【国際親善試合 日本vsブラジル】自分が生きている間に日本がブラジルに勝つ日が来るなんて・・・

日本から見たらそのカナリア色はまだ眩しい

試合終了間際の上田綺世の起死回生の同点ゴールにより、
パラグアイと引き分けた日本代表は、
戦いの舞台を吹田から飛田給へ移し、ブラジル代表との一戦に臨んだ。

南米予選での苦戦により、かつてほどの強さは無いと言われているブラジルだけど、
それでも4日前には韓国を0-5で降すなど、圧倒的な力の差を見せつけている。

韓国戦で主力級の選手を多く起用したため、
日本相手にはメンバーを落としてくるんじゃないかと言われているけど、
それでもブラジルはブラジル。

UEFAがネーションズリーグを始めて以降、欧州列強とのマッチメイクが難しくなった今、
世界を肌で感じられる数少ない機会なので、来年に控えるワールドカップに向け、
自分たちが目指す場所の険しさを体感して欲しいと思う。

カナリア軍団にこの試合は楽勝と思わせるに十分だった前半

2017年12月のE-1選手権以来、約8年ぶりに日本代表戦が開催される味スタのピッチに、
森保監督が送り出したスタメン11人は以下の通り。

パラグアイ戦のスタメンから瀬古、田中、伊東、小川が外れ、
谷口、鎌田、久保、上田が入った。

堂安と中村が左右のWBでスタメンなのはガンバサポとして嬉しいけど、
ブラジルに両サイドを押し込まれる時間が長くなることが予想されるのに、
WBにSB適性が無い選手を配置するのは吉と出るか凶と出るか・・・。

試合は、5バックを敷いて守備を固める日本に対し、
ブラジルが70%を超えるボール支配率でハーフコートゲームを仕掛けるも、
なかなかシュートまでは持ち込めないという展開。

ただ、日本も日本で、たまにマイボールになっても重心が後ろのせいで、
前線に残っている選手が上田1人しかいないものだから、
パスの出しどころが無くてバックパスを選択せざるを得ず、
なかなか前線にボールを運べない。

そんな中でも右サイドを突破した堂安のパスを受けた南野のクロスを、
ファーで上田が合わせ損ねるという決定機を作る。

まあ、上田としては足に当てるだけで精一杯だったクロスなので、
あれを決めろというのは酷だと思うけど、
ブラジルのようなワールドカップ優勝候補との試合では、
これを決めるか否かが勝敗の分かれ目になってしまう。

前半26分にブルーノ・ギマランエスのスルーパスに、
インナーラップしてきたSBのパウロ・エンヒキが抜け出し、ゴールを許してしまうと、
その6分後にはルーカス・パケタの浮き球のパスから、
マルティネッリにゴールを揺らされてしまい、これまで粘り強く戦っていたのに、
あっという間に2点を奪われてしまった。

2点ビハインドになった時点で試合は3分の2残っていたけど、
その後、日本の選手たちの足が止まり始めたのを見た時点では、
先日の韓国のようにこのまま大量失点で敗れる未来しか見えなかったね。

ブラジルにとっても2点リードは怖い点差だったか

お互いにハーフタイムでの選手交代無く迎えた後半のピッチで、
これから起きることを予想できた人は1人もいなかったんじゃないだろうか。

前半は最終ラインに吸収されることが多かったWBの堂安と中村が、
シャドーの南野や久保と同じぐらいの高さにポジションを取っているのを見て、
いくら何でも無謀すぎるんじゃないかと思ったけど、この果敢な戦術変更が功を奏す。

前半7分に連動したプレスでファブリシオ・ブルーノのパスミスを誘うと、
これを拾った南野がゴールネットを揺らし1点差。

攻撃の手を緩めない日本は、久保に代えて伊東を投入。
(久保は故障を抱えている話もあったので、事前に決まっていた交代かもしれないけど)

伊東を右WBに入れて、堂安を右シャドーに上げるのかな?と思っていたら、
伊東を久保がいた右シャドーにそのまま入れたのだけど、この森保采配がまたしても的中。

右サイドを持ち上がった伊東のクロスを、
逆サイドからファーへ走り込んだ中村がボレーで合わせると、
このシュートがクリアを試みたファブリシオ・ブルーノの脚に当たってゴールに入り、
なんと後半17分に日本が試合を振り出しに戻す。(記録は中村敬斗の得点)

その後も日本の攻勢は続き、
伊東のクロスからの上田のヘディングシュートが相手に当たってCKを得ると、
伊東のCKから上田がやり直しのヘディングシュートを決めて、
なんと日本は試合をひっくり返してしまった。

伊東のCKの直前にゴール裏で観戦する女性客をどアップで映したせいで、
肝心の上田のゴールの場面を放送出来なかったテレ朝のカメラワークは反省材料だけど、
あの女性が上田のゴールを呼び込んだのかもしれないと思うと、
ある意味勝利の女神なのかもしれない。

1点ビハインドとなったブラジルは、
東京オリンピック得点王のリシャルリソンなどを投入して日本のゴールを攻め立てるも、
日本の選手たちの体を張った守りで最後のところで仕事をさせない。
(SBが本職の望月よりも堂安の方が守備が上手いってどういうことだろうか・・・)

その中でも一際目を引いた左CBの鈴木淳之介は、
この試合で代表3キャップ目というのが信じられないような、堂々としたプレーぶりだったね。

最後は、足が攣って動けなくなった渡辺剛を前線に残すなど、
選手もギリギリだったと思うけど、なんとか逃げ切りに成功。

これで日本は対ブラジル14試合目にして初勝利で、
しかもブラジル相手に前半を2点ビハインドで終えたチームが逆転勝利するのは、
ブラジル代表の歴史上初なんだとか。

ブラジルは1.5軍だったとか、ホームアドバンテージがあったとかいう人もいるだろうけど、
今はそんなエクスキューズは一旦横に置いておいて、
日本サッカー界の歴史に残る夜に歓喜しようじゃありませんか。

まだこのチームは何も手にしていない

ブラジル相手に歴史的勝利を挙げた日本は、来月も2試合のテストマッチに臨む。

豊田スタジアムで行われる試合はまだ対戦相手すら決まっていないし、
国立競技場での試合は、アルゼンチンが来るのでは?という話もあったのに、
結局ボリビアだしで、どこか残念なマッチメイクになっているけど、
ワールドカップまでチームの強化に充てられる時間は限られているので、
つべこべ言っている暇はない。

今回のパラグアイとブラジルとの2連戦に召集されなかった選手の融合を進め、
可能な限りチーム力を高めた上で2025年を締めくくりたいね。

日本32ブラジル
’26 パウロ・エンヒキ
’32 ガブリエル・マルティネッリ
’52 南野拓実
’62 中村敬斗
’71 上田綺世