【明治安田J1リーグ12節 ガンバ大阪vsセレッソ大阪】誰がダービーを怖がってるって?

戦う前からサポーターが弱気になってどうする?

圧倒的にボールを支配しながらもシャハブ・ザヘディのロングシュート一発に沈んだ、
博多の森でのアビスパ戦から中2日、我らがガンバ大阪は大阪ダービーの日を迎えた。

もともと故障者を多く抱えている中で、先日の鹿島戦で負傷交代した三浦が、
前十字靭帯断裂と半月板損傷で今季絶望になるなど、
現在のガンバを取り巻く状況は決して良いとは言えない。

そんな状況に弱気になっているガンバサポーターも散見されるけど、
ダービーにケガ人がどうだとか、連勝中だとか連敗中だとか、そんなもの一切関係無い。

90分間の戦いが終わった後、
このスタジアムで我々の歓喜と奴らの泣き顔という対比が見られるように、
選手だけでなくサポーターも死力を尽くして戦うまでだ。

祝杯は自らの右足で

63回目のダービーに臨む誇り高き青黒のスタメン11人は以下の通り。

U-23のアジアカップを終えてカタールから帰国したばかりの半田を、
右SBでスタメン出場させるブラック企業ぶり。

また、前節のアビスパ戦にトップ下で先発出場した山田はベンチにも入らず、
前線は1トップ坂本の後ろに2列目が右からウェルトン、宇佐美、倉田という並びになった。

まず試合の主導権を握ったのはセレッソ。

毎熊と登里の両SBが機を見て中にポジショニングを取る流動的なビルドアップを前に、
ガンバはなかなかボールの奪いどころが定まらずにアタッキングサードに進入されてしまい、
レオ・セアラ、田中、香川と立て続けにシュートを打たれてしまう。

すると、セレッソに流れが行きかけたところで、ウェルトンが脚を痛めて試合が止まると、
その間にピッチ上でガンバの選手が話し合いを行い、試合の流れを寸断することに成功。

ウェルトンにとって大阪ダービーは初めてだけど、
やはりブラジル人は日本人よりもダービーがなんたるかを理解している選手が多いよね。

ただ、ガンバの日本人選手だってこの試合の重要性を理解している。

そのうちの1人である宇佐美貴史は本日誕生日ということもあって、
自身のゴールで祝杯をあげたいところだっただろうけど、
どういうわけかセレッソの方にも宇佐美の誕生日を祝福したい選手がいたようで。

セレッソが自陣でビルドアップを試みる中で、
毎熊から鳥海への横パスがズレて宇佐美に流れると、
宇佐美は右足をコンパクトに振り抜き、ゴールネットを揺らしてみせる。

宇佐美がカメラに向かって今季絶望となった三浦に捧げるセレブレーションを行う中、
パナスタはゴール裏だけでなくスタジアム全体で宇佐美のチャントが歌われるという、
凄まじい歓喜で包まれていたね。

すると、宇佐美へプレゼントパスを送って役目を終えたのか、
タッチライン際のボールを残そうとした毎熊が右足の太ももの裏を痛め、
ガンバの下部組織出身の奥田と交代に。

なんだかんだでセレッソのビルドアップのキーになっていた毎熊が交代したことで、
セレッソはそれまでのようにスムーズにガンバ陣内に入り込めなくなったけど、
そんなセレッソを相手にガンバも前半のうちに追加点を奪うことが出来ず。

とは言え、5年ぶりの大阪ダービー勝利に向けて、
1点リードで前半を終えることが出来たのは良かったと思う。

爆発させた5年分の歓喜

お互いに選手交代無く迎えた後半も、ガンバが集中を保って試合に入り、
坂本とのワンツーで抜け出した半田が前方のウェルトンにパスを送り、
ウェルトンが右サイドからカットインしてシュートを放つなど、
決定的なチャンスを作り出す。

すると、上記のプレーで坂本に入ったボールを奪いに行こうとした登里が、
坂本の切り返しについていけずに脚を痛めて交代に。

これにより、セレッソのビルドアップの要となっていた両SBを失ったことで、
一気にガンバに試合の流れが傾いた。

そこからガンバのゴールラッシュが始まる・・・といきたかったのだけど、
そんなガンバの攻撃陣の前に立ちはだかったのは、キム・ジンヒョン。

決定的に思われた坂本とウェルトンのシュートは阻まれてしまい、
この日2点目のゴールを狙った宇佐美は、
ニアの上を狙わせるという難しい選択をさせられてシュートミスを犯してしまった。

ピンクの選手を褒めるのは癪に障るけど、キム・ジンヒョンもまた
この試合の重要性を理解している選手の1人ということだったんだろう。

終盤にはパワープレー気味に前への推進力を強めるセレッソに対し、
ガンバは坂本と宇佐美に代えて岸本と中野を投入し、5バックで逃げ切りを図る。

5バックにするのはあまり良いイメージがなかったので、
正直なところ嫌な予感しかしなかったのだけど、
ウェルトンとの交代でピッチに入った唐山がエゴを出さずにコーナーキープに徹するという、
見事なチームプレーで逃げ切りに成功。

たかだかリーグ戦の1試合と言ってしまえばそれまでなんだけど、
試合後の優勝したかのようなパナスタの盛り上がりが、
ガンバに関わる全ての人たちがどれだけこの勝利を待ち望んでいたのかを表していた。

もうこれ以上、大阪ダービーでピンクの好きにはさせない。

次の大阪ダービーの勝利は5年後ではなく今年の8月31日だ。

豊田での勝利が大阪ダービーでの勝利にさらに意味を持たせる

今回の大阪ダービーも、SNSなどの場外戦ではいつもような煽り合いが行われていたけど、
試合が行われるスタジアムの中では、ガンバサポーターは選手たちのサポートに徹していた。

一方で、この試合のセレッソのサポーターは、
5年間大阪ダービーで負けていないことで余裕があったのか、
ガンバがルヴァンカップでFC琉球に敗れたことを嘲笑する横断幕を掲げるなど、
自己満足なパフォーマンスに終始し、選手とともに戦っていなかったように思う。

まあ、そんな相手に勝ってスッキリしたわけだけど、
次の試合で負けていたらせっかくの大阪ダービーでの勝利が無駄になってしまう。

次節のカードはアウェイでの名古屋グランパス戦。

昨季、ダブルを喫して悔しい思いをさせられただけに、今度はガンバがやり返して、
かつての将である長谷川健太に悔しい思いをしてもらいましょう。

ガンバ大阪10セレッソ大阪
’28 宇佐美貴史