【明治安田J1リーグ2節 ガンバ大阪vsアビスパ福岡】千両役者の2発で幕が開いたガンバの2025シーズン

パワハラをしなくても強度は出せる

キャンプから取り組んできたハイプレス戦術が不発に終わり、
ピンクによもやの大敗を喫したバレンタインデーの夜から1週間、
我らがガンバ大阪はホームにアビスパ福岡を迎えた。

対戦相手のアビスパは、チームをJ1に定着させた長谷部茂利が川崎に去り、
かつてパワハラ問題で失脚した金明輝を監督の座に据えたことで、
チームを長年支えてきたスポンサーが離れるなど、穏やかでないオフを過ごしていた。

開幕戦はアビスパを勝利に導けなかった金明輝だけど、
昨季は町田のコーチとして昇格初年度のクラブを躍進させるなど、
(人間的な部分は別として)指導者としての手腕は錆び付いていないように見受けられるので、
油断せずに高い強度を以ってこの試合に臨みたいところだ。

立ち返れるスタイルがあるという強み

開幕から2試合連続でホームゲームという、
長いことJリーグを見ている自分でも記憶に無いような日程に臨む、
ガンバ大阪のスタメン11人は以下の通り。

前節の大阪ダービーの敗戦を踏まえ、鈴木徳真、山下、奥抜を外し、
美藤、岸本、倉田という守備で強度が出せる選手を入れてきた。

前線は宇佐美とジェバリの組み合わせで、
SNSでの迷惑行為が発覚した山田はこの試合もベンチからも外れることになったね。

試合の立ち上がりに主導権を握ったアビスパに対し、
ガンバは開幕戦で見せたハイプレスを封印してコンパクトなブロックを敷いて応戦。

アビスパが立て続けにCKを得る時間帯こそあったものの、
この日のガンバからは1週間前のような脆さは感じられず、
一森を筆頭に集中したディフェンスでアビスパにゴールを割らせない。

そんな中で試合を動かしたのは我らが青黒の10番。

美藤の左サイドへの展開から黒川がクロスを入れると、
額にテーピングを巻いて海賊のような風貌になったジェバリが安藤と競り合い、
こぼれたボールを倉田が頭で押し込んで前半22分にガンバが先制。

開幕戦で奥抜の軽い守備が狙われていたことから、
この試合の倉田には守備での貢献を期待していたのだけど、
守備で周囲の期待に応えるハードワークを見せながら、
ペナルティエリア内で足を止めずこぼれ球に反応してゴールまで決めてしまうなんて、
見事と言うに他ならない。

その後のガンバのチャンスらしいチャンスは、
宇佐美の低い弾道のCKを福岡将太が頭で合わせた場面ぐらいで、
引き続きアビスパにボールを持たれる時間が続いたけど、1点リードでハーフタイムへ。

頭を抱えた開幕戦の守備のことを思うと、
1週間で昨季を彷彿とさせるような守備が蘇ったことに安堵しているものの、
リードが1点だけだと心許ないので、後半に追加点といきたいところ。

激しさと荒さは似て非なるもの

お互いに選手交代無く迎えた後半も、アウェイチームがボールを握る試合展開は変わらず。

岸本に二度訪れたチャンスはいずれもモノに出来ず、
追加点を奪えずに試合が進んでいたけど、
そんな中でまたしてもゴールネットを揺らしたのはスタメン最年長の36歳。

ガンバのセットプレー崩れからネタ・ラヴィが右サイドからクロスを上げると、
上島がクリアし切れなかったボールを倉田が見事なファーストタッチで収め、
ペナルティエリア外から息を呑むような美しい弾道のミドルシュートを突き刺し、
後半13分にガンバに追加点がもたらされる。

チャントに「スーパーゴール」という言葉が使われている割に、
割と泥臭いゴールが多い印象のある倉田だけど、
このゴールは誰が見ても文句のつけようがないスーパーゴールだったね。

2点ビハインドになったアビスパは、空中戦に強いウェリントンや、
昨季の博多の森でのガンバ戦で超ロングシュートを決めたザヘディを投入し、
より直線的にゴールを目指してくるようになったけど、
それに伴いアビスパの選手たちのアフター気味のコンタクトが増えていく。

アクチュアルプレイングタイムとやらを伸ばすために、
今季のJリーグはあまりファウルを取らない方針みたいだけど、この試合を裁いた川俣主審は、
激しいプレーと危険なプレーの見分けがつかない人だったようで、
それをいいことにアビスパの選手たちはやりたい放題。

まあ、昨季は町田が悪目立ちしたおかげであまり目立たなかったけど、
そう言えばアビスパもこんな感じのチームだったよな。

川俣主審は試合の最終盤になってやっと自分がカードを持っていることを思い出したのか、
遅ればせながら秋野と上島にイエローカードを提示していたけど、
試合をコントロール出来ていたとは言い難いね。

後半42分に見木にゴールを決められてクリーンシートを逃したけど、
この試合展開でガンバに誰もケガ人が出なかったのは良かったと思う。

木山監督の恩返しはいりません

開幕戦ではダワンと坂本の穴を痛感することになったけど、
ダワンがいなくても昨季のような守備ブロックを敷いて戦えば、
ネタ・ラヴィと美藤のコンビでも問題なく守れることは証明できたし、
坂本不在でも2試合で4得点は上出来だと思う。

1週間前に漂っていた暗雲が幾分か晴れた状況で向かう次の試合は、
アウェイのファジアーノ岡山戦。

今季悲願のJ1初昇格を果たし、指揮官も元ガンバの木山監督ということで、
岡山には頑張ってJ1残留を果たしてほしいと思っているのだけど、
さすがにガンバとの対戦となると話は別。

中3日で厳しい試合が予想されると思うけど、
12年前にJ2で対戦した時と同じように、勝ち点3を大阪に持ち帰らせてもらおうと思います。

ガンバ大阪21アビスパ福岡
’22 倉田秋
’58 倉田秋
’87 見木友哉