【パリオリンピック グループD3節 イスラエルvs日本】グループDを抜けた先にあったのはピラミッドではなく・・・

照準は8月2日の準々決勝

パリオリンピックのグループD2戦でマリに勝利し、
決勝トーナメント進出を決めた我らが若き日本代表は、
戦いの舞台をボルドーからナントへ移し、イスラエルとのグループD最終戦に臨んだ。

このナントのスタジアムは、日本が初出場した1998年のフランスワールドカップで、
クロアチアと対戦したスタジアムなのだとか。

26年前に1試合を残して決勝トーナメント進出の可能性が断たれてしまった場所で、
既に決勝トーナメント進出を決めた日本が消化試合を戦うなんて時の移ろいを感じるけども、
過去に感傷的になるよりも今の日本が照準を合わせなければいけないのは、
8月2日にリヨンで行われる準々決勝。

まだ決勝トーナメント進出の可能性を残しているイスラエルには悪いけど、
決勝トーナメントでの戦いに備えて上手く選手をやりくりして戦いたいところだ。

試合の流れを持ってきたのはこの日も”国防ブライアン”のセーブから

疲労だけでなくケガやカードの累積にも気をつけて戦いたい一戦で、
大岩監督が選んだスタメン11人は以下の通り。

先日のマリ戦から6人を変更。

代えが効かないんじゃないかと思われていた藤田の代わりに山本がアンカーに入ったけど、
ガンバで山本がアンカーでプレーしているところはあまり見た事がなかったので、
どんなプレーを見せてくれるのかといったところ。

前半まず主導権を握ったのはイスラエル。

アフターチャージも辞さないインテンシティの高さで試合に入ってきて、
カウンターから何度か日本のゴールに迫る場面を作り出していた。

この試合の解説を担当していた中田浩二が指摘していたように、
イスラエルのFWの選手が中盤に下がってくるところを、
CBがついていくのかボランチに受け渡すのかがはっきりしていなくて、
バイタルエリアを使われてしまっていたね。

ただ、この苦しい時間帯を小久保のファインセーブで凌ぎ切ると、
日本が試合の流れを引き戻す。

ポケットへのランニングからシュートまで持ち込んだり、
セットプレーを獲得するなどチャンスを作り出すも、
いずれもシュートが枠を捉えられず、得点には至らず。

結局、スコアレスでハーフタイムを迎えることになった。

イスラエルの息の根を止めたエースの一撃

後半に臨む日本は、ハーフタイムで山本に代えて植中を投入し、
布陣を4-3-3から植中をトップ下に置いた4-2-3-1に変更。

準々決勝に備えて山本を休ませようという意図は理解出来るんだけど、
この交代で荒木と川﨑がダブルボランチを組むことに。

2列目が主戦場の荒木がボランチでプレー出来るの?と思っていたら、
案の定このコンビが機能せず、
前半終盤に日本に来ていた試合の流れをすっかり手放してしまった。

それでも、後半に入っても小久保のセービングが冴え渡っていたことと、
前半飛ばしすぎたイスラエルが後半はその反動でプレーに精度を欠いていたため、
失点するまでには至らず。

まあ、このまま引き分けで試合を終えられれば御の字かなと思っていたのだけど、
後半34分という時間帯に、川﨑が腰を負傷し藤田と交代になるアクシデント発生。

準々決勝のことを考えると藤田は起用したくないところだったけど、
皮肉にもその藤田が試合終盤の間延びしたピッチで躍動し、試合の流れを再び日本に引き戻す。

後半アディショナルタイムに日本に歓喜の瞬間をもたらしたのも藤田からで、
佐藤恵允のパスを受けた藤田が中央をドリブルで持ち上がり、
右サイドを駆け上がった佐藤恵允へリターンを送ると、
佐藤恵允のグラウンダーのクロスを細谷がサイドネットに叩き込み、ようやく日本が先制。

細谷はここまでゴールこそ無かったけど、
初戦のパラグアイ戦で三戸の先制ゴールをお膳立てしたスクリーンプレーや、
2戦目のマリ戦の山本の決勝ゴールに繋がった右サイドでのドリブル突破など、
チームへの貢献度は高かったのでこのゴールはご褒美みたいなもんだね。

その後は難なく試合をクロージングし、全てクリーンシートでグループステージ3連勝。

藤田を起用することになってしまったのは想定外だったけど、
関根、大畑、斉藤、高井は完全に休養させることが出来たので、
決勝トーナメントに向けて良い準備が出来た試合だったと思う。

無敵艦隊に憧れるのはやめましょう

8月2日に行われる準々決勝の相手はエジプト・・・と、思っていたら、
グループCの最終戦でスペインがエジプトに敗れて2位になったため、
グループD首位の日本はスペインと対戦することに。

スペインと言えば、3年前の東京オリンピックの準決勝で対戦し、
日本のメダル獲得の夢を打ち砕いた相手だし、
先日ドイツで開催されたEUROでも優勝するなど、その強さは疑う余地が無い。

ただ、日本は一昨年のカタールワールドカップでスペインに勝利しているし、
今大会のスペインはエジプトだけでなくウズベキスタンやドミニカ相手にも失点しているので、
決して勝てない相手ではないと思う。

どのみちメダルを獲得するのであればスペインクラスの強豪との対戦は避けられないので、
早い段階でメダルの有力候補を潰しておけると前向きに考えて、
8月2日にリヨンから歓喜が届けられることに期待しましょう。

イスラエル01日本
’90+1 細谷真央