【全国高校サッカー選手権大会 開幕戦 帝京vs京都橘】15年ぶりに新しいページが刻まれたカナリアイエローの選手権での歴史
我らが宮本恒靖の挨拶で始まった熱い冬
青森山田が正木監督体制での初優勝を飾った102回大会の決勝から約1年、
今年も高校サッカー選手権の季節がやってきた。
例年、高校サッカー選手権の開会式は、
田嶋幸三のスポンサーに媚び諂った長い挨拶にゲンナリさせられていたけど、
今大会は田嶋幸三からJFA会長の座を引き継いだ宮本恒靖の挨拶で、
引き締まるような気持ちで大会を迎える事が出来た。
日本独自の文化として発展してきた高校サッカー選手権、
103回目となった今大会はどんな1ページがその歴史に刻まれるだろうか。
伝統のカナリアイエローが選手権に帰ってきた
開会式の後に行われる開幕戦のカードは、東京B代表の帝京と、京都代表の京都橘の一戦。
帝京と言えば、選手権で通算6度の優勝を誇る名門だけど、
選手権の舞台からは長らく遠ざかっていて、今大会は15年ぶりの出場。
ただ、選手権の舞台から遠ざかっていたとは言え、プリンスリーグ関東1部に所属していて、
一昨年のインターハイでも準優勝するなど、決して低迷していたわけではないので、
今大会で上位に進出しても何ら不思議は無い。
対する京都橘も、一時は選手権の常連校だったけど、
ここ数年は東山の影に隠れている感があるので、
今大会で結果を出して、京都に京都橘ありというのをアピールしたいところだろう。
そんな両校の一戦は、開会式の余韻がピッチに残る前半5分という早い時間に動く。
帝京がカウンターから京都橘のゴールを強襲しCKを獲得すると、
11番堀江のCKから3番ラビーニが打点の高いヘディングシュートを叩き込み、
帝京が先制に成功。
この左SBのラビーニという選手は帝京の戦術上のキーマンのようで、
帝京は基本4-4-2の布陣ながら、ポゼッションの時はラビーニに常に高い位置を取らせ、
左サイドハーフの堀江との連携で左サイドから崩そうという意図が見えたね。
対する京都橘もそのラビーニの裏を狙う攻撃を多用して多くのCKを獲得し、
ファーに選手を固めてからペナルティエリア内に散らばらせる
変則的なセットプレーで帝京のゴールをこじ開けようとしていたけど、
帝京のゾーンディフェンスが京都橘の選手の動きに釣られなかったことで、
ゴールを奪うというところまではいかなかった。
結局、前半は帝京が1点リードしてハーフタイムを迎えたけど、
京都橘も手も足も出ないという感じではなかったので、
帝京としては後半の早い時間帯に追加点が欲しいなという展開だったね。
関西勢キラー・帝京、此処に在り
後半のピッチに入ってくる京都橘のイレブンに向かって京都橘の応援団が歌ったのは、
2024年からガンバ大阪サポーターが歌い始めた「闘志を纏いしその魂〜」のチャント。
(「ウッ!ウッ!」の箇所のキーが高くて迫力不足だったので改善の余地ありだけど・・・)
今年から歌い始めたチャントが既に高校生にも歌われていることに驚いたけど、
「戦士たちよ俺らの〜」のチャントが高校サッカーでお馴染みになったように、
「闘志を纏いしその魂〜」も高校生に浸透してくれると嬉しいね。
そんなガンバの名物チャントに後押しされたのかどうかはわからないけど、
後半は京都橘のペースで試合が進む。
しかしながら、ショートコーナーから変化をつけたセットプレーでゴールネットを揺らすも、
オフサイドの判定で取り消されれば、
8番吉野と9番伊藤に訪れた決定的なシュートチャンスは枠を捉えられず、
同点ゴールは奪えない。
対する帝京は、CBの5番畑中と20番田所が巧みなラインコントロールでオフサイドの山を築き、
京都橘の攻撃を未然に防いでいたけど、後半に入って防戦一方になっていたので、
このままいくと追いつかれるのも時間の問題のように思えた。
そしてその時が訪れたのは後半33分、
京都橘のCKの場面でショートコーナーから6番執行がゴール前にクロスを送ると、
10番桐原が頭で合わせてスコアを振り出しに戻す。
ようやくこじ開けた帝京のゴールに、この勢いでそのまま逆転といきたい京都橘だったけど、
得点直後にはスコアが動きやすいとはよく言ったもので、京都橘に一瞬の隙が生まれる。
京都橘の16番河村がロストしたボールを前線に送られると、
帝京の10番森田のパスを受けた9番宮本がゴールネットを揺らし、再び帝京が勝ち越し。
後半に入ってからの帝京のチャンスらしいチャンスってこれが初めてだったと思うけど、
京都橘相手にそのチャンスを確実に決めてくるあたり、
関西勢キラーとして名を馳せたかつての帝京の面影を見た気がするね。
(ゴールパフォーマンスの膝スライディングが上手すぎてびっくり・・・)
その後もお互いにチャンスを作るも、
後半アディショナルタイムの執行のシュートがクロスバーに阻まれたところで試合終了の笛。
やはり年末年始の選手権のピッチにカナリアイエローは映えるなと思うのと同時に、
敗れた京都橘も負けてなお強しといった印象で、
開幕戦から良い試合を見せてもらったなと思うね。
そして1月13日の国立を目指す戦いが始まる
斯くして火蓋が切られた103回目の高校サッカー選手権。
高円宮杯プレミアリーグが創設されて以降、
力のある高校が順当に大会を制する傾向が続いているけど、前々回大会の岡山学芸館のように、
誰もが予想しなかった高校が優勝することもあるので、
勝負は下駄を履くまでわからない。
いずれにせよ、今年の年末年始も高校生が繰り広げる熱い戦いを楽しませて貰おうと思います。
帝京2ー1京都橘
’5 ラビーニ未蘭
’73 桐原惺琉
’75 宮本周征