【全国高校サッカー選手権大会 1回戦 前橋育英vs神村学園】あまりにも早く終わりを告げたタイガー軍団の冬

史上稀に見る死の組

少しでも高校サッカーの知識がある人であれば、今大会のトーナメント表を見た時に、
Aブロックに強豪校が固まっていることにすぐ気が付くだろう。

前回大会の覇者である青森山田を筆頭に、2年前の大会の覇者である前橋育英、
今年度のインターハイ準優勝の富山第一、プリンスリーグ中国王者の米子北、
史上最強の初出場校と名高い興国など、錚々たる顔ぶれである。

そんなAブロックに高校サッカーファンの視線が注がれるのは必然の話で、
Aブロックの1回戦、前橋育英と神村学園の試合が行われる浦和駒場スタジアムは、
群馬からのアクセスのよさもあって、1階席スタンドがほぼ満員になるなど、
普段であれば空席が目立つ選手権の1回戦の試合とは思えないほどの盛況ぶりだった。

ボールを持っている方が有利とはいえない試合

前橋育英のスタメンを見た時、同校のエースナンバー14を背負う櫻井と、
群馬県大会の決勝でゴールを挙げた15番熊倉弘達の名前が、
ベンチにも無いことに驚かされたのだけど、
その2人が、僕が座っていた席の1列前の席で観戦していたことにさらに驚いた。

2人の様子を見る限り、どこか悪そうには見えなかったので、
2回戦以降に備えて温存しているのかと思ったんだけど、
後から知った情報で2人ともケガをしていたらしい。

そんな期待の2年生2人が欠場した前橋育英だったけど、前半の早い時間帯から、
後方からのビルドアップを試みる神村学園に対して猛然とプレスをかけ、
神村学園を自陣に押し込むことに成功。

ただこの日の前橋育英は、伝統のボックス型の4-4-2ではなく、
3-4-2-1の布陣を敷いていたため、どことなく後ろが重たい印象が拭えず、
良い形でアタッキングサードに持ち込んでも、
味方の枚数が足りずにシュートまで行けないという場面が何度も目に付いた。

対する神村学園は、守勢に回る時間は長かったものの、
マイボールになった時は手数を掛けずにゴール前へボールを運び、
きっちりとシュートで攻撃を終わらせていた。

前橋育英がボールを支配する時間帯は長かったものの、
得点の匂いは神村学園の方がするという試合だったように思う。

相手を見ない3バック

お互いに決め手を欠き、スコアレスの展開が続く中で、
試合が動くタイミングがあるとすれば、
前橋育英が3バックの1枚を削って前線の選手を投入し、
2トップにした時かなと思っていた。

しかしながら、この試合で山田監督が切ったカードは、
1トップの11番中村に代えて同じポジションの23番我妻を投入した1枚のみで、
最後まで前線の枚数不足は解消されなかった。

山田監督は、CB陣の高さを生かすために、
プリンスリーグ関東でも3バックを試していると言っていたけど、
そもそも神村学園の前線は高さで勝負するタイプじゃないのに、
高さのあるCBを3枚も揃える必要は無かったんじゃないだろうか。

また、4-3-3の布陣を敷く神村学園のウイングをケアするために、
ウイングバックの2番山田と3番並木が長い距離を背走させられる場面が多く、
最後の方では2人とも足を攣ってしまったことが物語るように、
布陣のミスマッチもあったように思う。

結局、決着はPK戦に委ねられ、神村学園に軍配が上がる結果になったけど、
40分ハーフの前後半で勝負を仕掛けるポイントがあったのに、
それをみすみすフイにしてしまったような気がしてならない。

2回戦は明後日の話

こんなに早い段階で前橋育英が大会を去るのはもったいない感じがするけど、

2回戦から青森山田、市立船橋、尚志といった強豪校も続々と登場するので、
彼らがまだまだ今冬を熱く盛り上げてくれることと期待しています。

そんな2回戦は年が明けて1月2日から。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

前橋育英00神村学園
  PK(