【全国高校サッカー選手権大会 2回戦 東福岡vs正智深谷】3年ぶりの選手権で”らしさ”を見せた赤い彗星

お馴染みのようでお久しぶりの両校

2024年の大晦日に浦和駒場スタジアムで行われた高校サッカー選手権の2回戦。

第2試合で登場したのは東福岡と正智深谷。

かつては高校年代3冠を達成し一時代を築いた東福岡も、
近年の選手権では飯塚などの後塵を拝す形になっていたけど、
今季から指揮を執る平岡監督の下、3年ぶりの選手権の切符を掴んだ。

一方、今年度のインターハイ王者の昌平が準々決勝で敗れるという、
波乱含みの埼玉県予選を勝ち抜いた正智深谷は、
8年ぶりの選手権の舞台でプレミア勢の東福岡に一泡吹かせたいところだ。

膠着状態の試合は前半では動かず

東福岡と言えばワイドに張った両サイドから繰り出すサイドアタックが代名詞。

志波さん、森重さんと監督が代わってきても受け継がれてきたDNAはこの日も健在で、
10番児玉と11番神渡が推進力のあるドリブルでサイドから攻撃を仕掛けていく。

対する正智深谷も、2番外山と14番鹿倉の両SBが粘り強く対応し、
クロスを上げられてもCBとボランチがきっちりと中の選手をマークし、
東福岡の選手にシュートチャンスを与えずといった具合で、がっぷり四つの試合展開。

前半の決定機らしい決定機は、
正智深谷の選手(19番小西だったかな?)が左サイドからカットインして、
東福岡の長身GK・1番後藤のセービングに防がれたブレ球シュートを放った場面ぐらいで、
お互いにゴール前の攻防が少ない前半だったように思う。

第一試合の静岡学園vs高知では、
前半の拮抗した試合展開を変えたのは交代選手だったので、
この試合でも交代選手がキーになるかなという試合展開だったね。

やはり試合を動かしたのは交代選手

ハーフタイムに動いてきたのは正智深谷の小島監督で、
右サイドの11番中島に代えて同じポジションに7番赤川を入れてきた。

ただ、この交代で試合の流れは変わらず、前半と同様の膠着状態で試合が進むと、
今度は東福岡の平岡監督が28番杉谷と20番潮﨑に代えて、7番稗田と24番坂井を投入。

この交代が効果覿面で、
稗田を右サイドに入れ、右サイドでプレーしていた児玉をインサイドハーフにシフトしたことで、
後半になってスペースが空き始めたバイタルエリアで、
児玉が前向きにボールを持てるようになった。

後半18分に生まれた先制点もこの形からで、
カウンターで正智深谷のディフェンスを右から左に揺さぶると、
左サイドからのパスを中央で受けた児玉がフリーになっていた稗田に展開し、
稗田の左足でのフィニッシュをお膳立て。

これぞ東福岡というピッチを広く使った攻撃だったように思う。

東福岡としては先制したもののまだ1点差だったので気を抜けない状況だったけど、
1点ビハインドになった正智深谷が可能性をあまり感じられないパワープレーに出たことで、
却って守りやすくなったように見えた。

途中出場で出てきた1年生、28番岸田琉来のフィジカルには目を見張るものがあったけど、
前半と同じオーソドックスな攻撃を続けていた方が得点の可能性はあったように思う。
(脚を攣っている選手が多かったのでどのみち厳しかったかな・・・)

そんなパワープレーを続ける正智深谷に対し、
後半アディショナルタイムに17番新貝がトドメのゴールを叩き込んだところで試合終了。

第一試合の静岡学園vs高知でも同じことを思ったけど、
やはりプレミア勢は交代で出てくる選手のレベルが違うなと思った2回戦だったね。

Thank you 2024

この日、浦和駒場で行われた2試合で、
年明けに行われる3回戦の切符を手にしたのは静岡学園と東福岡。

高円宮杯プレミアリーグで戦う両校なので、順当と言えば順当だけど、
浦和駒場から少し北に行ったところにあるNACK5スタジアムでは、
青森山田vs高川学園の試合で高川学園が勝利を収めるというアップセットも起きている。

この先起こりそうな一波乱、二波乱の予感に胸を躍らせつつも、
2024年のサッカー観戦はこの日が最終日。

来たる2025年は熱狂に満ちたスタジアムでどんなドラマに巡り会えるだろうか。

それでは皆さま、良いお年をお迎えください。

東福岡20正智深谷
’58 稗田幹男
’80+4 新貝颯大