【国際親善試合 日本vsパラグアイ】絶好調男の神通力に助けられただけで課題は山積み

怪我の功名になるか

先月のアメリカ遠征では、来年のワールドカップ開催国のメキシコとアメリカ相手に、
1分1敗と不完全燃焼に終わった日本代表は、
4ヶ月ぶりに国内で行われる代表戦で、パラグアイ代表との試合に臨んだ。

遠藤、三笘、守田と相変わらずケガ人が多いのは気になるけど、
藤田、鈴木淳之介、斉藤といった次世代を担う選手たちや、
移籍問題がこじれてアメリカ遠征のメンバーから外れていた中村敬斗が、
森保監督にどのようなアピールを見せるかが見どころ。

日本代表があまり勝てない印象が強いパナスタだけど、
4ヶ月前のインドネシア戦ではパナスタで6点取って大勝しているので、
この試合でも景気の良い試合をして、
来週に控えるブラジル代表との一戦に向けて弾みをつけたいところだ。

崩さなくてもゴールは奪える

この日で竣工から10年の節目を迎えたパナスタのピッチに、
森保監督が送り込んだスタメン11人は以下の通り。

パナスタ10周年ということで森保監督が珍しく気を遣ってくれたのか、
元ガンバの堂安と中村をスタメン起用。

ウイングタイプの選手をWBに配置する3-4-2-1は、
守りを固めてくるワールドカップのアジア予選用に採用していたのかと思っていたけど、
相手が強豪でも引き続き採用しているあたり、
来年のワールドカップも基本布陣とする想定なんだろうか。

序盤から日本が 両WBを起点にパラグアイゴールに攻め込むも、
最後のところでは仕事をさせてもらえず、
シャドーの堂安と南野も良い形でボールを触らせてもらえない。

それでいて、セットプレーやカウンターで効率良くチャンスを作ってくるあたり、
パラグアイは月日が経って選手が入れ替わっても、
手堅くて抜け目のないチームという伝統は変わらないね。

・・・なんて思っていたら、DFラインの裏にロングフィードを通されると、
アルミロンに見事なトラップからゴールネットを揺らされ、先制点を献上。

受け手と出し手の意図が見事に合ったゴールだったと思うけど、
DFラインは揃っていないし、出し手に全く寄せられてないしで、
このチームを史上最強の日本代表と呼ぶには憚るようなお粗末な失点だったね。

先制点を許した日本だけど、佐野の中央突破から溢れてきたボールに小川が右足を振り抜くと、
GKの手を弾いたボールがそのまま弧を描いてゴールマウスに吸い込まれ、
失点から5分後に日本が同点に追いつく。

日本代表での小川は1トップを務めることが多いので、
ミドルシュートを打つ機会自体が少ないけど、そう言えば桐光学園時代の小川って、
シュートのパンチ力がウリの選手だったことを、この場面を見て久しぶりに思い出したわ。

その後も小川は中村のクロスからヘディングでゴールを狙う場面を作ったものの、
こちらはGKに阻まれゴールとはならず、1-1のタイスコアでハーフタイムを迎えることとなった。

やはりノッている漢は一味違う

お互いに選手交代無く迎えた後半にまず主導権を握ったのは日本。

伊東のショートコーナーから堂安がクロスを上げると、
これに飛び込んだ南野がゴールネットを揺らし、
後半5分に勝ち越し・・・と思ったら、これはオフサイドの判定でゴールならず。

ただ、良い試合の入り方は出来たので、
この調子なら後半に勝ち越すことは可能・・・と思っていたのだけど、
皮肉にも日本が望んでいた勝ち越しゴールを決めたのはパラグアイの方。

カセレスのクロスをニアでディエゴ・ゴメスが頭で合わせると、
このシュートがクロスバーに当たってゴールマウスに吸い込まれ、
後半19分に勝ち越しを許してしまった。

この試合の中村は、攻撃面では出色のパフォーマンスで、
先日のアメリカ遠征のメンバーから外された鬱憤を晴らすことが出来たと思うけど、
この失点の場面でカセレスに対する寄せが甘くなってしまったのは反省材料やね。

再び1点ビハインドとなった日本は、南野と中村に代えて鎌田と斉藤、
さらに堂安と田中に代えて相馬と町野を投入するも、
パラグアイの選手たちよりも先に日本の選手たちの脚が止まってしまい、
さらには代表初キャップの斉藤も気合が入り過ぎて空回るばかりで、一気にチグハグに。

やっぱりパナスタで代表戦をやると良くないな・・・なんて思っていたら、
後半アディショナルタイムに入ろうかという時間帯に投入された上田が、
伊東のクロスから頭でゴールネットを揺らし、土壇場で日本が同点に追いつくことに成功。

今季、オランダのエールディビジで開幕から8戦8発と絶好調の上田だけど、
やはりノッている漢の元にボールが溢れてくるというのは、
サッカーというスポーツでは往々にしてあるものやね。

ただ、上田がゴールを決めた時点で、
アディショナルタイム5分のうち4分が過ぎていたこともあり、
勝ち越しゴールを奪うところまではいけずドロー決着。

先日のアメリカ遠征から2分1敗と、ここのところ勝てていないけど、
来年のワールドカップにチームの調子のピークを持ってくるため、
今はあえて調子を落としているのだと思いたいね。

弱ってもブラジルはブラジル

パラグアイと引き分けた日本は、戦いの舞台を味スタに移し、
カナリア軍団・ブラジル代表との一戦に臨む。

ワールドカップ予選でも苦戦を強いられ、かつての栄光に陰りが見えるブラジルだけど、
日本がパラグアイと引き分けているのと同じ時間帯に行われた試合で、
韓国相手に5-0と圧勝しているので、依然としてアジアの国にとっては高い壁である。

とは言え、日本としてもホームで無様な試合は見せられないので、
パラグアイ戦で出場機会の無かった久保を筆頭に一致団結して、
ブラジルから歴史的初勝利を掴んで欲しいと思います。

日本2パラグアイ
’21 ミゲル・アルミロン
’26 小川航基
’64 ディエゴ・ゴメス
’90+4 上田綺世