【明治安田生命J1リーグ8節 ガンバ大阪vs大分トリニータ】プラン通りではなかっただろうけど勝ち点1は手にした

2020年11月1日

優秀なコーチは優秀な監督でもあった

清水時代、長谷川健太の名参謀と言われていたのにも関わらず、
監督としては、清水をJ2へ、大分をJ3へ降格させた田坂のように、
優秀なコーチは必ずしも優秀な監督とは限らない。

ガンバや広島でコーチを務め、数々のタイトル獲得に貢献してきた片野坂が、
ガンバのヘッドコーチの座を退いてJ3の大分の監督に就任した時、
その手腕が如何ほどのものなのか注目していたのだけど、
ここまでの片野坂の仕事ぶりを見る限り、
優秀なコーチは監督としても優秀であることを証明していると思う。

そして、片野坂がガンバを離れて以降、
ガンバがタイトルから遠ざかっている事実も、
皮肉にも片野坂が指導者として如何に優秀かを証明している。

ガンバの数々のタイトルに貢献した片野坂率いる大分が、
J1で3位と堂々たる戦いを続けていることに関しては喜ばしいことだけど、
直接対決となれば話は別。

3連敗を喫し降格圏を目下にした状況で、
そんなエモーショナルなことは言っていられないからね。

ミラーゲームを仕掛けたわけではない

事前の報道でもあったように、
この試合のガンバは大分と同じシステムである3-4-2-1を採用。

マッチアップする対面の選手をはっきりさせて、1対1の局面を多く作り出し、
ガンバの選手の個の力を生かして優位に試合を進める狙いと見たので、
重心が下がりがちなオジェソクの左WBよりも、
右WBでスタメンに名を連ねていた田中達也を左WBに回して、
右WBに小野瀬か米倉を使った方がいいんじゃないかと思っていた。

ところが蓋を開けてみれば、前線から追い込むこともせず、前線に渡邊千真を1人残し、
自陣で5-4のブロックを敷いて大分の攻撃を待ち構える作戦だった。

いくらなんでもホームで消極的すぎやしないかと思ったのだけど、
今季、ホームで全敗している状況を受けて、背に腹は代えられないと思ったのかね。

まあ、宮本監督なりに色々と考えた末の決断だったのだろうけど、
こんな起用法を続けていたら米倉が夏に移籍してしまいそうな気がする。

渡邊千真の負傷と失点で狂ったプラン

ポゼッションを放棄したガンバは、終始、大分にボールを持たれる展開になったけど、
ピンチらしいピンチは無く、大分がボールロストした際には、
効果的にカウンターも繰り出していたので、
狙い通りの形で試合を進めることが出来ていたと思う。

ところが、渡邊千真が大分の選手と交錯した際に足首を痛め、
前半21分という早い時間帯にファンウィジョと交代。

すると、どことなくチームに落ち着きがなくなり4分後に先制点を献上してしまった。

この失点の場面、オナイウのハンドだとガンバの選手たちはアピールしていたけど、
ゴールのバックスタンド側に取り付けられていたカメラの映像だと、
確かにオナイウの胸に当たっていることがわかるので残念ながらハンドじゃない。

まあ、いろんな角度からのカメラの映像でも
胸なのか腕なのかわからないほど一瞬のプレーだったし、
オナイウは両腕を広げて紛らわしい体勢だったので、難しい判定だったと思うけどね。

ただ、わかりにくい角度からのリプレイは何度も流すのに、
ゴールだと確実に分かるリプレイを1回しか流さなかったDAZNの中継には疑問だけど。

戦況を読み違えた片野坂

1点ビハインドのガンバは、後半から田中達也に代えてアデミウソンを投入し、
システムを3-4-2-1から4-2-3-1へ変更。

この交代が功を奏し、後半は前半と一転、
ガンバが主導権を握って試合を進める展開になった。

これを受けて片野坂が下した決断は、
シャドーの小塚を1列下げた3ボランチへの布陣変更だったのだけど、
これで大分の重心が更に後ろに下がって、却ってガンバが攻勢を強めることになった。

その結果、試合を振り出しに戻す同点ゴールが生まれたので、
片野坂の采配に助けられた格好になったね。

また、ガンバの同点ゴールは遠藤だったのだけど、
これで22シーズン連続の得点なのだとか。

今後、誰にも破られない偉業だと思うので、
オウンゴールにしか見えないっていう水を差すような事は言わないことにしておく。

次節こそ今季3勝目を

連敗を3でストップし、今季、ホームで初の勝ち点を獲得したとは言え、
後半、試合の主導権を握っている時間帯にもう1点取れることもできたと思うので、
この勝ち点1は最低限の結果だと思う。

依然、15位と降格圏を目下にした状況にあるガンバにとって、
次節の対戦相手である仙台は、数少ないガンバより順位が下のチームとの対戦。

6ポインターズと言っても良いカードだけど、
こういう相手に舐めたプレーをして足元をすくわれるのがガンバの悪癖なので、
ミッドウィークのリーグ杯も含めて、良い準備をして杜の都に乗り込んで欲しいね。

ガンバ大阪11大分トリニータ
’25 オナイウ阿道
’71 遠藤保仁