【全国高校サッカー選手権大会 準決勝 尚志vs神村学園】勝敗を分けたボール半個分の世界

歴史を塗り替えるのはどちらか?

12月28日に開幕した104回目の高校サッカー選手権も、
準決勝の2試合と決勝の計3試合を残すのみ。

そんな準決勝の第1試合に組まれたのは、
現・東京ヴェルディの染野を擁した97回大会以来のベスト4進出を果たした尚志と、
今年度のインターハイを制した神村学園の一戦。

過去最高成績がベスト4の両校の対戦とあって、
この試合に勝って歴史を塗り替え、優勝旗を獲得する挑戦権を手にしたいところだ。

尚志の神村対策がハマったかのように見えた前半

準々決勝から準決勝まで中5日空いたことで、
両校とも動きが良く、インテンシティの高い試合の立ち上がり。

試合の入りはどちらかと言えば神村の方が良いように見えたのだけど、
その試合の序盤で先制したのは尚志。

DFラインから右サイドの奥のスペースに出たロングフィードは、
ゴールラインを割るかと思われたけど、
9番根木が懸命に走って追いつきクロスを上げると11番岡が頭で合わせ、
前半5分で尚志が先制。

神村のDFリーダー・5番中野の前に走り込んだ岡の動きは見事だったけど、
ロングフィードが出た際に、セルフジャッジして走るスピードを緩めてしまった、
8番荒木のプレーはいただけなかったね。

先制を許した神村は、14番福島と15番岡本の個人技を以って、
尚志のディフェンスをこじ開けようと試みるも、
4-3-3の布陣で中央を固めてきた尚志の前に潰されるばかり。

これまでの尚志って、4-4-2の基本布陣は変えずに、
戦い方を変える時は選手を変えるという印象が強かったけど、
今大会では2回戦の神戸弘陵戦のように、試合の中でも布陣を柔軟に変更していて、
仲村浩二監督の采配は、就任28年目を経てなお進化している印象を受けたね。

ならばとサイドに展開してクロスを上げるも、
前線に小兵ばかりの神村では有効な攻撃とはならなかった。

神村の前線の選手で唯一身長180cm以上ある9番倉中は、
尚志の長身CB・4番松澤に封じられてしまい、
4得点を挙げた準決勝のように仕事をさせてもらえずといった具合で、
神村はボールを握るもなかなかチャンスを作り出すことが出来なかった。

一方の尚志は、神村の選手を自陣に引き込んでからのロングカウンターがハマり、
守勢に見える尚志の方が多くのチャンスを作っているという試合展開だったけど、
シュートがポストに阻まれるという不運もあり、追加点を奪うまでには至らず。

結局、試合は尚志の1点リードで折り返すことになった。

奏功したエース外しのアプローチ

前半と同様に、神村がボールを握り、
尚志はカウンターでチャンスをうかがうという展開が続く後半。

そんな試合の流れが変わったのは、
後半13分に倉中を13番日髙と交代させた神村の有村監督の采配だったと思う。

今大会ここまで得点ランキングトップに立つストライカーを交代させるのは、
勇気がある決断だったと思うけど、前線に高さのある選手がいなくなったことで、
却って「地上戦でこじ開ける」という戦い方が明確になったように思う。

この交代により、アタッキングサードに進入するだけでなく、
シュートまで行けるようになった神村。

それでも尚志は上手く守っていたのだけど、個の能力が高い神村に一発を食らってしまう。

荒木がアーリークロス気味に低空のクロスを上げると、
中央で日髙が合わせ、後半28分に神村がスコアを振り出しに戻すことに成功。

前半の失点に絡んだプレーを帳消しにするような荒木のクロスだったけど、
攻撃面だけ見ると守備の不安に目を瞑ってでも起用したくなる選手なんだよな。

尚志としては、神村が目を覚ます前に追加点を奪って、試合を決めておきたかったね。

1点返したことでイケイケになった神村は、その後も尚志のゴールに迫るも、
尚志の守備陣が粘り強く守り切り、後半終了の笛。

勝敗の行方はPK戦に委ねられることになった。

成人の日の午後に笑うのは赤か黄色か

尚志の1人目のキッカーと、神村の2人目のキッカーのシュートがセーブされた時、
両校ともGKが当たっているように見えたので、早期決着の予感があったのだけど、
その予感に反して、その後はどんどんキックの精度が上がる両校の選手たち。

コースの左右だけでなく、敢えてクロスバーのキワを狙うようなキックを蹴る選手もいて、
PKはプロより高校生の方が上手いと言われているのも、
あながち間違っていないんじゃないかと思うような攻防が続く。

そんなPK戦は、尚志のキャプテン・背番号3西村のシュートがクロスバーに弾かれ、
10人目にしてようやく決着。

PK戦で勝敗がついた後のピッチで見られる、
歓喜する勝者と悲嘆に暮れる敗者のコントラストは何度見ても残酷だなと思う。

第2試合では試合終了間際のゴールで流経大柏を降した鹿島学園が勝ち名乗りを上げ、
1月12日に行われる決勝戦のカードは、
神村学園vs鹿島学園というどちらが勝っても初優勝というカードに。

神村学園がインターハイと選手権の夏冬2冠を達成するのか、
鹿島アントラーズのJ1制覇、水戸ホーリーホックのJ2制覇に続き、
選手権も茨城県代表の鹿島学園が制するのか。

チケットが前売り段階で完売となった国立で、手に汗握るファイナルを期待したいね。

尚志11神村学園
 PK()
’5 岡大輝
’73 日髙元