【明治安田生命J1リーグ29節 鹿島アントラーズvsガンバ大阪】感じなくなりつつある敗戦の痛み
閉塞感漂う青黒に吹き込んだ新しい風
ガンバ大阪に関するニュースはネガティブなものばかりになっている今日この頃。
そんな折、ユース所属の中村仁郎と坂本一彩が、
2022年シーズンからトップチームに昇格することが発表された。
中村に関しては飛び級でのトップ昇格を目指しているという話を聞いていたので、
このタイミングでの昇格は本人としては不服だろうけど、
U-23時代から見せていた左足のキックの精度はJ1でも通用するレベルにあると思うので、
臆することなく1年目からレギュラーの座を狙いに行って欲しい。
坂本に関しては、昨季、U-23で試合に出始めた頃は、
ちょっと厳しいかなと思っていたのだけど、徐々にJ3の試合の強度に慣れると、
33節で鹿児島相手に見事な2ゴールを決め、年代別の日本代表にも名を連ねるようになって、
その成長速度に非常に驚かされたのをよく覚えている。
2人が高校3年生になるタイミングで、
U-23チームが活動停止になってしまったのは惜しいところだけど、
その分、昨季のU-23の指揮官で、現ガンバユースの森下監督に、
この1年しっかりと鍛えてもらったはず。
来季はこの2人がガンバにポジティブなニュースをもたらしてくれることを願いたいね。
選手だけのミーティングの成果や如何に
台風14号がもたらした雨雲が全国的に残る中、
アウェイの鹿島に乗り込んだガンバ大阪のスタメンは以下の通り。
前節の仙台戦で故障した小野がベンチ外だったのは予想通りだったけど、
特にケガした様子は見られなかった昌子もベンチ外だったし、
レアンドロ・ペレイラに至っては2試合続けてベンチから外れているし、
ここに来てまたケガ人が増えているのだろうか。
まあ、真相はクラブの中の人しかわからないので、
動ける選手たちで戦うしかないわけだけど、
今季のこのケガ人の多さは一体何が原因なんだろうね。
前節の仙台戦後、選手だけでミーティングを開催したとの事で、
その成果が見られるかなと思っていたのだけど、前半、ガンバが放ったシュートは、
山本のFKのこぼれ球を井手口が枠外に飛ばした1本だけ。
高めに設定したDFラインを見る限り、攻撃する気はあるんだろうけど、
高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛けるような場面は皆無で、
反対に鹿島にDFラインの裏のスペースを狙われ、何度もピンチを迎える始末。
それにより、シャドーの倉田と矢島が深い位置まで守備に戻らざるをえなくなり、
いざマイボールになっても前線にはパトリックが1人だけという状況では、
攻撃出来ないのも当然かなと。
ポゼッションできない、プレスもハマらないなら、
いっそのことボールポゼッションを放棄して、低いDFラインでがっちり守り、
相手を自陣に引き込んでからロングカウンターという戦い方もあるかなと思うけど、
そのような弱者の戦い方を選択するのはプライドが許さないのかね。
ただ、そんなガンバ相手にチャンスがありながらも得点できないあたり、
鹿島も鹿島で本調子じゃないのかなと思ったけどね。
勝負にこだわらなくても勝てる相手
後半に入って攻勢を強めたのは鹿島。
前半の鹿島は、DFラインの裏を取っても、裏を取った選手へのサポートが遅くて、
二次攻撃、三次攻撃に繋がらない場面がいくつかあったけど、
後半になるとチャンス時にペナルティエリア内に入ってくる人数が明らかに増えた。
その最たる場面が鹿島の先制点の場面で、
カウンターでディエゴ・ピトゥカが持ち込んで荒木にスルーパスを送ると、
荒木のシュートのこぼれ球を上田が押し込むという、二次攻撃による得点だったからね。
個人的には、この先制を許したタイミングで、
宇佐美やウェリントン・シルバといった攻撃の選手を投入して欲しかったんだけど、
この試合で松波監督が最初の交代カードを切ったのは、
ファン・アラーノのゴールで2ビハインドになってから10分後という遅さ。
勝っている鹿島の相馬監督の方が先に動く一方で、
ベンチで戦術ボードを眺めているだけの松波監督の姿を見て、
この人は本当に勝つ気があるんだろうかと思ってしまった。
しかしながら、ようやく松波監督が交代カードを切った3分後、
ボランチが2人とも前線に上がっている状況でボールを奪われると、
スカスカになった中盤を土居に持ち上がられ、ミドルシュートを決められて勝負あり。
その後、チアゴ・アウベスのPKで1点を返すことが出来たけど、
あまりのガンバの弱さを哀れんだ関川が、お情けで1点くれたような感じがして、
素直に喜べないゴールだったね。
(っていうか、試合終盤の負けている状況であのゴールパフォーマンスは何だ?)
鹿島はリードした状況で試合終盤に入ると、
俗に”鹿島る”と呼ばれるコーナーキープに入るけど、
この試合ではコーナーキープをせずに最後まで普通に攻めてきたところを見ると、
今のガンバは”鹿島る”に値しない相手なのね。
クラブレジェンドの顔を見たくないなんて状況は嫌だ
15連戦が終われば、試合間隔が空いて休養期間も練習時間も長めに確保できるので、
選手のパフォーマンスは上がるだろうなと思っていたけど、
実際は上がるどころかむしろ連戦中より悪くなっているように見える。
次戦はミッドウィークに天皇杯の湘南戦、
そして週末には14位のガンバの1つ上の13位にいる柏との対戦が控えているけど、
この調子で試合に臨めばどちらも負けるだろう。
松波監督に今のガンバのチーム状態を好転させられるアイデアがあると思えないし、
今からでも遅くないので新しい監督を探して来れないんだろうか。
鹿島アントラーズ3-1ガンバ大阪
’52 上田綺世
’60 ファン・アラーノ
’73 土居聖真
’80 チアゴ・アウベス