【明治安田J1リーグ19節 ガンバ大阪vsヴィッセル神戸】大雨を抜けた先に見えた町田と鹿島の背中
やられっぱなしでは男が廃る
前節、ホームで柏を降した我らがガンバ大阪は、
今季のJ1リーグの行方を占う勝負の3連戦に臨む。
初戦の相手は昨年のJ1王者・ヴィッセル神戸。
昨年、屈辱的なダブルを喫しただけでなく、
福田の不可解なPK判定や、その福田を負傷させた大迫のラフプレーなど、
ここ最近の神戸戦は不愉快な思いばかりさせられているので、
2戦連続のホームゲームでその恨み辛みを晴らしてくれよう。
ガンバサポーターにとって憎き大迫の調子が上がらないのと対照的に、
青黒の象徴である宇佐美は絶好調なので、
公式戦18戦13ゴールと抜群の相性を誇る神戸を相手にその力を見せつけ、
首位の町田と2位鹿島を追撃したいところだ。
安定して不安定な笛が鳴る
梅雨の大雨が降りしきるパナソニックスタジアム吹田のピッチに立った、
ガンバのスタメン11人は以下の通り。

勝っているチームはいじらないということなのか、
ポヤトスが選んだ11人は前節の柏戦と同じ顔ぶれ。
また、倉田がベンチから外れ、
4月の京都戦で故障したファン・アラーノが2ヶ月半ぶりに戻ってきた。
前半の早い時間帯にお互いにあった激しいコンタクトプレーを流したものだから、
この試合のファウルの基準は随分厳しめだなぁと思ったのだけど、
ボールを保持している扇原へ寄せた宇佐美が雨で濡れたピッチでスリップしてしまい、
扇原を手で押すようになったプレーに対してイエローカードが出るなど、
この試合を裁いた清水勇人主審の判定の基準は正直よくわからなかった。
ただ、コンタクトプレーを流す傾向のジャッジと雨による重馬場は、
直線的なサッカーを志向し、球際を激しく戦ってくる神戸に好都合だなと思っていたら、
初瀬のロングスローをニアでトゥーレルにフリックされると、
大迫に見事な反転ボレーを決められて先制点を献上。
・・・と、思ったら、このゴールは大迫のマークについていた鈴木徳真が、
井出にファウルを受けたとのことでノーゴールの判定に。
正直このプレーも、この日の判定基準から考えれば流されてもおかしくないプレーだったけど、
井出なりの古巣への恩返しだと思ってありがたく受け取っておくことにする。
先制点はかろうじて与えずに済んだガンバだけど、
その後もフィジカルを生かしてグイグイ押し込んでくる神戸に対し劣勢を強いられ、
山田が負傷して坂本と交代になるアクシデントも重なり、苦しい時間が続く。
左サイドの黒川が武藤とのマッチアップに苦しむのはある程度想定内だったけど、
神戸の左ウイングの佐々木が馬力のある突破で何度も半田を苦しめていて、
「こんなに良い選手だったっけ?」と思ったね。
前半の終盤にウェルトンと山下のサイドを入れ替えてから、
ややガンバが盛り返す時間はあったものの、ハーフタイムでの修正は必要と感じた前半だったね。
勝つ時はこういうシュートが入るもの
前半の終盤にポジションを入れ替えたウェルトンと山下を元の立ち位置に戻し、
前半開始時と同じ選手、同じ布陣で後半に臨んだポヤトス。
しかしながら、試合展開もウェルトンと山下のサイドを入れ替える前に戻ってしまったようで、
神戸の猛攻をひたすら耐え忍ぶ展開が続く。
武藤のシュートを一森がビッグセーブで凌ぐなど、なんとか失点せずに持ち堪えていたものの、
この展開が続けば失点するのも時間の問題のように思われたけど、
そんな試合のターニングポイントとなったのは、
宇佐美とダワンに代えてジェバリとネタ・ラヴィという交代。
この試合をDAZNで解説した橋本英郎は、中央でキープ出来るジェバリを投入することで、
両サイドを生かそうという狙いじゃないかと言っていたけど、
どっちかと言うと、ネタ・ラヴィが得意のターンで中盤で時間を作ることで、
両サイドが高い位置を取れるようになったように見えた。
すると、歓喜の瞬間はほどなく訪れる。
半田のクロスを酒井高徳がクリアしてルーズになったボールに反応したウェルトンが、
ペナルティアーク付近から左足を振り抜くと、
このシュートがゴール右に突き刺さり、後半25分にガンバが先制。
これまでイージーなシュートを何度も外していたので、
シュートを打つよりゴールまでドリブルした方がいいんじゃないかとすら思っていたけど、
これまでのシュートミスが嘘のような見事なゴラッソだったね。
1点ビハインドになったことで、
セレッソ時代も含めて何度もガンバ守備陣を苦しめてきているジェアン・パトリッキを投入し、
さらに攻勢を強めてくる神戸。
ただ、そんな試合展開でも次のゴールを奪ったのはガンバ。
一森からのロングフィードを受けたジェバリがCKを獲得すると、
鈴木徳真が蹴ったCKをニアで触ろうとした山口蛍のクリアが、
そのまま前川の守るゴールマウスに吸い込まれ、ガンバに追加点。
ピンク出身の山口蛍なんて世話した覚えは無いんだけど、
こんな形での恩返しならいつでも大歓迎だぜ。
その後、後半アディショナルタイムに武藤にPKを決められて1点差に迫られるも、
神戸の立て続けのCKを全員で体を張って凌ぎ切り、5連勝。
試合後に神戸の吉田監督は、大迫のゴール取り消しなどがあったので、
「審判のせいで負けた」みたいに言っていたみたいだけど、
ガンバとしても武藤のPKに繋がった福岡のファウルはかなり微妙だったので、
ジャッジに振り回されたのはお互い様だったように思う。
神戸の次節の対戦相手は町田みたいなので、町田の黒田監督と、
主審へのクレームが多い監督同士仲良く傷の舐め合いでもしてればいいんじゃないでしょうか。
平日の鹿島國から勝ち点を持ち帰れ
勝負の3連戦の初戦を取ったガンバの次の試合は、
中3日で鹿島アントラーズとのアウェイゲーム。
先月のヴェルディ戦でもそうだったけど、
ポヤトスはミッドウィークのアウェイゲームは引き分けでもOKという、
割り切った戦い方をすることもあるので、どう出るだろうか。
まあ、いずれにせよ「絶対に勝つ!」ぐらいな気持ちで臨まないと、
鹿島から勝ち点1すら持ち帰るのは難しいので、
戦う前から変に守りに入らないようにだけはしたいところ。
おそらく神戸戦で負傷した山田は遠征メンバーには帯同しないだろうから、
代役を務めることが濃厚である坂本には、
ホームに続いてアウェイでも鹿島に一発お見舞いして欲しいね。
ガンバ大阪2ー1ヴィッセル神戸
’70 ウェルトン
’85 オウンゴール
’90+1 武藤嘉紀