【明治安田生命J1リーグ15節 FC東京vsガンバ大阪】負けたのは飛田給が鬼門だからではない

敵将はかつて自分が座ったベンチに何を思う

宮本監督を解任して松波さんが暫定監督についた時は、
てっきり次の監督の目星はある程度ついているのかと思っていたけど、
この日の味の素スタジアムのベンチに松波さんがいるところを見ると、
どうやらそうではなかったらしい。

正式な監督が不在という状態がずっと続くのであれば、
次の監督の目星がつくまで宮本監督を引っ張っても良かったと思うけど、
退任する監督にシーズン終了まで指揮を執らせた結果、
チームがぺんぺん草も生えない焼け野原状態になってしまった
2017年の二の舞を避けるために、早めに手を打ったという理解で良いのだろうか。

ただ、その2017年にガンバ大阪の監督の座を追われた長谷川健太率いるFC東京と、
このタイミングで相まみえるというところに不思議な因果を感じるのだけども。
(山内前社長の言葉を借りれば、長谷川健太は解任じゃなく卒業らしいが…)

長谷川健太監督時代の清水やガンバは、
就任2年目にピークを迎えて4年目から下降線に入るサイクルを描いたけど、
現在指揮を執る東京でも例に違わなかったようで、
今の東京のチーム状態はあまりよろしくないように見受けられる。

まあ、今のガンバのチーム状態は東京の比にならないレベルで酷いけど、
昨季、20年近い呪縛から解き放たれた魔境の地で、
チーム状況が好転するきっかけを掴みたいものだ。

眠ったままキックオフの笛を聞いたのか

この試合のガンバのスタメンは、GKに東口、DFラインは右から三浦、昌子、菅沼、黒川、
中盤は井手口と矢島、2列目は右に塚元、左に倉田で、
2トップは宇佐美とレアンドロ・ペレイラという11人。

三浦の右SB起用は攻撃面であまり良いイメージが無いので、
個人的にあまり好きではないのだけど、
フィジカルでゴリゴリと突破してくる東京の左ウイングのアダイウトンに対し、
奥野がマッチアップするのは分が悪いという判断したのだろうか。

ところが、試合が始まって1分も経たないあいだに、
三浦を配置して守備にテコ入れをした右サイドではなく、左サイドを崩され、
ディエゴ・オリヴェイラにボレーシュートを決められ、先制点を献上。

その後も、DFラインでのパス回しすらままならならないガンバを尻目に、
アダイウトンや田川にゴールを脅かされ、
続けざまに失点を重ねてもおかしくないような試合展開。

大量失点での敗戦も覚悟したのだけど、
前半10分過ぎからセカンドボールが拾えるようになり、
前半の飲水タイム後からは波多野の守るゴールに迫る場面が増えた。

しかしながら、アタッキングサードでのアイデアを欠いたことで、
ペナルティエリア外から確率が低いシュートという攻撃が多く、得点の匂いが感じられたのは、
前半終了間際に塚元が中央突破からミドルシュートを放った場面ぐらいじゃなかっただろうか。

塚元に関してはその能力に懐疑的な人も多いと思うけど、昨季までプレーしたU-23でも、
この試合の前半終了間際に見せたようなプレーを多く見せていたし、
既にフィジカル的にも出来上がっている選手なので、
個人的には、J1のスピードやプレー強度に慣れればもっとやれる選手だと思う。

ただ、右サイドで起用すると、
塚元の持ち味であるカットインからミドルシュートというプレーが制限されるので、
強いて言えばトップ下かもしくは左サイドでプレーさせて欲しいけどね。

監督の仕事は足枷をつけることじゃない

前半開始早々の失点を教訓に、後半は集中して試合に入りたいところだったけど、
安部が左サイドからあげたクロスに対し田川が詰めて、
あわや失点という場面を作り出されてしまった。

その後は、東京にゴールに迫られる場面は無かったものの、
長谷川健太がハーフタイムでネジを巻き直してきたのは明らかで、
ガンバとしては選手交代で流れを変えたいところだった。

ただ、2012年に監督を務めた時もそうだったけど、
松波さんは選手交代で試合の流れを持ってくるのが下手だ。

前半から良い形でクロスまで持ち込めていたのに、レアンドロ・ペレイラに代えて、
パトリックではなくなぜか一美を投入して前線の高さを削るし、
これまで右サイドでしかプレーしていないウエリントン・シルバを、
倉田との交代で左サイドに配置して黒川とのコンビネーション不足を露呈。

後半37分になってようやくパトリックを投入したと思ったら、
なぜかロングボールやクロスを使わなくなるし、
交代カードを切る度にチームがトーンダウンしていく状況に、
9年前を思い出して懐かしさを覚えてしまったね。

結局試合は、開始46秒で喫した失点を最後まで覆せず敗戦。

昨季までだったら、味スタでの東京戦で勝ち点を落とすのは想定内と考えられたけど、
今季のこの敗戦は、相性どうこうという問題を超越しているように思う。

出口のないトンネルは無いというけど、
今のところ出口と思わしき明かりが見えてくる気配はない。

こんな時こそ良かった時のことを考えよう

次節はホームで徳島戦。

昨年末に天皇杯の準決勝で対戦した時は2-0で勝利した相手だけど、
あれから半年も経っていないのに勝てるイメージが沸かなくなるなんて、
一体どうしてこんなことになってしまったのか。

ただ、嘆いてばかりいてもしょうがない。

先月の名古屋戦に続き、木曜日の夜開催というイレギュラーな日程だけど、
半年前に勝利した試合を思い出し、良いイメージで試合に入って、
ホーム4連敗阻止、そして勝ち点3を獲得して欲しいと思います。

FC東京10ガンバ大阪
‘1 ディエゴオリヴェイラ