【全国高校サッカー選手権千葉県大会 決勝 流経大柏vs市立船橋】100回目の記念大会は流経レッドに染まるか
柏の葉に映える赤と青
昨今の新型コロナウイルス感染者数減少に伴い、
プロの試合では今月からフラッグやタオルマフラーを使った応援が解禁になるなど、
徐々に元の応援スタイルに戻していこうという動きが見られている。
しかしながら、高円宮杯プレミアリーグやプリンスリーグ、
そして高校サッカー選手権の地方予選など、高校年代の試合は無観客開催、
もしくは保護者・学校関係者のみ観戦可能という試合が多く、
一般の観客が観戦するのは未だにハードルが高い状況である。
収益を追求する必要の無い育成年代の試合を、
万全な感染症対策を施してまで開催する必要は無いということなんだろうけど、
そんな状況下の中、高校サッカー選手権地方予選の準決勝と決勝の、
有観客開催を決断した千葉県サッカー協会の皆さんには本当に感謝を申し上げたい。
高校サッカーを生観戦するのは、一昨年度の高校サッカー選手権の決勝、
静岡学園と青森山田の試合以来、1年10ヶ月ぶり。
そして、そんな久々の高校サッカー観戦のカードが、
流通経済大柏と市立船橋という、プレミアEAST所属校同士の対戦。
まあ、本音を言えば、陸上トラックがピッチとスタンドを隔てていて、
大型モニターすら無い柏の葉じゃなくて、フクアリ開催にして欲しかったけど、
観戦出来ただけでもありがたいのでこれ以上の贅沢は言うまい。
11月14日13時10分、47都道府県で一番レベルが高い地方予選決勝の試合開始の笛が、
秋晴れの柏の葉公園に響いた。
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先制点の歓喜も束の間
序盤、試合の主導権を握ったのは、柏の葉公園から徒歩圏内に学校があるため、
ホーム開催と言っても差し支えの無い流経柏。
マイボールになると前線のスペースへ長いボールを送り込んで、
無骨ながらゴリゴリとボールを前進させ、
相手ボール際には、息つく暇もないほどの素早いプレッシングで即時奪回を狙う。
流経柏にサッカー部が創設されて以来、
20年余り監督を務めた本田裕一郎監督が国士舘高校に去ってもなお、
本田監督が赤色のユニフォームに植え付けたスタイルは未だに根強く残っているね。
対する市船は、流経柏の前からのプレスの前にDFラインからのビルドアップが機能せず、
苦し紛れのロングボールを蹴らされるような展開になっていた。
しかしながら、試合を最初に動かしたのは劣勢に立たされていた市船。
市船の選手が大きく前に蹴り出したボールを、
流経柏のGKが前に出て回収するという何でもない場面だったのだけど、
流経柏のGKがボールコントロールを誤り、
あろうことか近くにいた市船の20番郡司にボールを渡してしまう。
思わぬ形でマイボールを得た郡司は、無駄に際どいコースを狙ったシュートを放つと、
これがポストに当たってゴールマウスに吸い込まれ、市船が先制に成功。
自分たちのペースで試合を進めながら、手痛い失点を喫してしまった流経柏だったけど、
結果的にこの失点で流経柏が目を覚ますことになる。
前半35分にCKが逆サイドに抜けたところを拾い、
角度の無いところからシュートを決めて同点に追いつくと、
その2分後には流経柏の10番の選手が中央を突破して右サイドに展開。
右サイドからのグラウンダーのクロスが逆サイドに抜け通ると、
左サイドでフリーになっていた選手がシュートを決めて、
あっという間に試合をひっくり返してしまった。
流経柏のゴールは2点とも22番の髙足という選手。
サイドの違いこそあれ、2点ともクロスが逆サイドに抜けたところを決めたものだったけど、
難しい角度をよく決めたファインゴールだったね。
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高強度を保ち続けて掴んだ3年ぶりの選手権の切符
前半、市船に自由を許さなかった流経柏の猛烈なプレスは後半に入っても健在。
後半の中盤に差し掛かるとさすがにプレスの強度も落ち、
市船に自陣まで攻め込まれる場面が増えたけど、
そこは選手を入れ替えながら前線のプレスの強度を保ち続けていたね。
そんな中、一際目を引いたのが流経柏の18番。
前半から最前線で市船のCBやGKにプレスを掛け続けているのにも関わらず、
他の選手の運動量が落ちる中でも、
1人だけピッチに投入されたばかりのようなスピードでピッチを駆け回っていた。
しかも、ただの運動量バカではなく、派手なプレーはしないけど、
止める蹴るの基本技術はしっかりしていて、とても良い選手だと思ったね。
僕の近くで観戦していた人の会話を聞く限り、
この18番はスーパーサブ的な選手らしく、スタメンではあまり出ないとのこと。
これだけの選手をベンチに置いておける、今年度の流経柏は相当強いなと思ったね。
しかしながらそれと同時に、この流経柏と高円宮杯プレミアリーグEASTで2試合戦って、
3-0、4-0と圧倒している今年度の青森山田って、
一体どれだけ強いんだろうと思ってしまったけど。
市船も最後まで諦めずに流経柏のゴールを目指していたけど、
この試合の市船で可能性のあるシュートは、前半の先制点の1本と後半の1本ぐらいで、
決定機らしい決定機はそれほど無かったように思う。
9年連続で同じ顔合わせとなった高校サッカー選手権の千葉県大会の決勝だけど、
今年度は2年連続で市船の後塵を拝していた流経柏が意地を見せた格好になったね。
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100回目の記念大会に思いを馳せる
今年度の高校サッカー選手権は100回目の記念大会。
明日、組み合わせ抽選が行われるので、
いよいよ日本サッカーの冬の風物詩が近づいてきたという感じがするね。
昨年度は無観客での開催になってしまっただけに、
今年度こそは有観客のスタジアムで熱い試合を見届けたいところ。
昨年度の山梨学院と青森山田の決勝は、大会史に残る劇的な試合だっただけに、
今年度はどんなドラマが見られるのか楽しみでならないね。
流経大柏2-1市立船橋
’28 郡司璃来
’35 髙足龍
’37 髙足龍