表であれば軽く攻略してくれるだろう。
ゴール前に停められたバスをどかせ
事故渋滞に巻き込まれて準備時間が10分しか取れなかったというオーストラリアと相対する、
日本代表のスタメン11人は以下の通り。
体調不良で前日練習を欠席した遠藤に代わって田中碧がボランチに入り、
シャドーのポジションには鎌田ではなく久保が入った。
2人ともポジションを崩して自由に動き回るタイプだけど、
今のオーストラリア相手であればリスクは許容出来ると判断したんだろうね。
先日対戦したサウジアラビアは、日本の3バックと両WB、
ダブルボランチにマンツーマンでプレスをかけてきたけど、
この日のオーストラリアは、キックオフの笛が鳴るや否や、
自陣で5-4のブロックを敷いてベタ引きしてきた。
試合前にバスに缶詰にされたからと言って、
何もゴール前にバスを停めることはないだろうと思ったけど、
オーストラリアにしてみたらこの試合では勝ち点1でも獲得出来れば合格なので、
敵将のポポヴィッチの判断は間違ってはいない。
であればオーストラリアの守備ブロックを崩すのみ・・・といきたかったところだけど、
流石にあれだけの大男たちにゴール前を固められると、
いくら史上最強と呼ばれる日本でもなかなか攻略するのは難しい。
そんなオーストラリアの守備陣を前にして、日本の3バックの両サイドが幅を取り、
守田が最終ラインに落ちて4-1-5のような形でビルドアップするも、
板倉と町田にSBの適性が無いので、サイドにボールが渡るとノッキング。
(CBでありながらSBの適性もある冨安と伊藤洋輝であれば機能したかもしれない)
それならば最終ラインからの持ち上がりでオーストラリアの2ラインから選手を引っ張り出して、
スペースを作り出したかったところだけど、オーストラリアの選手たちが誘いに乗らずで、
結局、前半は守備を固めるオーストラリアを打開出来ず。
ここまではオーストラリアのプラン通りの展開になってしまったけど、
難しいと言われる最終予選に於いてここまで順調に来すぎて拍子抜けしている感はあったので、
ようやく最終予選らしくなってきたなと思っている自分もいたりする。
良いオウンゴールと悪いオウンゴール
前半と同じ11人を後半のピッチにも送り出した森保監督。
前半に引き続き守備を固めるオーストラリアを相手に攻めあぐねる時間が続いていたけど、
後半13分にようやく日本の選手がゴールネットを揺らす。
右サイドからのクロスを谷口が右足のアウトサイドで合わせ、
ボールは見事にゴールマウスに吸い込まれたけど、
惜しかったのはこのゴールが鈴木彩艶の守るゴールに決まってしまったこと。
谷口が年イチぐらいの頻度で信じられないポカをやらかすのは川崎時代からお馴染みだけど、
(だからと言ってその年イチをこんな大舞台で出さなくてもいいとは思うが・・・)
CBがゴールに向かって守備をしなければいけない状況を作ってしまったあたり、
この時間帯はチーム全体がエアポケットのような感じで集中出来ていなかったように思う。
思わぬ形で1点ビハインドになってしまった日本は、
堂安に代えて伊東純也を投入するなどして引き続きオーストラリアのゴールを目指すも、
依然としてゴールは遠い状況。
そんな試合の流れを変えたのは、後半25分に久保に代わって投入された中村敬斗。
投入直後から左サイドで積極的なドリブル突破を見せていた中村敬斗は、
後半31分にそのドリブル突破からバージェスのオウンゴールを誘発し、
日本に値千金の同点ゴールをもたらしてみせた。
結果的にオウンゴールをオウンゴールで返す形になったけど、
バージェスが触ってなくてもファーに詰めていた上田が押し込んでいただろうから、
この場面で日本に得点が入るのは必然だったように思う。
同点に追いついた勢いそのままに勝ち越しゴールを奪いたい日本だったけど、
その後はオーストラリアの守備陣の綻びを見つけ出すことは出来ず、
伊東純也のCKが力無くGKにキャッチされたところで試合終了。
前半からCKをはじめセットプレーは何度も獲得していたけど、
高さのあるオーストラリア相手に何の変化もつけずに単純な放り込みを続けていたのは、
セットプレーの手札を見せたくないという意図だろうか。
まあ、真意のほどは定かではないけど、
あれだけセットプレーがあったのに誰にも1本も合わなかったのはちょっと萎えるよね。
引いた相手を崩すのが難しいのはわかっているけど
先制されながらも勝ち点1を獲得出来たのは収穫と言えば収穫だけど、
そもそも現在取り組んでいる攻撃的な3バックは、カタールワールドカップのコスタリカ戦で、
守備を固める相手を崩せずに敗れた教訓から採用したものだと思っているので、
当時のコスタリカと同じ戦い方を採用したオーストラリアを上回れないところを見ると、
2年前に露呈した課題はまだ克服出来ていないように思う。
とは言え、この課題は順調に最終予選を勝ち進んでいたら見えなかったものだと思うので、
勝ち点2を払ってオーストラリアからレッスンを受けたとポジティブに考えて、
次戦のアウェイでのインドネシアとの戦いに繋げて欲しい。
個人的にはインドネシア戦では中村敬斗をもっと長い時間見たいと思っているのだけど、
今回のオーストラリア戦を見た人であれば、ガンバサポーターでなくても賛同してくれるはずだ。
日本1ー1オーストラリア
’58 オウンゴール
’76 オウンゴール