【天皇杯準々決勝 サンフレッチェ広島vsガンバ大阪】好相性のピースウイングでベスト4の扉が開く

キックオフの笛が鳴ったら日程の話は無しで

8月31日に予定されていた大阪ダービーが台風の影響で延期になり、
図らずも17日間の中断期間に突入した我らがガンバ大阪は、
中断明け一発目の試合として天皇杯準々決勝のサンフレッチェ広島戦に臨んだ。

試合間隔が空いて休養十分のガンバに対し、
広島は120分間の激闘を強いられたルヴァンカップの名古屋戦から中2日と、
彼らのホームであるピースウイングで試合が出来るという
アドバンテージが吹き飛ぶほどのハンデを背負ってこの試合に臨んでいる。

とは言え、ガンバには試合間隔が空くと逆にパフォーマンスが落ちるという伝統芸があるので、
試合が始まったらどっちが日程面で有利かなんて気にせずに、
全力で天皇杯ベスト4の切符を掴みに行って欲しいところだ。

先制点を喜んだのも束の間・・・

日曜日の名古屋戦と比べて幾分荒れ具合が解消されたピースウイングのピッチに、
ポヤトスが送り出した青黒のスタメンは以下の11人。

ネタ・ラヴィがイスラエル代表に選出されているからか、
ボランチの組み合わせは鈴木徳真と美藤。

宇佐美とダワンがベンチスタートなのは、
中2日で浦和戦が控えていることを考慮してのものだろうか。

広島の満田に立て続けにシュートを打たれる試合の立ち上がりになったけど、
先に足が止まってくるのは日程面で不利な広島のため、
先制点が欲しい広島が飛ばし気味で試合に入ってくることは想定内。

この時間帯を中谷や一森をはじめとしたガンバの守備陣が集中した守りを見せて凌ぐと、
左サイドからのウェルトンのパスを受けた山田が、
右足をコンパクトに振り抜いてゴールネットを揺らし、前半14分にガンバが先制。

得点力に課題があると言われる山田だけど、5月に味スタでのFC東京戦で決めたゴールも、
右サイドのウェルトンからのパスをワントラップしてシュートという形だったので、
このパターンに多くトライすればもっとゴールを獲れるんじゃないだろうか。

守勢を強いられる時間帯が長いながらも、早い時間帯に敵地で先制することに成功したガンバ。

しかしながら、得点した直後は集中力が切れやすいとはよく言ったもので、
鈴木徳真のパスミスが起点で食らったカウンターは一度は中谷が防いだものの、
中谷と岸本の間でパスの意図が合わずに東にカットされると、
東のパスを受けた加藤にシュートを決められてしまい、
山田の先制ゴールからわずか2分でリードを吐き出してしまった。

まあ、自分たちで蒔いた種とは言え、
広島移籍後はおとなしくなったと思っていた加藤に決められると、
大阪ダービーで何度も痛い目に遭わされた苦い記憶が蘇ってきて気分が悪いわ。

その後は、また広島に試合の主導権を握られてしまうも、
シャドーのポジションで創造性を発揮していた広島の新星・中島洋太朗が、
筋肉系のトラブルでドウグラス・ヴィエイラと交代になったことで、
広島の攻撃力の火力が落ちたのはガンバの守備にとって大きかった。

とは言え、18歳ながら何年もJリーグでプレーしているかのような風格を感じる中島洋太朗が、
将来どんな選手になるのか注目しているので、ケガが大事に至らないことを祈りたいね。

結局、前半はこのままスコアは動かず、1-1のタイスコアでハーフタイムを迎えることに。

背番号15はピースウイングが大好物

お互いにハーフタイムでの交代は無く迎えた後半も、
試合の流れは広島とガンバの間を行ったり来たり。

そんなこう着状態を打破すべく、
ポヤトスは坂本、美藤、山下に代えて宇佐美、ダワン、福田を投入し、
ギアチェンジを図る。

ルヴァンカップの琉球戦以来のスタメンになった美藤は、
自分でドリブルで持ち上がってシュートを打つ場面が一度あったものの、
足裏を見せたタックルでイエローカードを貰ってしまうなど、
ファウル癖は相変わらずで、アピールし損なったかなという印象だったね。

3枚替えの効果は早速現れ、宇佐美がピッチの至るところに顔を出してパスを受け、
試合のテンポを落ち着かせれば、福田は縦への推進力、ダワンは中盤に強度をもたらすと、
ついに後半34分に歓喜の瞬間が訪れる。

左サイドでボールをキープしたウェルトンが中央へ走り込んだ岸本にパスを送ると、
岸本はアルスランの寄せが甘いと見るや、ワントラップから左足を振り抜き、
ゴールの隅へコントロールショットを決めてみせた。

この試合の岸本は、前半の失点に絡んだ場面だけでなく、
セーフティにクリアしておけばいいような場面でリスクの高いボールキープを選択して、
相手にボールを渡してしまうといった軽率なプレーが散見されたので、
松田と交代させてもいいんじゃないかと思っていたんだけど、
ゴールを決めて全てを帳消しにしてみせたね。

その後は、中野と荒木を高い位置に残してパワープレーを仕掛けてきた広島に対し、
ガンバは倉田と江川を投入して応戦。

中谷がペナルティエリア内でパシエンシアと交錯した場面で、
清水主審がペナルティスポットを指差した時は背筋が凍りついたけど、
この場面は中谷がファウルを受けた側としてガンバボールで試合再開になり、難を逃れた。
(主審が紛らわしいジェスチャーするなっちゅうねん)

試合の最終盤のドウグラス・ヴィエイラのボレーシュートも一森がキャッチして凌ぎ、
ガンバが1点リードを守り切ってベスト4進出。

準決勝の相手がマリノスと山口のどちらになるかはまだわからないけど、
ここまで来たらてっぺんとって国立で賜杯を掲げたいね。

昨季と同じようにいくと思ったら大間違いだ

120分の試合から中2日と思えない強さだった広島を降し、
天皇杯ベスト4進出を決めたガンバの次の試合は、中2日でホームの浦和戦。

4月に埼玉スタジアムで対戦した時は、
坂本のゴールでウノゼロで勝利を収めることが出来たけど、
当時の浦和の監督のへグモは解任され、
代わりに昨季の浦和の指揮を執ったスコルジャが戻ってきたのは、
昨季、スコルジャ・レッズに4戦4敗のガンバにとっては悪夢でしかない。

とは言え、当時の浦和を支えたショルツやカンテ、酒井、伊藤などは退団しているので、
同じようにはいかないだろうし、ガンバとしても同じようにいかせるつもりもない。

広島戦で30分程度しかプレーしていない宇佐美やダワンは元気だろうから、
彼らの活躍で浦和に膝をつかせてシーズンダブルといきましょう。

サンフレッチェ広島12ガンバ大阪
’14 山田康太
’16 加藤陸次樹
’79 岸本武流