【北米ワールドカップ アジア最終予選 サウジアラビアvs日本】鬼門を過去のものにした日本代表

今の日本には金では買えない強さがある

難しいと言われることが多いワールドカップのアジア最終予選に於いて、
初戦の中国戦をホームで7-0、続くアウェイのバーレーン戦を5-0で制した我らが日本代表。

今回のアウェイのサウジアラビア戦はこれまで3戦全敗と鬼門だけど、
今の日本代表であればこんなくだらないジンクスは造作も無く蹴散らしてくれるはず。

初戦のインドネシア戦をホームで引き分けたことで、
去就が取りざたされているらしいサウジアラビアの指揮官のマンチーニには、
来週から次の職場を探してもらいましょう。

ジッダで光った日本の選手たちの適応力

今週になってようやく秋めいてきた日本とは対照的に、
今だに40度を超える猛暑が続くジッダのピッチに立った日本代表は以下の11人。

先月のバーレーン戦と同じスタメン。

個人的には南野のところは久保でも良いと思ったけど、
カウンターが強力なサウジアラビアを相手にした時に、
久保と堂安が攻撃時にポジションを崩すのはリスクと判断したのかな?

これまでのアジア最終予選の試合を3バックで戦っていたサウジアラビアが、
この試合では4-3-3の布陣を採用したことで、スカウティングが外れた日本。

試合の入りこそ中盤の守田と遠藤のところが数的不利になって、
ボールを奪われる場面が目についたけど、そこは経験のある選手たちで難なくアジャスト。

「中央が数的不利なら外が空くでしょ?」とばかりにサイドに起点を作ると、
堂安のサイドチェンジを三笘がワンタッチで折り返し、
これをさらに守田が頭で折り返したところに走り込んだ鎌田がゴールネットを揺らし、
前半14分に日本が先制に成功。

なんと、これが日本がアウェイのサウジアラビア戦で挙げた初ゴールなんだとか。

先制した日本は積極的に前線からプレスをかけることをやめ、
サウジアラビアにボールを持たせる戦い方にシフト。

ピッツィが監督だった頃に落とし込んだポゼッションは、
マンチーニが監督になってすっかり失われているようで、
セットした日本の守備を前にして攻めあぐねるサウジアラビアは、
イエローカードを貰っている南野にちょっかいを出して退場を誘ったり、
FKやPKを獲得しようとダイブを繰り返すなど、姑息なプレーが目立ち始める。

俗に言う”中東の笛”を期待してのプレーだったと思うけど、
この日の韓国人の審判団は多少のコンタクトプレーは流す傾向だったので、
サウジアラビアの目論見は儚くも崩れてしまう。

まあ、そうは言ってもサウジアラビアも力のあるチームなので、
一本、鈴木彩艷の素晴らしいセービングで難を逃れる場面はあったものの、
45分通してみれば安定した戦いが出来ていたという印象の前半だったね。

グループC最大のライバルも恐るるに足らず

後半に臨む日本は、イエローカードを貰っていた南野に代えて伊東純也を投入したのに対し、
サウジアラビアは前半の4-3-3から3-5-2へ布陣変更。

この交代によりフォーメーションのギャップが少なくなったことで、
前半と比べて日本の攻撃が上手く守られてしまう場面が多くなったけど、
一方でサウジアラビアがウイングを置かない布陣に変更したことで、
前半の日本の右サイドの脅威となっていた左ウイングのアルダウサリが試合から消えたので、
日本にとってはプラマイゼロといったところ。

その後も、鎌田に代えて前田大然を投入して前線の運動量を確保しつつ、
1点リードを保って試合を進めていた日本だけど、追加点を奪うまでには至らず。

「勝っているとはいえリードが1点だけだと心許ないよな」と思っていたところで、
追加点をもたらしたのは、後半31分に上田との交代でピッチに入っていた小川。

伊東純也のCKの場面で、町田がニアサイドに走ってサウジアラビアの選手を引きつけると、
空いた中央のスペースに後ろから走り込んだ小川がドンピシャのヘッドを沈め、
後半36分に日本がリードを広げることに成功。

先月の中国戦での遠藤のゴールと同様に、
サウジアラビアのセットプレーのディフェンスがマンツーマンであることを利用して、
上手くフリーの選手を作り出した見事なセットプレーだったと思う。

2点ビハインドとなったことで意気消沈したのか、
前半は元気良く応援していたサウジアラビアのサポーター達は一斉に帰路に着き始め、
スタンドには空席が目立つように。

そんなスタンドの雰囲気がピッチにも伝播したのか、
2点ビハインドとなったことでマンチーニは再び布陣を4-3-3に戻す決断をするも、
ピッチにいる選手たちに上手く伝わっていないようで皆立ち位置がバラバラ。

そんなサウジアラビアを尻目に、
三笘と堂安に代えて久保と中村敬斗を投入するという選手層の厚さも見せつけ、
これまで一度も勝てなかったサウジアラビアとのアウェイゲームに見事完勝。

常々難しいと言われ続けていたワールドカップのアジア最終予選で、
3戦全勝14得点0失点という非の打ち所がない成績を残しているところを見ると、
今の日本にとって最終予選は、
これまでの二次予選と同じぐらいの難易度になりつつあるんだろうね。

サカルーズの脅威も今は昔

アウェイでサウジアラビアを降した日本の次の試合は、オーストラリアとのホームゲーム。

オーストラリアは最終予選に入ってから監督交代に踏み切り、
広島でプレーをしたトニー・ポポヴィッチがベンチに座っているけど、
昨日の中国戦で新体制の初陣を飾ったとは言え、
日本が7-0で勝利した中国を相手に先制を許すなど、好発進とまではいかないように見える。

かつては日本のライバルとして立ちはだかっていたオーストラリアだけど、
今となっては日本が本来の力を出せば問題無く勝てる相手だと思うので、
気を緩めることなく埼玉スタジアムでの試合に臨んで欲しいね。

サウジアラビア02日本代表
’14 鎌田大地
’81 小川航基