【全国高校サッカー選手権大会 1回戦 前橋育英vs米子北】プレミア勢と言ってもピンからキリまであるということ

大晦日の2回戦に駒を進めるのは?

昨日戦いの火蓋が切って落とされた高校サッカー選手権は、この日が1回戦。

まだシード校が登場していない1回戦の段階で、
矢板中央vs岡山学芸館や東福岡vs尚志という好カードが組まれる中、
僕が訪れたのは駒沢陸上競技場で行われた前橋育英vs米子北の一戦。

今年度は高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグで戦った両校とあって、
高いレベルの試合が見られるという期待の眼差しがピッチに注ぐ中、
12時5分にキックオフのホイッスルが鳴った。

負傷者が出て改めて認識する選手層の厚さ

お互いに4-4-2の布陣を採用したミラーゲームだけど、
自分たちでボールを動かして能動的に攻撃を仕掛ける前橋育英と、
ソリッドな守りから素早く前線に展開する堅守速攻が持ち味の米子北と、
志向するサッカーは対極。

試合開始早々に、前半を西日が眩しいエンドに取った前橋育英が、
DF陣のハイボールの処理のミスでピンチを迎える場面はあったものの、
その後は前橋育英のハーフコートゲーム。

2年生10番平林のドリブル突破を武器に左サイドを前進し、
米子北のディフェンスを左サイドに寄せたところで、
サイドチェンジで右SBの3番瀧口に展開するという形で、何度も米子北のゴールを脅かす。

米子北もインターセプトから速攻を仕掛ける場面はあるものの、
前橋育英の驚異的な攻から守へのトランジションの前に、自陣から出ることすらままならない。

いくら堅守の米子北と言ってもそんな試合展開で長時間持ち堪えられるわけもなく、
瀧口のクロスにニアに飛び込んで合わせた8番オノノジュが決め、前半19分に前橋育英が先制。

このオノノジュという選手、昨年の選手権の1回戦の立正大淞南戦でもゴールを決めていて、
その時から良い選手だなと思っていたけど、
1年経ってさらに体が強くなってスケールの大きいプレーヤーに成長した感があるね。

ところが、そのオノノジュが米子北の守備陣との交錯で、
左の腰?を痛めて前半のうちに負傷交代してしまう。

いくら前橋育英が主導権を握って試合を進めているとは言え、
僅か1点リードの状況でエースが負傷交代というのは痛いんじゃないかと思っていたら、
交代で出てきた7番白井が爆発的なスピードで右サイドを蹂躙。

オノノジュとは違った驚異を米子北ディフェンスに与えたことで、
前橋育英の選手層の厚さを思い知らされたね。

後半も力の差を見せつけた上州の虎

前橋育英としては早い時間帯での追加点、
米子北としては同点に追いつきたいという状況で迎えた後半。

前半はマイボールになるとすぐに前線に蹴っていた米子北が、
マイボールの時間を大事にする戦い方にシフトしたからか、
前半と比べるとセンターサークル付近の攻防が増えたように思えた。

それでも前橋育英のペースは変わらずに試合が進むと、
前半に途中出場してから再三の好機を演出していた白井が中央をドリブルで持ち上がり、
右サイドを駆け上がった瀧口に展開すると、
瀧口のクロスを15番佐藤が決めて後半19分に前橋育英が2点目。

その後も米子北の中村監督は選手を入れ替えながら前橋育英のゴールを目指すも、
ゴールネットを揺らすことは出来ず、対する前橋育英の山田監督は、
2回戦を見据えて平林と佐藤をベンチに下げる余裕を見せ、危なげなく試合をクロージング。

高円宮杯プレミアリーグ所属の両校とあって、
実力伯仲の試合が見られるのではないかと期待していたけど、
蓋を開けてみたら、シーズン終盤の追い上げで中位でシーズンを終えた前橋育英と、
プリンスリーグ中国に降格した米子北というチームの完成度が見えたような試合だったね。

最激戦区の趨勢は?

Bブロック最大の難敵だった米子北を降した前橋育英は、
おそらく準決勝までは順当に勝ち上がってくると予想。

そんなBブロックと違いどこが勝ち上がってくるのか読めないのが、
今大会の最大の激戦区Aブロック。

前回大会王者の青森山田が最右翼なのは間違いないけど、
その青森山田の対抗馬になると思われる静岡学園と東福岡の戦いを、
大晦日の浦和駒場で見届けて来ようと思う。

前橋育英20米子北
’19 オノノジュ慶吏
’59 佐藤耕太