【明治安田J1リーグ11節 アビスパ福岡vsガンバ大阪】サッカーはボール支配率が高い方が勝ちというスポーツではない

勝利で敵将の口を塞いでやれ

前節、鹿島アントラーズに敗れて今季ホーム初黒星を喫した我らがガンバ大阪は、
アビスパ福岡とのアウェイゲームに臨んだ。

ゴールデンウィークの最終日に大阪ダービーが控えているせいか、
どことなくこの試合が軽視されているような感があるけど、
敵将の長谷部は昨年のパナスタでのガンバ戦で舐めた発言をしてくれたので、
相性の良い博多の森で痛い目に遭わせてやりたいところ。

まだケガの程度は公式発表されていないけど、
鹿島戦の終盤で負傷した三浦の長期離脱は覚悟しないといけない状況なので、
代わりに出場した選手だけでなく、ピッチに立っている全員の力で、
背番号5の不在を感じさせないような戦いに期待したい。

新ガンバキラーは襲名しなくていい

大型連休ということもあって今季初めて1万人の観衆を集めた、
ベスト電器スタジアムでの一戦に臨む青黒のスタメンは以下の11人。

負傷した三浦の代役には予想通り福岡将太が入り、右SBには中野を抜擢。

さらに、ここのところキレが落ちていた宇佐美はベンチスタートで、
3試合連続ゴール中の坂本がワントップで、トップ下に山田という前線になった。

試合開始早々、中谷の縦パスを受けた坂本が見事な反転でアビスパのDFラインを突破し、
GK村上と1対1の局面を迎えるも、これは村上に防がれてしまい先制点ならず。

決めておきたい場面ではあったものの、良い試合の入り方が出来たように思えたのだけど、
結果的にこれがガンバにとって最初で最後のチャンスになってしまった。

その後も、ガンバがボール支配率を高め、
ほとんどの時間帯で敵陣で試合を進めてはいたのだけど、
どちらかと言うとボールを持っていると言うよりは持たされているような感じで、
ボールを持っている割にはなかなかアビスパのゴールに近づけずにいた。

すると、黒川のスローインを受けたダワンのボールタッチが長くなってしまい、
松岡に引っ掛けられると、
ゴールまで60m以上はあろうかという距離からザヘディが放ったシュートが、
一森の頭の上を越えてゴールマウスに吸い込まれてしまい、前半22分に先制点を献上。

これは一森のミスと言うよりは、一森が高い位置を取ってビルドアップに参加している状況で、
簡単にボールを奪われてしまったダワンのミスだな。

広島からアビスパに移籍したガンバキラーのベン・カリファが、
ずっとベンチにも入っていないみたいだったので安心していたのだけど、
まさかそのベン・カリファに代わって試合に出ているイラン人に決められるなんて、
ガンバキラーは他の選手に移譲出来る能力なのだろうか。

ただ、まだ時間はあるので反撃したいところだったけど、
頼みのウェルトンは湯澤とグローリのダブルチームで封じられ、
坂本と山田の2人はアビスパの屈強な3CBの前にボールをキープ出来ない。

となれば、なんとか岸本と中野の2人に右サイドを打開して欲しいところだったけど、
右SBに入った中野が大ブレーキで右サイドからの攻撃もままならず、
にっちもさっちもいかないような状態に。

ただ、これは中野のせいと言うよりは、
左サイドの選手である中野を右サイドで使わざるを得ない現状のせいとも言えるので、
どっちかと言えば中野は被害者。

いずれにせよ、後半に反撃に出るのであれば、
右サイドのテコ入れは必須のように感じた前半だったね。

レッドカード以外何も起こせずに終わった後半45分

選手交代無く迎えた後半だったけど、最初に動いたのはポヤトスで、
岸本に代えて宇佐美を投入し、2列目を右からウェルトン、宇佐美、山田に変更。

岸本を交代させたのは意外だったけど、
ウェルトンは左右どちらでプレーしてもSBをほとんど使わないので、
後ろが中野でもプレーに影響は無いという判断だろうか。

ただこの交代も、ウェルトンのダブルチームの相手が岩崎と田代に変わっただけで、
ピッチ上で繰り広げられる試合展開は何も変わらず。

この状況を打破すべく、ポヤトスは山田と鈴木に代えて山下と倉田を投入したわけだけど、
ウイングではない山田をいつまでも左サイドに置いておくメリットは無いと思うので、
山下の投入については良いと思った。

しかしながら、前節の鹿島戦の時と同様、
ゲームメイカーの鈴木徳真を下げて倉田を投入したことで、
ますますアビスパのゴールに近づけなくなってしまった。

ネタ・ラヴィが戦線離脱している状況(公式からの発表は無いが)で、
鈴木を酷使出来ないという判断で倉田をボランチで起用しているんだろうけど、
今のチームでの倉田の立ち位置はトップ下の山田のバックアップが最適だと思うので、
倉田に鈴木と同じ役割を期待するのは難しいんじゃないだろうか。

選手交代のカードを切る毎にチームの勢いが失速していくので、
もう何て言っていいやらわからない状態になってしまったけど、
泣きっ面に蜂とはよく言ったもので、今度は後半アディショナルタイムに投入された美藤が、
松岡にスパイクの裏を見せてタックルを見舞ってしまい一発退場。

実質ボランチの控えがいない状態で中2日で大阪ダービーに臨めだなんて、
相当に厳しいミッションと言わざるを得ないね。

今必要なのはブーイングではないということ

この試合のボール支配率は、ガンバの66%に対しアビスパは34%とガンバが圧倒したけど、
ガンバにゴールが生まれる気配は全く無く、完敗と言っていい内容だった。

普段であれば、試合後にゴール裏に向かった選手たちに対し、
ブーイングが起きそうな結果と内容ではあったけど、
この試合では、次節の大阪ダービーに向けて選手を鼓舞する横断幕が掲げられ、
声高にチャントが歌われた。

本音を言えばこの試合に勝って勢いをつけて大阪ダービーに臨みたいところだったけど、
我々に下を向いている時間は無い。

ここ数年、好き放題にやられているホーム・パナスタで、
今年こそピンクの連中の泣き顔を拝んでみせよう。

アビスパ福岡10ガンバ大阪
’22 シャハブ・ザヘディ