【全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 前橋育英vs大津】東西の両雄、今年は駒場で並び立つ

上州のイエローか肥後のブルーか

12月28日に熱戦の火蓋が切って落とされた高校サッカー選手権もいよいよ準々決勝。

浦和の駒場陸上競技場で相対するはプレミアEAST所属の前橋育英と、
プレミアWEST所属の大津。

ベスト8で東西の両雄が相見えるのは2大会連続だけど、
前橋育英が昨年の雪辱を晴らすのか、大津が返り討ちにするのか。

今大会の趨勢を占う一戦のキックオフの笛が12時5分に鳴った。

これぞプレミア対決というがっぷり四つ

序盤から試合の主導権を握ったのは前橋育英。

大黒柱の14番徳永を起点に、右サイドから9番小池、
左サイドから8番大久保が仕掛け、チャンスを伺う。

一昨日の昌平戦でフル出場した7番根津は、
古傷のケガの状態を考慮してかベンチスタートだったけど、
代役としてボランチのポジションで出場した19番青柳が、
さすがのオールラウンダーぶりで根津不在の影響を感じさせなかったね。

ただ、3回戦の日本文理戦でもその固さを見せつけたように、
アタッキングサードまで入られても最後のところでは仕事をさせないのが大津の守備。

今大会3試合目の大津に対し、前橋育英は4試合目なので、
疲労を考えると先制点が欲しい前橋育英にとっては、もどかしい展開が続く。

対する大津は、身長191cmの大型CF9番小林を起点にカウンターを仕掛けるも、
前橋育英の素早い寄せの前になかなかシュートまで持っていけない。

今季の大津は決定力に課題があるとのことだけど、
昨季の大津は小林の高さとポストプレーに加え、
森田大智のテクニックとパスという武器もあったからね。

この試合にスタメン出場した10番田原と17番香山も良い選手だとは思ったけど、
昨季の10番森田に比べるとちょっと落ちるかなという印象は拭えなかった。

とは言え、前橋育英の3回戦の対戦相手の昌平と比べると、大津は、
「俺たちはこういうサッカーをするんだ」というのを前面に押し出してくるチームではなく、
対戦相手に合わせて戦い方を変えることが出来る柔軟なチームなので、
どこでボールを奪うかというポイントを絞りづらかったんじゃないだろうか。

GKが手繰り寄せた国立行きの切符

スコアレスで迎えた後半も膠着状態は続くと、
これを打破すべく、山田監督は大久保に代えて11番堀川を投入して右サイドに入れ、
右サイドを務めていた小池を左サイドにポジションチェンジさせる。

これで試合展開がどうなるかと思っていたら、既に警告を受けていた小池が、
スライディングタックルで2枚目のイエローカードを貰ってしまい、
前橋育英は数的不利に陥ってしまう。

イエローを1枚貰っている状況で、
あのスライディングタックルを仕掛けた小池の判断は軽率だったように思うけど、
堀川を投入する際に大久保ではなく小池をピッチに残した山田監督の判断も、
あんまり良くなかったんじゃないだろうか。

前述の通り、ただでさえも日程面で不利な前橋育英が、
後半の残り20分強を10人で戦うのは相当厳しいんじゃないかと思ったけど、
数的不利にも関わらず、11人の時と同じようにチャンスを作り出す前橋育英の選手たちから、
インターハイ王者の底力のようなものを感じられたね。

数的優位に立った大津も、右サイドからのクロスに対し、
11番山下が決定的なヘディングシュートを放つも、
前橋育英の2年生GK1番雨野のスーパーセーブに阻まれてゴールならず。

結局、80分間では試合の決着が着かず、勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。

サッカー界では「PKはくじ引きのようなもの」なんて言葉もあるけど、この試合に関しては、
2回戦の浜松開誠館戦でPK戦を制している大津の方に一日の長があったようで、
大津のGK1番西が、前橋育英の6番山内のシュートをストップ。

対する大津は5人全員が成功し、大津が国立行きの切符を手にすることに。

雨野は大津の2人目のキッカーのシュートを手に当てながら、
後ろにこぼしてしまったことを悔やんでいるだろう。

雨野はこの試合に出場していた前橋育英の選手で唯一の2年生なので、
この悔しさを来年の選手権のピッチで晴らして欲しいね。

西高東低なベスト4

中1日で続いた連戦もここでひと段落し、準決勝から勝負の舞台は国立競技場へ。

等々力では前回大会王者の青森山田が神村学園に敗れるという波乱があり、
ベスト4に進出した高校は全て西日本の高校と、
東高西低の傾向が強かった近年の高校サッカー界に於いて珍しい状況になった。

プレミアWEST所属の大津と、
福田と大迫の2枚看板を擁する神村学園が抜けている印象はあるけど、
昨年の青森山田のような絶対的な強さの高校が無い以上、
優勝旗を手にするのはどこの高校になるのか予想出来ないね。

真冬に行われる熱い戦いも準決勝と決勝の3試合を残すのみ。

2日間のインターバルで出来るだけコンディションを整えて、
1月7日の試合に向けて最善の準備をして欲しいね。

前橋育英00大津
  PK()