【明治安田生命J1リーグ33節 ガンバ大阪vsサガン鳥栖】4年越しで蘇ったファストブレイク

ガンバが得意な秋!・・・のはず

つい先日まで10月とは思えない暑さだったのに、
今週になって突然コートが必要になるほど気温が下がった日本列島。

例年であれば、シーズン終盤のこれぐらいの気温の時期になると、
我らがガンバ大阪は順調なペースで勝ち点を重ねているのだけど、
今季は開幕以来安定の低空飛行で、残留争いに片足を突っ込んでいる状態。

マリノス、川崎、名古屋など、強豪チームとの対戦を11月に残しているだけに、
相性の良いホームの鳥栖戦では確実に勝ち点を挙げたいところだ。

試合はスカウティングの段階から始まっている

5失点を喫して敗れた札幌戦以来となるホームゲームのスタメンは以下の通り。

前節の浦和戦で戦列復帰した福田が左サイドハーフでスタメン復帰。

さらに代表帰りのコンディションを考慮されて浦和戦のスタメンから外れていた、
キムヨングォンが佐藤に代わってCBのポジションに入った。

対する鳥栖の布陣は奇しくもガンバが宮本監督時代に採用していたアンカーを配置した3−5−2。

ガンバで3−5−2を採用していた時は、右WBの小野瀬が中央に絞ると、
その外側のスペースを右CBの髙尾がオーバーラップするという攻撃をやっていたけど、
鳥栖は左WBの中野嘉大と左CBの中野伸哉を使って左サイドで同じことをやっていた。

しかしながらこの試合では、中野嘉大の中へ入る動きは髙尾が一緒について行き、
中野伸哉のオーバーラップも右サイドハーフの倉田が下がってケアしていたし、
珍しくスカウティングが機能していたね。

すると、鳥栖のCKを凌いだ流れからガンバがロングカウンターを発動。

東口のパスを受けた山本がドリブルで持ち上がり、
逆サイドの宇佐美へ対角線のロングフィードを送ると、
これを宇佐美が右足アウトサイドで見事にコントロールし、左足を一閃。

これが決まって前半10分という早い時間帯に先制することが出来た。

その後は鳥栖にボールを持たれる時間帯が長くなったけど、
東口の手を煩わせるようなシュートは少なく、上手く守れていたと思う。

ピッチを駆け抜けるボールと背番号15

後半に入っても、ボールを持つのは鳥栖で、
ガンバは奪ったら縦に速くという試合展開は変わらず。

後半にも前半の宇佐美の得点シーンのような東口から始まるロングカウンターがあったけど、
本来、このような東口の強肩を生かしたGKから始まるロングカウンターは、
ファストブレイクを志向していた長谷川健太監督の時代によくやっていた攻撃。

プレッシングからのショートカウンターを志向していた宮本監督は、
GK起点のロングカウンターはやらなかったので、
もうチームとしてロングカウンターは出来なくなっていると思っていたけど、
この試合を見る限り、長谷川健太の教えはまだチームに根付いているようなので、
それを今後の試合でも活用すべきだなと思ったね。

また、この試合の井手口は今季一番良かったんじゃないだろうか。

昨季の長居での大阪ダービー後に負った負傷がまだ影響しているのか、
それともモチベーションが上がらないのか知らないけど、
今季の井手口は、「あれ?こんな選手だったっけ?」と思うほど、
凡庸な選手に成り下がっていた。

ただ、この試合では、中盤でボールを刈り取り、
カウンターの場面ではFWを追い越してゴール前に入っていくなど、
縦横無尽ぶりが復活していたので、このパフォーマンスを継続して欲しいね。

結局、後半も追加点を奪うチャンスがありながら、
この試合でガンバが奪った得点は前半の宇佐美のゴールだけだったし、
守備面でも鳥栖の拙攻に助けられた感は否めなかったけど、
最後まで1点リードを守り切り勝ち点3を獲得。

降格圏にいるチームがここ来て勝ち点を伸ばし始めているけど、
勝ち点37あればとりあえずJ1残留は大丈夫そうかな。

まあ、本来はJ1残留が目標というチームであってはいけないので、
これで満足してもらっちゃ困るんだけどね。

経験者だけに3バックの弱点はよく知っている?

次節は11月3日のマリノス戦まで間が空くけど、その前に中3日で天皇杯準々決勝の浦和戦。

先日、埼スタでは、負けはしなかったものの防戦一方の試合展開を強いられたので、
ホームでやり返して今季のガンバに残された最後のタイトル獲得に望みを繋げて欲しい。

どういう理由なのかわからないけど、最近ガンバが勝利した試合って、
湘南、柏、鳥栖といずれも3バックのチームが相手という共通点があるので、
浦和のリカルド・ロドリゲス監督が血迷って3バックを採用してくれることに期待したいね。

ガンバ大阪10サガン鳥栖
’10 宇佐美貴史