【明治安田生命J1リーグ15節 アルビレックス新潟vsガンバ大阪】トンネルの出口は大白鳥にあった

大白鳥で流れは変わるか?

新潟に遠征することは今シーズンの日程が発表された時に決めていたのだけど、
まさかガンバがこんなドン底の状態で今回の遠征の日を迎えることになるとは思わなかった。

2012年にJ2降格を経験しているガンバだけど、1年でJ1に復帰して、
2014年に国内タイトル3冠を達成しているという成功体験があるからなのか、
なんとしてもJ1に残ろうという意見よりも、
J2降格覚悟でサッカースタイル構築を優先すべきという意見の方が強い印象を受ける。

今回の対戦相手の新潟がJ2で5年の歳月を過ごしたように、
今のJ2はサッカースタイルを構築しながら1年でJ1に復帰出来るような甘いものじゃない。

下手したらヴェルディやジェフのように10年以上J1に戻って来れなくなる可能性も十分にある。

ビッグスワンは、苦手にしているチームが多い難しいスタジアムだけど、
そんなネガティブな可能性の芽を摘むためにも、ここで連敗を止めなければならない。

前半で2点リードなんてこれは夢か幻か

6年ぶりにビッグスワンでの試合に臨むガンバ大阪のスタメンは以下の通り。

前節のマリノス戦のスタメンからダワンに代えて山本悠樹を起用。

累積警告で出場停止の宇佐美は言わずもがなとして、
先のルヴァンカップ・京都戦でも精彩を欠いた鈴木武蔵がベンチから外れ、
山見がメンバー入りするなど、少し顔ぶれを入れ替えてきた。

ガンバはこの試合も、ポゼッションにはこだわらず前線からハイプレスを仕掛けてボールを奪い、
マイボールになったら手数をかけずにジェバリに当てる戦い方。

この戦い方をするようになって、
シーズン序盤に見られたイージーミスからの失点は減ったんだけど、
その反面ゴールも奪えなくなったんだよな、と思っていたら、
ガンバサポもアッと驚く前半2分での先制点。

長くなった半田のロングボールを千葉がゴールラインに出そうとしたのだけど、
後ろから追いすがったジェバリがボールを奪って千葉と入れ替わると、
グラウンダーのクロスをゴール前に飛び込んだ倉田が押し込んでGET。

おそらく千葉は、ファウルを取ってもらえると期待して転んだのだろうけど、
どうやら広島時代に培った演技力は錆びついてしまったみたいね。

幸先良く先制したガンバだったけど、
その後もジェバリやアラーノに追加点のチャンスが訪れるものの、
また1試合1点しか取ってはいけない縛りプレイを始めてしまったようで、
シュートはことごとく枠をとらえられない。

対する新潟も何度かガンバのゴールに迫る場面はあるのだけど、
佐藤がカードをもらわない程度のファウルで事前にピンチの芽を摘みとり、
危険な位置までの進入は許さなかった。

この試合の佐藤は、マリノス戦や京都戦で見せたような足技を繰り出すことは無かったけど、
本来のDFとしての動きは安心して見られるものだった。

それこそ昨季までの佐藤は、倉田の先制点の場面での千葉みたいなプレーをしていたのに、
昨季所属していた仙台で一体何があったのだろうか。

すると、守備陣の奮闘に応えるかのように、
ロングボールを受けたジェバリがアラーノとのパス交換で新潟陣内に攻め入ると、
ジェバリのクロスをアラーノが押し込んで追加点。

ここ数試合、1点取るのがやっとだったガンバが2点リードでハーフタイムを迎えるなんて、
この試合で勝たなかったらいつ勝つんだというような展開だったと思う。

やっと抜け出した負のスパイラル

後半にも追加点を奪って勝利の確率を上げたいガンバだったけど、
その思いとは裏腹に、後半の早い時間帯に与えたCKで、
高木善朗のキックをニアで舞行龍ジェームズに合わされてしまい失点。

そういや東口は、以前、NHKBSのサッカーの園に出演した際に、
「GKとしてはCKをニアに蹴ってこられるのめっちゃ嫌なんですよ」と言っていたけど、
まさにその形からの失点だったので、
もしや高木次男はサッカーの園をTVでチェックしていたんじゃないだろうか。

後半開始早々に1点を返したことでビッグスワンの雰囲気は押せ押せムードになり、
ガンバとしては非常に嫌な展開だったけど、
そんな時にスタジアムの雰囲気に呑まれずに追加点を奪えたのが非常に大きかった。

倉田のバックパスを石毛がダイレクトでDFラインの裏へロビングのパスを送ると、
これをDFラインの裏に走り込んだ黒川が蹴り込んで、後半11分にガンバに追加点。

倉田はウイングとしては突破力に欠けるものの、藤春との黄金コンビで磨かれた、
SBを生かすボールキープとスペースメイクにはもはや熟練の技を感じるね。

2点ビハインドとなったことで、新潟は攻勢を強めてくることが予想されたけど、
新潟で一番怖い存在である伊藤涼太郎が、既にハーフタイムでベンチに下がっていたことは、
ガンバにとって非常に大きかった。

パスサッカーは規律を乱してアクセントをつける個の存在がいないと、
パスを回すことが目的になってしまって怖さが無くなることが多いからね。
(おそらくポヤトスは、新潟における伊藤と同じ役割を宇佐美に期待しているんだろうけど・・・)

とは言え、遠目からシュートを打たれる場面は何度かあったけど、
そこはかつてのホームであるビッグスワンで何かを思い出した東口が、
昨季までの守護神ぶりを発揮してゴールを許さない。

その後、名古屋戦での謎の半田の右ウイング起用や、
開幕節の柏戦で逃げ切り失敗の原因となった5バックなど、
ガンバサポとしてはトラウマが残っている采配がピッチ上で再現されるものだから、
嫌な予感しかしなかったのだけど、
最下位に沈むガンバでもさすがに2点リードはセーフティだったようで。

そんなガンバサポの心配は杞憂に終わり、
リーグ戦の連敗を5で止めてようやく今季2勝目を挙げることが出来たね。

これで黙っていたら宇佐美貴史の名が廃る

先月の川崎戦で今季初勝利を挙げた時は、
ここから上昇気流に乗っていけるかななんて思っていたのに、
それに反して苦しい時間を過ごしてしまった。

ただ、勝利したとは言え、まだ最下位であることに変わりはないので、
この調子で次節の福岡戦でも勝ち点3を挙げたいところやね。

福岡戦ではおそらく宇佐美がメンバーに戻ってくるだろうから、
「ガンバは宇佐美がいない方が勝てる」なんて思わせないように、
博多の森で背番号7と主将という2つの重責を背負うエースの矜持を見せて欲しいね。

アルビレックス新潟13ガンバ大阪
’2 倉田秋
’44 ファン・アラーノ
’48舞行龍ジェームズ
’56 黒川圭介