【全国高校サッカー選手権埼玉県大会 決勝 西武台vs昌平】ここもワンサイドゲームだったか

かつて王国だった場所

前日に観戦した静岡県予選の決勝が期待外れの内容だったので、
今日は予定を変更して埼玉県予選の決勝を見に埼玉スタジアムへ。

ただ、埼玉の高校はプレミアEASTはおろか、
その下のプリンス関東にすら1校も所属できていないという状況なので、
全国大会に出場したところでどこまで勝ち上がれるかというのは、
底が知れているところもあるのだけどね。

まあ、クラブユースとの兼ね合いもあって強化が難しいのかもしれないけど、
かつては浦和南や市立浦和といった浦和の公立勢や、
武南などが全国の舞台でその名を轟かせていたことを思うと、
今の埼玉県勢の元気の無さには寂寥感を感じる。

市船や流経大柏のような高体連で全国トップクラスのチームと、
柏と千葉のユースが共存する千葉県のようにはならないものかね。

クラック・須藤直輝

今年の高校サッカー選手権の埼玉県予選の決勝で顔を合わせたのは、
夏のインターハイに埼玉県代表として出場した西武台と、
今季の埼玉県リーグ首位で、埼玉県の高校で唯一、
全国で戦える実力があると言ってもいい昌平。

そんな昌平で2年生ながら背番号10を背負い、
さらにはキャプテンの腕章も巻く須藤直輝は、年代別の日本代表にも召集されていて、
埼玉県内に留まらず全国という観点で見ても注目選手。

守備を免除され、フリーマンとしてピッチの至るところに顔を出し、
クライフターンやノールックパスなどのトリッキーな技巧で
攻撃に違いを生み出すプレースタイルは、
なるほど金を払ってみる価値がある選手だと思ったね。

今、磐田に所属している針谷もそうだけど、
昌平はこの手の小柄なテクニシャンの育成に定評があるのだろうか。

そんな須藤擁する昌平に対し西武台も、
幅を取った両サイドから仕掛けるサイドアタックが特徴的な好チームで、
前半の途中まではほぼ互角と言ってもいい試合内容だった。

ミスで切れた緊張の糸

しかし、この手の膠着した試合を動かすのは往々にしてセットプレーだったりする。

CKからCBの西澤がゴールを決めて昌平が先制に成功したわけだけど、
この得点の際に見られた、相手のGKの周りに選手を集めて、
キッカーがボールを蹴る直前にペナルティエリアにバラけさせるCKは、
西野朗時代のガンバでもよく見られたメソッドだったので懐かしい気持ちになったね。

西武台としてみれば、1点ビハインドは背負ったものの、
そこまでの戦い方は決して悪いものでは無かったので、
今までのプレーを続けていれば同点に追いつけるんじゃないかと思っていた。

しかしながら後半10分に、須藤が放ったシュートを、
GKが正面のコースに入っていたにも関わらず後ろにこぼしてしまい、
昌平と西武台の差は2点に。

残り30分で2点ビハインドであれば追いつけない点差ではないのだけど、
どことなくこの失点で西武台の選手たちの気持ちが切れてしまったように見えたね。

西武台の応援団は試合終盤まで声が出ていてチームを鼓舞していただけに、
ピッチ内の選手たちのプレーには残念だなと思ってしまった。

首都圏代表の責務

その後はオウンゴールもあり、
完璧な崩しからフランクフルトの鎌田大地の弟である鎌田大夢にもゴールが生まれ、
終わってみれば4-0で昌平の圧勝。

前半で試合の大勢が決まってしまった前日の静岡県予選に比べれば、
まだ見応えのある試合だったけど、
結局ワンサイドの大味な試合になってしまったのが残念だったね。

今回の埼玉県予選は、昌平と正智深谷と武南が、
トーナメント表で同じ右上の山に入ってしまったのに対し、
西武台は比較的楽な山に入ったことで、
決勝のカードが実力の見合った高校同士の対戦にならなかったのも、
今回の決勝で大差がついた要因の一つじゃないだろうか。

まあ、なにはともあれ全国高校サッカー選手権は首都圏開催なので、
首都圏の高校に頑張ってもらわないと観客動員で盛り上がらないので、
昌平には全国の舞台で1勝でも多く挙げて欲しいと思います。

西武台04昌平
’27 西澤寧晟
’50 須藤直輝
’61 オウンゴール
’68 鎌田大夢