【明治安田生命J1リーグ14節 ベガルタ仙台vsガンバ大阪】杜の都で再起動した宮本ガンバ

2020年11月1日

良い日もあれば悪い日もある

4連勝で2位につけ、「毎年スロースターターなのに、
今季はスタートダッシュに成功したね」なんて言っていた日もあったのに、
ここ数日ガンバ大阪について語られている言葉は、
ネガティヴなものが多くなってしまっている。

そんなガンバを取り巻くネガティブな論調の中心にいた藤春は、
この試合も左WBのポジションでスタメン起用。

「自分のミスは自分の力で取り返して来い」という
宮本監督のメッセージが聞こえてきそうな采配だけど、
特にミスをしたわけでもない福田に全然チャンスが与えられないことに、
釈然としない気持ちを持っていたりもするのだけども。

まあ、それはそれとして、チームは生き物なので、
1シーズン絶好調の状態のまま乗り切れないのは当たり前。

重要なことはチームのベクトルが下向きになった時に、
そのベクトルをどれだけ早く上向きに戻せるか。

この試合がJ1初スタメンの山本、そしてJ1で初のベンチ入りとなった川﨑が、
ベクトルを上向きにするための起爆剤となってくれることを期待している。

自陣でのリスクを回避する戦い方

4試合ぶりの勝ち点3を目指して仙台に乗り込んだガンバだけど、
前半4分にCKから先制点を献上。

正直、「何やってんだよ」と思ったけど、
ガンバのゾーンディフェンスの間に入ってきたゲデスの頭に、
ピンポイントで合わせた敵ながら見事なCKだったね。

出鼻を挫かれたガンバだったけど、
その4分後に山本がJ1初ゴールを決めてスコアを振り出しに戻すと、
前半15分には宇佐美のCKをニアで三浦が逸らしたところを、
ファーでアデミウソンが押し込んで、すぐさま逆転に成功。

得点を期待して山本をアンカーで起用したわけでは無いと思うけど、
抑えの利いた見事なミドルシュートだったね。

前半39分にはここ最近のガンバのお約束である、
「ペナルティエリア内のハンドでPKを献上」のイベントが発生したけど、
この日は西村のPKを東口がストップして、
1点リードで前半を折り返すことが出来た。

前半のガンバの戦いを見て、前節のFC東京戦から変わったなと思ったのが、
今季のガンバはDFラインからのビルドアップに取り組んでいるけど、
ここ数試合、自陣でのパスミスで失点を重ねていることを踏まえ、
後ろから単純に前線にフィードする場面が多かったね。

もし仙台がこの1週間、ガンバの後方でのビルドアップに対し、
前線からプレスを掛ける戦い方を準備していたのなら、
敵将の木山監督には「ご苦労様でした」という言葉をかけてあげたいね。

エリア15

後半に入ってからはどちらかと言うと仙台のペースで試合が進んでいたけど、
その流れを変えたのが後半23分、アデミウソンと宇佐美に代えての、
渡邉千真とパトリックの投入。

前述の通り、この試合のガンバは単純に前線にフィードを送る場面が多かったけど、
アデミウソンと宇佐美の2トップはそれほど高さと強さがあるわけじゃないから、
収めきれずに相手ボールになるという状況が続いていたからね。

選手交代の効果は覿面で、後半28分にペナルティエリア前の混戦から、
右足でカーブをかけた倉田のループシュートが優しくネットを揺らしてリードを2点とすると、
後半40分には渡邉千真が左サイドからグラウンダーのクロスを送ると、
中央でパトリックとシマオマテ競り合ってこぼれたボールを井手口が押し込み、
今季最多の1試合4得点。

この試合で良かった選手の名前は何人か挙げられるけど、個人的にMOMは井手口。

さっきまで自陣でシュートブロックをしていたかと思えば、
次の瞬間にはアタッキングサードで崩しの局面に顔を出すなど、
ピッチの上に何人も井手口がいるんじゃないかと錯覚するような八面六臂の活躍。

ガンバに復帰する前まではヒザに負った大ケガの影響で、
満足にプレー出来ていなかったことを考慮すると、
よくこの次元でプレーできる状態になったなとただただ驚くのだけど、
このパフォーマンスが続けば、海外志向の強い井手口のことだから、
移籍の話が浮上するのも時間の問題だろうか。

ガンバのユニフォームの左胸に10個目の星を刻むには、この背番号15の力は不可欠なので、
1日でも長く青黒のユニフォームを着てプレーして欲しいけどね。

マイケル・オルンガ恐れることなかれ

ここ数試合のうだつの上がらない戦いで溜まったストレスが、
一気に発散されたかのような快勝。

後半43分には川﨑にJ1デビューの場を用意することが出来たのも、
ポジティブな要素やね。

次節は中3日で日立台での柏戦。

西野監督時代は得意なスタジアムだったのに、
ここ数年ですっかり鬼門と化してしまった日立台だけど、
今季はまだアウェイで負けなしなので、臆せずに乗り込みたいところ。

今節の清水戦で休養を与えられて、コンディション万全のオルンガが怖いけど、
うちの3バックは代表の試合でオルンガ級の選手とはマッチアップしているだろうから、
来週の水曜日もきっちりと抑えてくれることと思います。

ベガルタ仙台14ガンバ大阪
‘4 アレクサンドレ・ゲデス
‘8 山本悠樹
’15 アデミウソン
’73 倉田秋
’85 井手口陽介