【YBCルヴァンカップ 決勝 柏レイソルvsFC東京】季節外れのルヴァンパーティーの勝者は…

2020年シーズンの終わりはルヴァンパーティー

例年であれば天皇杯が終わればその年のシーズンが終わるという感覚だけど、
新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の事態に見舞われた2020年シーズンは、
ルヴァンカップの決勝を以ってフィナーレ。

本来であればこの伝統のカップ戦のファイナルは、
昨年の11月7日に開催される予定だったのだけど、
柏のチーム内で新型コロナウイルスのクラスターが発生したという理由で、
1月4日に延期になったのよね。

正月気分が抜けきらない時期に、新しい国立競技場のスタンドで、
沢口靖子が「今夜はルヴァンパーティー」と言っているコマーシャルを見るのは、
違和感でしかないけど、第3波と呼ばれる感染拡大の波が来ている今般に於いて、
延期された決勝戦が無事に開催されたことにひとまず安堵やね。

持ちたくないチーム同士の戦い方

今回対戦する柏と東京は、お互いにカウンター志向のチームなので、
自分たちがボールを持たされる展開になった時に如何にミスを減らせるか。

また、速攻が出来るタイミングで如何に前線に早くボールを預けられるかが、
この試合のポイントかなと思っていた。

柏は、2020年のJリーグMVPにして得点王のオルンガ目掛けてロングボールを当て、
そのこぼれ球を拾って二次攻撃に繋げようとしていたのに対し、
東京は最前線の永井が裏のスペースを牽制することで柏のDFラインを押し下げ、
左ウイングのレアンドロを起点に攻撃を仕掛けてきた。

東京は、今季右ウイングを務めることが多かったディエゴオリベイラが、
ACLで負傷し、この試合を欠場した影響で右サイドを起点にした攻撃が出来ず、
左サイド一辺倒の攻撃になっていたので、柏の守備陣は守りやすいかなと思ったのだけど、
カップ戦の決勝ということで気分が乗っていたのか、
この試合では気分屋のレアンドロがキレキレだったので、心配は無用だったね。

まあ、昨年の飛田給での東京戦で色々あったので、僕をはじめとするガンバサポの多くは、
レアンドロに対して良い印象を持っていない人が多いと思うけど、
単騎突破で決めたこの試合の先制ゴール然り、後半のポスト直撃のFK然り、
機嫌が良い時のレアンドロはJ屈指の名手ということは認めざるを得ない。
(逆に機嫌が悪い時は全然ダメだけど)

前半はそんな東京相手に攻守両面に於いて良いところが無かった柏だけど、
前半終了間際のCKからの混戦で、瀬川が押し込んで試合を振り出しに戻することに成功。

東京のGKの波多野は、年代別の日本代表にも選ばれているし、
2m近い身長は確かに魅力的なんだけど、どうもキャッチングもキックも安定感に乏しい。

今は林彰洋が故障しているのでスタメンで試合に出場しているけど、
この試合のようなプレーをしているようでは、
林が復帰したらまたベンチ行きになってしまいそうな感じがするね。

明暗を分けた選手交代の妙

後半も前半に引き続き東京のペースで試合が進んでいたけど、
最初に交代カードを切ったのは上手く試合を進めている側の東京の将・長谷川健太。

原と東に代えて三田とアダイウトンを投入し、布陣も4−3−3から4−2−3−1へ変更。

その交代が功を奏し、大南のクリアミスを永井がヘディングでアダイウトンに繋ぎ、
これをアダイウトンがつま先で押し込んで勝ち越しゴールをGET。

自らのミスで柏に同点ゴールを許した東京だったけど、
今後は相手のミスを見逃さずに得点に繋げる事が出来たね。

1点ビハインドになった柏のネルシーニョは、
中盤の大黒柱の大谷に加え江坂と瀬川もベンチに下げ、
三原、呉屋、神谷をピッチに送り出すという3枚替えを敢行。

さらにヒシャルジソンに代えて仲間を投入するという采配も見せたけど、
神谷や仲間のドリブルは使わずにひたすらパワープレーを選択するなんて、
一体何をしたかったのだろうか。

そもそも、相手のミスで前半終了間際に同点に追いついたとは言え、
攻守に於いてずっと上手くいってなかったのに、
後半33分まで何を手を打たなかったのも疑問だったし。

この試合では不発だったオルンガが移籍したら、
試合終盤に使っていたパワープレーも使えなくなると思うけど、
そんな有事の事態に備えてネルシーニョの頭の中には何らかの策はあるのかね。

カップを掲げるに値するチーム

今季は新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってリーグ戦が長期に渡り中断された影響で、
ルヴァンカップもグループステージや決勝トーナメントの試合数が削減されている。

さらに、今季の東京はACL出場クラブのアドバンテージとして、
決勝トーナメントからの出場だったこともあり、
3勝しただけでカップウイナーに輝いたわけだけど、その3勝の中には、
2020年シーズンで圧倒的な強さを誇った川崎フロンターレからの勝利も含まれているので、
戦った試合は少なくてもカップウイナーとして相応しいチームだったと思うね。

このルヴァンカップ決勝の結着を以って、2020年シーズンも終わり。

先述の通り、約4ヶ月にわたるリーグ戦の中断期間があったので、
半年間に凝縮されたシーズンだったけど、
その分、例年に比べて濃厚なシーズンだったように思う。

新型コロナウイルス感染拡大の余波はまだまだ続いているけど、
2021年シーズンも日常にサッカーがある生活が送れることを祈るばかりやね。

柏レイソル12FC東京
’16 レアンドロ
’45 瀬川祐輔
’74 アダイウトン