【明治安田J1リーグ3節 ファジアーノ岡山vsガンバ大阪】昇格組の岡山にJ1の厳しさを教わるオリジナル10

雉の翼は羽ばたかせない
あれは4年前の話。
キャンプ中に新型コロナウイルスのクラスターが発生してチーム活動休止を強いられ、
ロクな練習も出来ぬままシーズンインしたガンバは、
開幕から低調な戦いが続き、残留争いを強いられていた。
シーズン中に監督が宮本恒靖から松波正信に代わるという波乱の中でコーチに就任し、
守備を立て直して古巣ガンバのJ1残留に一役買ったのが、
本日の対戦相手、ファジアーノ岡山の指揮官である木山隆之だった。
そんな木山監督には今でも感謝しているけど、
ガンバの対戦相手として目の前に現れたとなると話は別。
肉弾戦を強いられた前節のアビスパ戦から中3日で、ベストコンディションではないと思うけど、
木山監督と同様に古巣対戦となる一美を抑え、勝ち点3を積み上げたいところだ。
献上すべくして献上した先制点
12年前にJ2で対戦した時と同様に満員の観客で埋め尽くされた、
JFE晴れの国スタジアムのピッチに立った青黒の11人は以下の通り。

前節、殊勝の2ゴールでガンバを勝利に導いた倉田が引き続きスタメンに名を連ねた一方で、
中谷、ネタ・ラヴィ、岸本、ジェバリが外れ、江川、鈴木徳真、山下、南野が入った。
そして昨年のホームでの鹿島戦で前十字靭帯を断裂した三浦が、
10ヶ月ぶりにベンチに入ったね。
しかしながら試合は序盤から岡山にボールを握られ、ガンバは防戦一方。
以前から山口監督の湘南と対戦すると、
3バックと4バックのギャップを使われてパスを回されていたけど、
3バックを基本布陣とする岡山も湘南と同じ戦い方を採用してきたように見えた。
奇しくも双方ともガンバのOB監督なのが何とも言えないところだけど、
以前から対3バックには課題があったのに、
シーズンを跨いでも課題が解消される気配が無いのですが、
ポヤトスはこの件をあまり問題視していないのかね?
また、前節のアビスパ戦と同様に、この試合でも主審が笛を吹かない傾向にあり、
ガンバの選手たちの被ファウルを期待したプレーが取ってもらえなかった。
これはこの試合を裁いた長峯主審に問題があるって言うより、
アクチュアルプレイングタイムを伸ばすために、
今季のJリーグはファールを取らない方針というところから来ているので、
審判団に文句を言っても何も変わらないと思う。
まあ、山下が抜け出そうとしたところを工藤が手をかけて止めたプレーが、
ファウルにならなかったのは、どうなの?と思うところはあるけど、
この日の判定基準にマッチした戦い方をしていたのは岡山の方だったように思う。
それでも、前半の終盤まで失点せずに持ち堪え、
スコアレスでハーフタイムに持ち込んで立て直ししたいところだったけど、
前半終了間際の時間帯に、一美のシュートから岡山にCKを与えてしまうと、
神谷のCKを一美が合わせたシュートの跳ね返りを柳貴博にプッシュされ、岡山に先制点を献上。
倉田はよくライン上で一美のシュートをブロックしたと思うけど、
その前に一美に振り切られているのが山下というミスマッチが起きているところを見ると、
セットプレーの守備の配置は適切だったのかなと思ってしまうね。

底冷えするのは2月のナイトゲームだからという理由だけではない
前半を良いところ無く終えたガンバは、ハーフタイムに美藤に代えてネタ・ラヴィを投入。
早い時間にスコアを振り出しに戻したいところだったけど、
皮肉にも次のゴールも岡山に入ってしまう。
南野を目掛けた江川のロングフィードが立田にあっさりクリアされると、
こぼれ球を拾った藤田のパスを受けた柳貴博が右サイドを駆け上がってクロスを送ると、
ニアで一美に合わされ、ゴールネットを揺らされてしまう。
まあ、かつての所属選手に恩返しゴールを食らうのはガンバのお家芸なので、
今更何か言うつもりはないのだけど、
それよりもこの試合では、後方から雑なロングボールが前線に送られることが多く、
南野をはじめとした前線の選手たちが難しいプレーを強いられていたのが気になった。
ポヤトス体制でポゼッションサッカーに取り組んで3年目になるのに、
今季ここまで過去2年の積み上げが見られないのだけど、
まさかキャンプでハイプレスの練習しかしてなかったので、
ポゼッションのやり方忘れたなんてことないよね?
2点ビハインドとなったガンバは、山下、南野、倉田に代え、
岸本、ジェバリ、唐山を投入して岡山ゴール目指す。
個人的には、前半から低調なプレーを見せていた宇佐美を、
このタイミングで代えても良かったんじゃないかと思ったけど、結局フル出場。
一発のある宇佐美を最後までピッチに置いておきたいのはわかるし、
ベンチに信頼が置ける選手がいないというのもわかるけど、
宇佐美も今年で33歳と無理が効く年齢でもなくなっているのだから、
下手に酷使しても誰も幸せにならないと思うんだけどね。
最後は鈴木徳真に代えて名和田を投入し、
ネタ・ラヴィをアンカーに置く布陣に変更して岡山ゴールに迫るも、
結局最後までゴールネットを揺らすことが出来ず。
と、いうか枠内シュートすら一本も打つことが出来ずに完封負け。
一体どちらが昇格組なのかと思うような無様な戦いぶりで、
木山監督に監督キャリア通算200勝目をプレゼントすることになってしまったね。

これ以上ガンバからヴェルディにくれてやれるものは無い
開幕からの3試合で2敗目を喫し、順位を13位に下げたガンバは、
次節、中3日で14位の東京ヴェルディと対戦。
レンタルに出していた山見を借りパクされた上に、福田まで完全移籍で獲られてしまったけど、
その上で勝ち点3まで持って行きますというのはさすがに虫が良すぎる話。
ガンバにとって苦手な味スタでの対戦になるけど、
昨季のヴェルディとの対戦はホームとアウェイどちらも引き分けに終わっているので、
日曜日の対戦では決着をつけて勝ち点3を獲得したいところだ。
ファジアーノ岡山2−0ガンバ大阪
’45 柳貴博
’48 一美和成