【明治安田生命J1リーグ34節 鹿島アントラーズvsガンバ大阪】我々の首の皮は意外と分厚かったようだ

未来は自分たちの手で掴むもの

我らがガンバ大阪の来季の戦いの場が決まる2022年シーズンのJ1最終節。

長年、サポーターから嘱望されていた片野坂知宏を監督として迎えた時は、
この時期になってもJ1残留が決まっていない未来が待っているなんて思わなかったけど、
今夏就任した松田浩監督の手腕により、
なんとか自分たちの手で残留を決められるところまで漕ぎ着ける事が出来た。

そんなガンバの最終節の対戦相手は鹿島アントラーズ。

開幕戦の対戦相手でもある鹿島には、
今季、カップ戦も含めて4回対戦して4度とも敗れているので、
勝ち点を挙げることは容易では無い。

もし、ガンバが鹿島に勝てなくても他会場の結果次第で残留を決めることは出来るけど、
他会場の結果に自らの命運を委ねるより、
自らの手で2023年シーズンをJ1で戦う権利を勝ち取りたいところだ。

前半耐えて後半勝負・・・ということでいいよね?

J1残留を願う多くのサポーターの期待を背に、
カシマスタジアムに送り出された青黒の11人は以下の通り。

前節の磐田戦のスタメンからレアンドロ・ペレイラと小野瀬が外れ、
磐田戦勝利の立役者でもある食野とパトリックの2人が入った。

ペレイラと小野瀬はベンチにも入っていなかったけど、ケガでもしたのだろうか?
(最終節だから来季の契約のこととか色々勘繰ってしまうけど・・・)

試合開始早々、黄金の脚賞の受賞者である黒川がルーズボールの処理を誤り、
松村に入れ替わられてピンチを迎えた時はどうなることかと思ったけど、
その後は、カウンターで敵陣に攻め入る場面も何度かあったので、
シュートは少ないながらもそこまで悪い印象は無かった。

対する鹿島は、
夏に上田が海外移籍してからも鈴木優磨のフリーマン的な役割を見直さなかったせいで、
攻撃が上手くいかなくなった印象があったけど、
この試合の鈴木は、ガンバのゴールに近い位置からあまりポジションを変えなかったので、
いつも以上に気が抜けない存在だったように思う。

ただそこは古巣対戦に燃えていたであろう昌子を始め、
DF陣が体を張って守っていたのでなんとか仕事をさせなかった。
(ペナルティエリア内で鈴木のシュートが昌子の腕に当たったように見えた時はヒヤリとしたけど)

結局、前半をスコアレスで折り返す展開にはなったものの、
CBの三浦と昌子のフィードを起点に、左サイドは黒川のオーバーラップ、
右サイドは食野のドリブルで攻めるという形が出来ていたので、
後半になってオープンな展開になれば得点出来るだろうという感触はあった。

試合には勝てなかったけど賭けには勝った

J1残留を勝ち取るために後半に得点を挙げたいガンバだけど、
そんな意に反して試合の主導権を握ったのは鹿島。

ディエゴ・ピトゥカや途中出場の荒木に立て続けにシュートを打たれるなど、
いつ失点してもおかしくないような試合展開が続き、
守備に奔走されていたファン・アラーノと食野のプレー精度がガクッと落ちてしまう。

これを受けて松田監督は、後半18分にファン・アラーノに代えて福田、
後半26分に食野に代えてウェリントン・シルバという交代カードを切って、
電池の交換を試みるも、スタメンの2人と比べるとクオリティ不足感は否めず、
ガンバは攻撃に出ることが出来なくなってしまった。

またそれに加え、前半から関川に封じ込まれていたパトリックが、
後半になっても仕事をさせてもらえなかったのも痛かった。

鈴木武蔵や山見という攻撃のカードも残っていたけど、
最終的に松田監督が選んだのはこの試合で勝ちに行くのではなく、
18位磐田と16位京都の試合がドローで終わることに期待してスコアレスで試合を終わらせること。

まるで2014年の最終節のように、
勝っているわけでもないのに試合終盤にスッと攻撃の手を緩め、
コーナーキープで時間を使い始めるガンバ。

その目的は8年前とは雲泥の差だけど、京都が1点取れば失敗に終わる賭けに見事に勝利し、
なんとか2023年シーズンをJ1で戦う権利を手に入れることが出来た。

試合の最後らへんは鹿島の選手たちも状況を察してくれたのか、
ガンバから強引にボールを奪おうとする様子もなかったので、
情けをかけられたような感じもしたけど、
せっかくJ1に残ったからには、ガンバが優勝争いをしていた頃のように、
来季は鹿島とバチバチやりあえるようになれればいいなと思う。

シーズンの終わりに際して

一時はJ2降格を覚悟した時期もあったけど、
片野坂監督の後を引き継いで火中の栗を拾ってくれた松田監督には感謝しかない。

対戦相手によってコロコロ変わる戦術に振り回されていた感のある選手たちは、
コンパクトでソリッドな4-4-2という共通理解の下で動き方が整備され、
ペレイラを筆頭にモチベーション低下が顕著だったブラジル人選手たちは、
指揮官の人心掌握術で彼らが本来持っているクオリティを取り戻した。

松田監督が神戸を率いていた頃は、
まさかガンバサポーターの僕がこの人に感謝する日が来るとは思ってもみなかったね。

とは言っても、今シーズンでガンバが挙げた勝ち点は37。

ガンバがJ2に降格した2012年シーズンで挙げた勝ち点38よりも少ない数字だ。

来季も松田監督でいくのかそれとも別の監督を招聘するのかは、
このブログを書いている時点ではわからないけど、
フロントをはじめとしたチーム関係者はこの数字を重く受け止めて、
来季の戦いにつなげてほしいと思う。

再来週にフランクフルトとの親善試合があるので、今季のチーム活動はまだ続くけど、
1年間青黒のユニフォームを身にまとって戦ってくれた選手たちには、
ひとまずお疲れ様と言いたいね。

鹿島アントラーズ00ガンバ大阪