【明治安田生命J1リーグ18節 サガン鳥栖vsガンバ大阪】恩返ししたのは鶴じゃなくてウィントス
恩には恩で返すもの
ACLの日程の関係で前倒し開催されたJ1リーグ18節。
我らがガンバ大阪はアウェイの鳥栖に乗り込んだ。
9試合を終えて5勝2分2敗で4位と好調の今季の鳥栖の強みと言えば、
何と言ってもここまで2失点しか喫していない堅牢な守備。
(ちなみに鳥栖ホームでは未だ無失点)
ましてや先日の日立台に続き勝率が悪い鳥栖での試合ということで、
4試合を終えて未だノーゴールの我が軍が、
ゴールを挙げるのは至難の業のようにも思える。
ただ、2年前のこのカードで、開幕から10試合を終えて1得点だった鳥栖が、
3-1でガンバを降したことを覚えている人もいるだろう。
鳥栖の選手たちがあの時の試合に恩義を感じているのなら、
この試合でガンバに恩返ししてくれてもいいはずだ。
いや、いいはずだというか…恩返ししてくださいお願いします！
シュートを防ぐことだけがキーパーの仕事じゃない
この日のガンバのスタメンは、GKに東口、DFラインは右から髙尾、昌子、三浦、黒川、
中盤は井手口と奥野で、2列目は右に小野瀬、左に福田、
2トップにはパトリックと宇佐美の11人。
奥野がスタメンで起用されたのには驚いたけど、今季ここまで無得点という状況を受け、
レアンドロ・ペレイラやチアゴ・アウベスといった新加入メンバーを外し、
小野瀬と髙尾の右サイドやパトリックと宇佐美の2トップなど、
実績がある組み合わせを採用してきたなという印象。
しかしながら、前半のガンバが繰り出す攻撃で得点の匂いがしたのは、
パク・イルギュに防がれた宇佐美のシュートぐらいで、
メンバーチェンジの効果があったとは言い難いものだった。
とは言え、鳥栖の守備が良かったのも事実。
個人的に今季の鳥栖の堅守を支えているのは、GKのパク・イルギュだと思っていて、
あれだけ守備範囲が広いGKが後ろにいたらDFは思い切ってラインを高く設定できるし、
それによって前線の選手たちのプレスの開始位置も必然的に高くなる。
この試合でも、ガンバの選手たちが後ろからボールを繋ごうにも、
鳥栖の前線からのプレスに手を焼き、
思い切ってロングボールで前線のスペースを狙うも、
パク・イルギュにカバーされてしまうという状態だったからね。
対する鳥栖の攻撃陣も、三浦、昌子、東口のトライアングルを前に、
なかなかシュートまで持ち込めず、お互いに決定機が少ない前半だった。
ただ、鳥栖の選手たちがシュートを打てずにボールロストした流れから、
ガンバがカウンターを繰り出す場面は何度か作り出せていたので、
ガンバが得点を挙げるとしたら、このカウンターの形かなと思ってはいたね。
試合を決めた千両役者
後半になると主導権は鳥栖へ。
何度かゴールを脅かされる場面もあったけど、東口の好守で失点を免れることが出来た。
鳥栖の林はガンバのジュニアユース出身なので密かに応援しているのだけど、
まだまだ東口の壁は高かったみたいやね。
とは言え、日曜日の柏戦から中2日ということもあり、
時間が経つと運動量が落ちてさらに押し込まれそうな気配があったので、
「選手交代で運動量と強度を上げたいな」と思っていたところに生まれた、
ガンバ大阪の2021年シーズンの初得点。
中央でボールを持った奥野が左サイドの福田に展開し、
福田がペナルティエリアを左から右に横切るパスを送り込むと、
その先に待っていたのは我らがエース・宇佐美貴史。
パク・イルギュとの1対1を冷静に制したゴールには、
これまでガンバサポーターに何度も歓喜をもたらした背番号39の
シューターとしての能力の高さを再認識させられたね。
また、この試合の宇佐美は、得点を挙げただけでなく、
何度も中盤に下がってビルドアップに参加していたし、
文句なしでマンオブザマッチの活躍だったと思う。
その後、鳥栖が得点を狙って前掛かりになったこともあり、
追加点を奪えそうなオープンな試合展開になったのだけど、
確実に勝ち点3を挙げるべく、時間を使って試合をクロージング。
よく守備をサボっていたかつてのパトリックの姿を知るだけに
後半アディショナルタイムに入っても守備の強度を緩めないこの日のパトリックの姿に、
隔世の感を感じて思わず胸が熱くなったね。
新型コロナウイルスのクラスター発生によってチーム活動休止に追い込まれるなど、
苦しいシーズンのスタートを強いられ、初勝利を挙げるのに5試合も要してしまったけど、
この1勝をきっかけに上昇気流に乗れればいいね。
サッカーは0と1だけで表現する世界ではない
今季のガンバはここまで5試合を消化しているけど、
0-1,0-0,0-0,0-1,1-0と、2点以上取った試合も、2点以上取られた試合も無い。
なんか、2進数かモールス信号を見ているような気持ちになるけど、
サッカーは2点取っても良いスポーツだということを、
次戦のホーム・清水戦で見せて欲しいね。
あ、清水のほうに2点入るのはご遠慮願いますが。
サガン鳥栖０－１ガンバ大阪
’68 宇佐美貴史
