【明治安田生命J1リーグ14節 ガンバ大阪vs浦和レッズ】解任ブースト発動せず

宮本監督の解任にあたって

僕の出身地は大阪府の南東部の富田林市というところです。

セレッソ大阪のホームである長居の方が実家から近いという土地で育った僕が、
ガンバ大阪のサポーターになったきっかけは同郷の宮本監督の存在抜きには語れません。

僕が中学2年生の時の担任の先生が、中学時代の宮本監督の担任も務めていた方で、
その先生がよく宮本恒靖とガンバの話をしていたこともあり、
ガンバサポーターになる前から、セレッソよりガンバの方が親近感を感じるチームでした。

高校1年生の時に行われた日韓W杯での宮本監督のプレーを見て、
以前から興味があったガンバ大阪の試合を見に行ってみようということになり、
その時の観戦以来、20年近くガンバ大阪のサポーターとして人生を送っています。

もし宮本監督が富田林出身のガンバの選手じゃなかったら、
ピンクのユニフォームを着て長居のホームゴール裏でムーブメンタルを歌っているという、
想像しただけでも恐ろしい世界線が待ち受けていたんじゃないかと思うと、
僕をガンバ大阪に導いてくれた宮本監督には本当に感謝しています。

プロは結果が全てなので、今回の解任については致し方ないかなと思うけど、
J2降格を覚悟したところから9連勝を飾って最終的には1桁順位で終えた2018年や、
試合内容は悪くても最終的には勝ち切るという戦い方で勝利を積み重ね、
J1リーグと天皇杯で準優勝を果たした2020年など、
タイトルは取れなかったけど目に見える功績は残してくれたと思います。

3年間お疲れ様でした。

このままお別れとなるのも寂しいので、
また何らかの形でガンバ大阪に関わってもらえれば嬉しいです。

代わったのはベンチに座っている人だけ

新監督が決まるまでの間、暫定的に指揮をとることになった松波強化アカデミー部長が、
浦和とのホームゲームのピッチに送り出したのは、GKに東口、
DFラインは右から奥野、三浦、昌子、黒川、中盤は井手口と矢島で、
2列目は右にチアゴ・アウベス、左に宇佐美、そして2トップは一美と倉田という11人。

メンバーを見た時は、宇佐美と一美の2トップで倉田が左サイドかなと思ったのだけど、
蓋を開けてみたら宇佐美と倉田の位置が逆だったね。

監督が代わったからといって、先の広島戦から中3日と、
松波さんの色を出すには期間が短すぎるので、
どういう戦い方をするのか興味深くみていたのだけど、
4−4−2の3ラインを縦横コンパクトに保ってボールサイドに人を割き、
前線から積極的にボールを奪いに行ってからのショートカウンターという狙いが見て取れた。

試合の入りはこの戦い方がハマって、鈴木彩艶にセーブされた宇佐美のミドルシュートなど、
浦和のゴールに迫る場面も見られたけど、
程なく浦和がサイドチェンジを多用するようになって攻勢ムードは沈静化してしまったね。

先述の通り、この試合のガンバはボールサイドに人を多く配置していたので、
ボール奪取に失敗すると、がら空きの逆サイドを狙われてしまうのは必然。

試合が始まって10分と経たない間にガンバの弱点を見抜いた
敵将のリカルド・ロドリゲス監督の慧眼も大したものだけど、
前半の飲水タイムまでに浦和が挙げた2つの得点の両方に絡んだ、
キャスパー・ユンカーは本物だと思ったね。

ノルウェーリーグの得点王という、
あまりJリーグの外国人選手で聞かない肩書きを引っさげて浦和に入団したデンマーク人FWは、
右サイドから送られた田中達也のクロスに対し、左手一本で三浦をブロックしつつ、
バックステップを踏んでヘディングシュートをたたき込むという
高難度のシュートで前半16分に1点目をGET。

さらに、前半20分には混戦状況の右サイドから逆サイドの明本に、
左足で矢のようなサイドチェンジを送って2点目の起点になるなど、
浦和の最前線で違いを作っていた。

レアンドロ・ペレイラやチアゴ・アウベスなどの新戦力がなかなかフィットしないことに、
もどかしさを感じている現状、
新戦力がすぐさま戦力として機能している浦和には、正直、羨ましさを覚えたね。

何も起こらずにただ過ぎていった後半45分

2点リードした浦和は、あまり前から出てこなくなり、中央を固めつつ、
ガンバの選手たちがサイドに侵入したら人数をかけて奪いに行くという戦い方にシフト。

2点ビハインドになった時点でも試合時間は残り70分もあったので、
ガンバとしては反撃する時間は十分にあるように見えたのだけど、
チアゴ・アウベスと倉田のポジションを入れ替えるぐらいしか打つ手が無いところを見ると、
反撃の狼煙が上がりそうな気配は微塵も無かったね。

前半40分にもキャスパー・ユンカーにゴールを許し、
3点ビハインドで試合を折り返したガンバは、後半頭から一美とチアゴ・アウベスに代えて、
レアンドロ・ペレイラと塚元を投入。

ただ、前半に2点ビハインドになった時点で交代カードを切らず、
最初の交代をハーフタイムまで待ったあたりに、
松波さんがこの試合を捨てているようにも感じられたし、
浦和と相性の良いパトリックを後半26分までベンチに置いておいた采配も疑問。

さらに言えば、ようやくパトリックを投入したにも関わらず、
ロングボールを蹴らずにサイドでボールをこねる場面が目立つなど、
前線にターゲットマンを入れた狙いも見えなかった。

後半33分には井手口と倉田に代えてチュ・セジョンとウェリントン・シルバを投入するも、
最後までゴールは割ることが出来ず、無得点で敗戦。

サッカーに限らず、監督解任というショック療法でパフォーマンスが上がるチームがあるけど、
今のガンバに有効な治療法じゃ無かったみたいね。

青黒のベンチに座るのは誰

敢えて説明するまでもないと思うけど、
今、暫定的にガンバの指揮をとっている松波さんはガンバがJ2に降格したシーズンの監督。

セホーンと呂比須の傀儡体制で崩壊したチームを引き継ぐという、
火中の栗を拾うような状況での就任だったにも関わらず、リーグ最多得点や、
得失点差がプラスなど、降格したチームの成績とは思えないような戦いぶりで、
最終節まで残留争いを繰り広げたので、監督として無能な人ではないと思う。

ただ、あの2012年は、夏の中断期間にレアンドロ、家長、岩下の3人が加入するまでは、
目も当てられないほどの惨状だったということを思うと、
今の持ち駒でチームを浮上させる引き出しを松波さんが持っているのかは疑問だ。

なので、1日でも早く経験のある監督に来てもらいたいところだけど、
コロナ禍の現状、海外からの招聘は難しいだろうし、
現在フリーで有力な日本人監督って誰かいるだろうか?

願わくば、昨季、19年間続いた呪いから解き放たれた味の素スタジアムで、
新しい指揮官の下、ガンバ大阪の新しいスタートを切りたいところなんだけども。

ガンバ大阪03浦和レッズ
’16 キャスパー・ユンカー
’20 田中達也
’41 キャスパー・ユンカー