【明治安田生命J1リーグ11節 サガン鳥栖vsガンバ大阪】監督解任ブーストの餌食

2020年11月1日

クラブ経営って難しい

今季から就任したばかりのカレーラス監督の解任に象徴されるここまでの低迷に加え、
6億円を超える赤字を計上したことで、その手腕に批判が集まっている鳥栖の竹原社長。

ただ、この人が社長に就任しなければ、
万年J2に甘んじていた地方クラブの一つに過ぎなかったサガン鳥栖が、
8シーズンに渡りJ1で戦えるクラブになる事は無かったと思うので、
竹原社長を一概に責める事はできないと思っている。

この件で思い出すのは、大分トリニータの社長を務めていた溝畑社長のこと。

彼もJ1で実績のある選手を多く獲得し、シャムスカ監督の手腕も相まって、
西川や清武などの将来有望なユース出身選手との融合に成功し、
ナビスコカップ優勝などの成果を挙げたけど、
身の丈に合わない背伸びした経営は長くは続かず、
経営難から一時はクラブ存続の危機にまで追い込まれてしまった。

クラブとして上を目指すには少なからず背伸びをする必要はあるし、
かと言って背伸びをし過ぎるとクラブの財政を窮してしまうので、
クラブ経営って難しいものだなとつくづく考えさせられる。

ただ、世界的な知名度を誇るストライカーであるフェルナンドトーレスを獲得し、
プロスポーツクラブとして興行的な成功を目指した竹原社長の志は評価したいので、
個人的にはサガン鳥栖には頑張って欲しいと思っているところは少なからずあるのだけどね。

良い流れはいつまで経っても掴めない

冒頭にサガン鳥栖には頑張って欲しいと書いたけど、ガンバと試合するとなると話は別。

リーグ戦で15位に沈む現状、
最下位に沈む鳥栖相手には確実に勝ち点3を取っておきたかったのだけど、
今季ここまでの10試合で1得点しか挙げることができていない相手に3失点を喫し敗北。

さらには、うまくプレーできない苛立ちや、主審の微妙な判定にナーバスになり過ぎ、
ラフプレーに走ってカードを貰うなどの醜態も晒してしまった。

食野が試合終了間際に個人技から1点を返したことで多少溜飲は下がったけど、
それまでの試合展開は今季ワーストと言ってもいいぐらい酷いものだった。

前節のFC東京戦では全員がハードワークした結果、
首位をひた走る相手から勝ち点1を奪うことに成功し、
直近のリーグ杯では清水に快勝してプレーオフステージへの進出を決めるなど、
ここのところ復調の兆しはあったのに、
またしてもその良い流れを自ら手放してしまう形になってしまった。

そもそも間違っていたスタメンの人選

悪いところを挙げていけばキリがないのだけど、
この試合の交代カードが誰に使われたかを見れば問題の所在は明らかになるように思う。

この試合の鳥栖は、トップ下の遠藤のところにボールが入るとかなり厳しく寄せてきたけど、
言い換えると、「遠藤のところでボールが奪える」と見られているんだなと思った。

かつては相手のプレッシャーをいなしながらパスを捌くこともできたのだけど、
ロストを繰り返し、鳥栖のカウンターの起点となっていた背番号7に、
ハーフタイムで白いタオルが投げ込まれたのは当然。

そして、この試合の鳥栖は、遠藤からボールを奪うと、
米倉のサイドにボールを展開して攻めてきた。

ここのところ比較的安定したプレーを見せていた米倉だけど、
如何せんこの選手は試合に出してみないと調子の良し悪しがわからないところがある。

不運なことにこの試合の米倉はダメな時の米倉で、
鳥栖に集中的に攻撃されたガンバの右サイドは大炎上し、
この試合でガンバが喫した3失点全ての起点になってしまった。

右サイドがダメなら、
ガンバのストロングポイントである左サイドから押し返したいところだったけど、
ガンバの左SBは攻撃が不得手であるオジェソク。

パス回しがことごとく左サイドでノッキングを起こし、
左サイドMFでスタメン出場したアデミウソンに攻撃力を発揮させることが出来なかった。

オジェソクとの交代で黒川が左SBに入ってから、
左サイドでのパス回しがスムーズになったことが、
どれだけオジェソクのところで攻撃が停滞していたのかを証明していると思う。

そもそも、この試合のベンチには右SBの高尾と左SBの黒川が入っていたのだけど、
先日のリーグ杯でのパフォーマンスに鑑みれば、スタメンで起用するのならこの2人だろう。

そして、遠藤のところには食野か中村だろう。

まあ、遠藤をスタメンから外すには色々と大人の事情がありそうな気がしてならないけども。

本来の姿が垣間見えた鳥栖

ガンバの悪さばかりが際立った試合だったけど、
鳥栖のサッカーはリーグ戦で最下位に甘んじているチームのそれではなかった。

カレーラス監督時代は、本来のチームカラーとは相反するパスサッカーを志向していたけど、
昨季の終盤も指揮を執った金明輝監督に代わってから、
全員がサボらずにボールホルダーに対してプレスをかけ続け、
奪ったボールはシンプルに最前線の豊田に当てるという、
尹晶煥監督時代の強かった頃の鳥栖を彷彿とさせるサッカーへ回帰。

上手くいかなくなった時に立ち返るスタイルがあるチームはなかなかしぶとい。

このサッカーを続けていけば、鳥栖が最下位という順位を脱出して、
中位に浮上するのも時間の問題かもしれない。

ガンバも前節のFC東京戦ではこの日の鳥栖ぐらいのハードワークをしていたと思うのだけど、
やはり気温30度近い中のデーマッチでは、
情けないことに年齢層の高いガンバの中盤は走れなくなってしまうようだね。

大阪ダービーはもう始まっている

言わずもがな、次節は大阪ダービー。

鳥栖に勝って弾みをつけた状態で臨みたかったところだけど、
7試合勝ちなしという状態になってしまったことは仕方がない。

敢えて言うまでもなく、大阪ダービーは、
「今の順位とかチームの状態とか関係無しに絶対に勝たなくてはいけない試合。」
(まあ、ここ数年、セレッソの方が順位が上の状態でダービーを迎えることが増えたので、
敢えて上記を強調している気がしなくもないけど)

来週はパナソニックスタジアム吹田に全国のガンバサポーターのパワーを集中させて、
憎っくきピンクの集団を蹴散らしてやろうではありませんか。

サガン鳥栖31ガンバ大阪
’16 イサッククエンカ
’72 豊田陽平
’90 原川
’90+2 食野亮太郎