【明治安田J1リーグ1節 ガンバ大阪vsセレッソ大阪】サッカーはチョコレートのように甘くは行かないと知ったバレンタインデーの夜

3年目は開花の年
2年前に大阪の地にやって来たスペイン人、ダニエル・ポヤトスは、
荒れ果てた大地を耕し、いつか花が開くと信じて種を植えた。
腐った大地とも評された場所に植えられたそれらの種は、
昨年の春に芽を出し、同年の秋には天皇杯準優勝、
リーグ4位と言う目に見える形で茎を伸ばしていく。
そしてポヤトス体制3年目の2025年。
ホームでの大阪ダービーで幕が開ける1年は、
かつて荒野だった場所に大輪の花が咲いたというハッピーエンドで締めたいところだ。
前半だけで試合が終わっていればダービーらしい試合と言えたのに
バレンタインデーの夜にヴェールを脱いだ、
2025年シーズン初戦のガンバ大阪のスタメンは以下の11人。

目を引くのは何と言ってもゴールデンルーキー・名和田我空。
今や日本代表に欠かせない存在となった堂安律、
中村敬斗が背負った背番号38を引き継いだ若武者が、
この大一番でどのようなプレーを見せるのか見ものといったところ。
しかしながら、この試合で最初に試合を動かしたのはピンクの38番北野颯太。
畠中のクサビのパスをワンタッチでインナーラップしてきた船木に落とし、
左サイドを駆け上がると、香川の左サイドへの展開を狙い澄ましてゴールへ沈め、
前半7分という早い時間にセレッソが先制。
青黒の38番も臆することなくボールを要求し、
シュートを放つ場面を作り出すも、ゴールを奪うまでには至らず。
ただ、前半のガンバの攻撃は名和田どうこうと言うよりも、
奥抜と黒川の連携が絶望的で左サイドがずっと死んだような状態だった。
それでも、右サイドを抜け出して山下がシュートを放ったり、
宇佐美のシュートがキム・ジンヒョンに阻まれるといった場面を作るなど、
徐々にセレッソのゴールに迫る展開が増えていく。
すると、ワイドに開いた山下の内側を回った半田のパスから、
ネタ・ラヴィが在籍3シーズン目にして初ゴールを決め、
前半31分にスコアを振り出しに戻すことに成功。
昨季までは、ネタ・ラヴィと鈴木徳真と一緒にピッチに立つと、
プレーエリアが被ってしまうことが多かったけど、沖縄キャンプで整理してきたのか、
この試合ではあまり気にならなかったね。
前半のうちに逆転とまではいけなかったけど、前半の終盤は良い戦いができていたので、
このままいけば後半に勝ち越すことができるだろう・・・とこの時は思っていた。

開幕戦から終戦しててどうする
後半に勝ち越したいガンバだったけど、
ハーフタイムで昼寝でもしていたのか、信じられないぐらい緩く後半のピッチに入ってしまう。
すると、ルーカス・フェルナンデスと対峙した奥抜が簡単にクロスを上げられてしまうと、
北野のシュートがネタ・ラヴィに当たってゴールに吸い込まれ、
欲しかった2点目はセレッソに入ることに。
前半から奥抜の守備は軽いなと思っていたけど、
その分攻撃で違いを作るわけでもなく、むしろ攻撃でもブレーキになっていたので、
ハーフタイムで交代させてもいいと思っていたのだけど、
なぜ87分まで引っ張ったのか、ポヤトスに聞いてみたいね。
後半開始早々に失点してしまったにも関わらず、ガンバの選手たちはまだ目を覚ますことはなく、
今度は中谷のシュートブロックを拾った香川にゴールネットを揺らされてしまう。
2点ビハインドになったことでようやく目が覚めたのか、
黒川が左足でゴールネットを揺らし、ビハインドを1点に縮めるも、
VARのチェックの間に、あろうことか負けている側のチームの集中が切れてしまい、
セットプレーから再び2点ビハインドに広げられてしまうなんて、もう開いた口が塞がらない。
その後は、選手を入れ替えてセレッソのゴールに迫るも、
キム・ジンヒョンが守るゴールをそんなに簡単に割れるわけもなく、時間だけが過ぎていく。
最終的には美藤のアンカーという超前掛りの布陣を採用するも、
そんな布陣を敷いている時に福岡がクリアを空振りしてしまい、
ルーズボールを拾った仙台帰りの中島に1人で持ち込まれ、終わってみれば5失点。
期待値が高かった分、大きく裏切られたような気持ちだけど、
攻撃に関してはなんだかんだ2点は取れているし、
ジェバリ、唐山、南野の途中出場組の動きも良かったのでそこまで心配していない。
ただ、守備に関しては、キャンプ中に移籍したダワンの穴が想像以上に大きく、
中盤でフィルターがかからないのでCBにかなり負担がかかりそう。
補強の話も聞こえてこないし、このまま行ったら1年の終わりに大輪の花を咲かせるどころか、
昨季成長した茎が枯れてしまいそうな気がするんですが、
梶居強化部長は危機感持ってるんでしょうかね?

名誉挽回のチャンスはすぐにやってくる
ガンバはもともとスロースターターだし、
昨季は平日のゲームでの勝率が悪かったという事実もあるけど、
金曜日の夜にも関わらず大観衆が詰めかけた大阪ダービーでそんな言い訳は聞きたくない。
授業料は高くついてしまったけど、これで目が覚めて、
昨季まで出来ていたハードワークや球際の激しさといったところを思い出して欲しい。
幸か不幸か、来週もホームゲームが組まれているので、
この日失望させてしまった青黒のサポーターに、今度は歓喜を届けて欲しいね。
ガンバ大阪2ー5セレッソ大阪
’7 北野颯太
’31 ネタ・ラヴィ
’46 北野颯太
’52 香川真司
’54 黒川圭介
’63 田中駿太
’90+4 中島元彦