【パリオリンピック 準々決勝 日本vsスペイン】ローヌ川に散った若き日本代表の挑戦
いざスペインに3年越しのリベンジを
パリオリンピックのグループD3戦でイスラエルを降した我らが若き日本代表は、
戦いの舞台をナントからリヨンに移し、中2日でスペインとの準々決勝に臨んだ。
史上最強と呼ばれるメンバーで自国開催のオリンピックに臨むも、
延長後半10分にマルコ・アセンシオにゴールを許し、
決勝まであと一歩のところで涙を呑んだ準決勝のスペイン戦から3年。
久保や堂安、上田といった現在のA代表でも主力を張るタレントがいた3年前と比べると、
今の日本代表のメンバーは小粒感が否めないけど、
それでもグループステージ3試合を無失点で全勝したチーム力は決してフロックではない。
スペインが強いのは改めて言うまでもないけど、
このチームは我々サポーターに新たな景色を見せてくれるはずだ。
スペインとの試合は1ミリが勝負を分ける
2000年代のリーグアンで黄金時代を築いたオリンピック・リヨンのホーム、
パルク・オリンピック・リヨンのピッチに送り出された日本のスタメンは以下の11人。
初戦のパラグアイ戦のスタメンから右サイドが平河から山田に代わっただけで、
残りの10人は同じ顔触れ。
まあ、これが現状のベストメンバーということなんだろうけど、
イスラエル戦で川﨑が負傷したことで、ベンチにボランチの控えがいないのが心許ないところ。
スペインがパスを繋いでくることを見越してか、
スペインの選手たちの距離感を間延びさせる狙いで序盤からロングボールを多用する日本。
試合開始早々にスペインのCBのエリック・ガルシアのイエローカードを誘発するなど、
良い形で試合に入ることが出来たと思ったんだけど、先制したのはスペイン。
ゴールから25mはあろうとかという距離からゴールネットに突き刺した、
フェルミン・ロペスのシュートは見事だったけど、
失点の起点は三戸のポストプレー失敗からだったことを考えると、
そもそも小兵の三戸にポストプレーをさせることになった攻め方がマズかったかなと。
先制を許した日本は、その後も積極的にスペイン陣内に進入するも、
アタッキングサードまでは入れるものの、
前半33分になってようやく三戸がチーム初シュートを放つなど、
なかなかシュートを打つところまで辿り着けず。
スペインに上手く守られている時間が長く続く中、
藤田の縦パスを受けた細谷がクバルシを背負いながら強引に反転してシュートを放つという、
これぞストライカーの真骨頂と言うべきプレーでスコアを振り出しに戻す!
・・・と、思ったら、藤田の縦パスを受けた時点で、
細谷のつま先がわずかにクバルシの前に出ていたとして、
オフサイドの判定になってしまい同点ゴールは幻に。
その後も細谷は果敢にスペインのゴールに迫るも、
山田のFKを合わせたヘディングシュートがポストに阻まれてしまうなど、
またしてもツキに見放されてしまい、1点ビハインドでハーフタイムを迎えることになった。
終わってみれば完敗
後半の早い時間帯に同点に追いつきたい日本は、
山田に代えて藤尾を投入し、藤尾は山田が入っていた右ウイングにそのまま入る形に。
パラグアイ戦ではカウンターでなんどもチャンスを作り出していた藤尾の右サイドだけど、
この日はあまり機能せず、逆にスペインに押し込まれる展開に。
何度も枠を捉えるスペインのシュートをことごとく小久保が防ぎ、
なんとか1点ビハインドで試合を進めていたけど、後半28分についに瓦解。
スペインのCKの場面で、ペナルティエリア外にいたフェルミン・ロペスにパスを送ると、
フェルミン・ロペスの胸トラップからのハーフボレーが日本のゴールネットに突き刺さり、
日本としては痛恨の2失点目を献上することに。
先制点に続きフェルミン・ロペスにゴラッソを見舞われてしまったわけだけど、
フェルミン・ロペスの近くにいた藤田を他の選手がブロックすることで、
フェルミン・ロペスにシュートを打つ時間を与えるという、
敵ながらよくデザインされたセットプレーだったと思う。
2点ビハインドになった日本は、三戸に代えて植中、山本に代えて荒木と、
立て続けに交代のカードを切るも、過密日程による疲労と暑さからか、
プレーの精度が落ちはじめ、狙い通りに攻撃のギアが上がらない。
そんな状況でスペインにCKを与えてしまうと、
ニアを狙ったキックは大畑の頭に当たってフリックしたように後ろへ飛んでしまうと、
ファーにいた佐藤恵允がこれをクリア出来ずにアベル・ルイスに押し込まれ、万事休す。
1点ビハインドの時間帯に何度かあった同点のチャンスをモノに出来なかったことが、
結果的に3-0という完敗に繋がってしまったかなと。
グループステージの内容が完璧に近かったのでメダルを期待していたけど、
スペインがグループCを2位で通過してきたことがアンラッキーと言わざるを得なかったね。
この悔しさが血となり肉となる
斯くして日本の56年ぶりのメダル獲得への夢は潰えてしまった。
藤田や小久保など、試合後に大粒の涙を流す選手たちもいたけど、
彼らのサッカー人生は別にここで終わるわけじゃない。
東京オリンピックでメダルを獲得出来ずに失意を味わった選手の多くが、
ヨーロッパのクラブで主力を張っているように、
この敗戦をこれからどう生かしていくかが重要だと思う。
2年後に控えている北米開催のワールドカップのピッチに、
今回のパリオリンピックに出場した選手たちが何人立っているか、
今から楽しみでならないね。
日本0ー3スペイン
’11 フェルミン・ロペス
’73 フェルミン・ロペス
’86 アベル・ルイス