【明治安田生命J1リーグ32節 浦和レッズvsガンバ大阪】PK両成敗
この列車はどこへ向かうのか
クラブ創設30周年記念マッチと銘打ったカードで、5失点の大敗を喫し、
悪い意味で忘れられない試合になった札幌戦から2週間。
2週間前のパナソニックスタジアム吹田でゴダイゴが歌っていたように、
「古い夢は置いていくがいい」とばかりに札幌戦の敗戦のショックを拭い、
浦和に勝利することで「再びドラマ」を始めたいところだ。
そうは言っても、この2週間で劇的にチームパフォーマンスが改善されているとも思えないので、
再び始まるのは、時間が経ったことでしばらく鎮静化していた、
ガンバサポーターからの松波監督解任要求になりそうな気がしなくもないけど。
松波監督は白井に何をさせたかったのか
日本代表のオーストラリア戦勝利の余韻が横る埼玉スタジアムに乗り込んだ、
ガンバ大阪の11人は以下の通り。
このスタメンを見てまず目を引くのが、これがJ1初出場となる白井のスタメン起用だろう。
U-23でプレーした昨季の白井は、シーズン序盤こそ低調なパフォーマンスだったけど、
試合を重ねるごとに右サイドのスペシャリストとしての地位を確立。
アウェイの福島戦で素晴らしいゴールを決めた時には、
トップチームの右サイドの選手層が薄いこともあり、
そろそろトップチームの試合で起用しても面白いんじゃないかと思っていたのだけど、
そんな矢先、アウェイの相模原戦でヒザの前十字靭帯断裂の大ケガを負ってしまった。
あれから1年が経ち、今回の大抜擢には本人も期するところはあるだろうし、
僕も頑張って欲しいと思って見ていたけど、
この試合のガンバは白井一人の力でどうこうできるような状態ではなかった。
リカルド・ロドリゲス監督仕込みのポゼッションサッカーの浦和を、
自陣でブロックを敷いて迎え撃ったガンバだったけど、
自陣で立っているだけで誰も人にもボールにもチャレンジしないものだから、
守備の人数は足りているのに、浦和の選手に次々にアタッキングサードに進入される始末。
前半で試合が終わってもおかしくないほど一方的に攻め込まれたけど、
東口の神懸かり的なセービングや浦和の選手たちの拙攻に助けられ、
なんとか失点せずに踏みとどまることが出来た。
リカルドサッカーの戦術上のキーマンである明本が負傷交代したあたりから、
徐々にガンバもボールを持てる時間が増えたけど、
前半のガンバのチャンスらしいチャンスと言えば、
ウェリントン・シルバが宇佐美からのパスを受けて放ったシュートぐらい。
画竜点睛を欠いている浦和に対し、竜を描くための筆すら持てていないガンバといった感じで、
後半に向けて全く希望が持てない前半だった。
後半40分から見ておけばいい試合
前半の低調な内容を受け、松波監督は白井に代えてパトリックを投入。
前線に起点が出来たことでアバウトに放り込む攻撃が増え、
不用意なショートパスをカットされてカウンターを食らう場面は減ったけど、
攻撃の期待値は前半から低いまま。
浦和も浦和でキャスパー・ユンカーの不在が響いているのか、
明本の負傷交代以降試合序盤のような攻撃は出来ないでいたけど、
それでもガンバに比べればコンスタントに決定機は生み出してくる。
ただ、東口の神懸かり的なセービングが後半も健在だったことがガンバにとって幸運だったね。
その後、ガンバは小野瀬や福田、浦和は田中達也や西など、
お互いに攻撃なカードを切るもののスコアは動かず、
このままスコアレスドローかななんて思っていたら、
江坂のシュートが菅沼の手に当たったとして浦和にPKを献上。
これを江坂が決めて後半アディショナルタイムに先制ゴールを許してしまった。
浦和の選手が誰もアピールしてなかったので流してくれてもいいじゃないかとも思ったけど、
バンザイしてスライディングに行った菅沼のプレーも軽率だったな。
何年か前に丹波もバンザイしながらシュートブロックに行ってPK取られたことあったし、
ガンバユース産CBの伝統芸なんだろうか。
後半アディショナルタイムで先制ゴールを許し、これは万事休すかなと思っていたら、
この浦和のゴール後のガンバボールのキックオフで、
井手口がパワープレーで前線に上がった佐藤を目掛けてロングボールを送った流れから、
パトリックが岩波のハンドを誘い、なんと今度はガンバがPKを獲得。
これをパトリックが決めて土壇場でガンバがスコアを振り出しに戻すことに成功した。
ゴールを決めたパトリックは、
埼スタに詰めかけた浦和サポーターに向けて肉体美を披露していたけど、
アディショナルタイムはまだ残っていたのだから、
そんなことをしてイエローカードを貰うのは勝ち越しゴールを決めてからにしてほしかったね。
早いことJ1残留を決めてしまいたい
次節はホームで鳥栖と対戦。
シーズン序盤は好調だった鳥栖だけど、
金明輝監督のパワハラ問題が世に出たあたりからやや調子に陰りがあるように見える。
それにアウェイはともかくとしてホームでの鳥栖戦は相性が良いので、
先月の柏戦以来の勝ち点3に期待したいね。
浦和レッズ1−1ガンバ大阪
‘90+1 江坂任
’90+4 パトリック