【UEFAチャンピオンズリーグ決勝 トッテナム・ホットスパーvsリヴァプール】あまりにも呆気なく決着がついた最高峰の戦い

アップセットはほどほどに

ワールドカップ後のシーズンのチャンピオンズリーグは波乱が多いと言うのは、
往々にして言われることとは言え、
トッテナムvsリヴァプールという決勝のカードを予想できた人なんているのだろうか。

ただ、それは両チームにファイナルに進むだけの力が無いと言っているわけでは無い。

リヴァプールは昨季のチャンピオンズリーグのファイナリストだし、
トッテナムは新スタジアム建設に伴う財政上の影響で、
昨夏と昨冬に選手を獲得出来なかったけど、
もともと実力のある選手を揃えたチームだ。

じゃあ、何がそんなに波乱だったのかと言うと、両チームの勝ち上がり方。

準決勝1st leg終了時点では、誰もがアヤックスとバルセロナが、
ワンダメトロポリターノで相対するファイナルを予想しただろう。

2018−19シーズンのチャンピオンズリーグ決勝は、
波乱ずくめのシーズンを象徴するようなワクワクドキドキな展開を期待していたのだけど、
そんな僕の期待とは裏腹にまさかの凡戦になってしまった。

試合開始早々に動いた勝負の潮目

この手の大きな大会の決勝って、両チームとも試合の入り方が慎重になって、
膠着した時間が長く続く印象があるのだけど、そんな慣習に反していきなり試合が動いた。

キックオフの笛から30秒足らず、
ペナルティエリア内からマネが上げたクロスがシソコの手に当たると、
これがハンドの判定となりリヴァプールがPKを獲得。

これをサラーがきっちりと決め、リヴァプールが先制に成功した。

サラーは、昨季のチャンピオンズリーグ決勝で、
セルヒオ・ラモスに腕を決められて負傷退場した苦い過去があるので、
このゴールには喜びも一入だろうね。

2人の世界最高

1点リードしたリヴァプールは、ポゼッションを放棄しカウンターに専念。

対するトッテナムは、孫興民やデレ・アリの個人技からリヴァプールのゴールに迫るも、
世界最高のDFと名高いファンダイクに行く手を遮られ、
ポゼッション率の高さほどチャンスは作り出せず。

それにしてもファンダイクという選手はすごすぎる。

高さと速さを兼ね揃えているだけでなく、
判断力やフィードの精度も高いなんて、もはやチート級。

全盛期のネスタを初めて見た時も相当な衝撃を受けたけど、
ファンダイクに関してはそれ以上かもしれない。

しかも、そのファンダイクの壁を破ったところで、次に待ち構えているのが、
アトレティコのオブラクと並んで、世界最高のGKと称されるアリソンなんだから、
攻撃の選手にしてみれば絶望しかないだろう。

こうやって考えると、なんでリヴァプールがリーグ優勝出来なかったのか、
不思議でしょうがないね。

ビッグイヤーは14年ぶりにマージーサイドへ

試合の流れを変えたいトッテナムは、
準決勝2nd legでハットトリックを達成したルーカス・モウラを投入するも、
赤い壁を攻略することは出来ず。

反対に、フィルミーノとの交代でピッチに投入されたオリギが、
後半42分に2点目となるゴールを挙げ、勝負あり。

リヴァプールが14年ぶり6回目の欧州制覇を果たしました。

そうか、前半で3点ビハインドを背負いながらも後半で同点に追いつき、
PK戦の末に勝利した、”イスタンブールの奇跡”からもう14年も経つのか。

ヘディングシュートで1点を返し、「俺たちはまだ諦めていない」とばかりに、
スタンドのファンを鼓舞するジェラードの姿は、今でも鮮明に思い出せる。

ここ数年、イングランド勢の凋落が顕著だったチャンピオンズリーグだけど、
今回、トッテナムとリヴァプールというイングランド勢同士の決勝が実現したことで、
またイングランド勢が盛り返してくるきっかけになりそうだね。

個人的には、イタリア勢の復権にも期待しているのだけども、
まだちょっと厳しいかな〜。

トッテナム・ホットスパー0−2リヴァプール
’2 モハメド・サラー
’87 ディボック・オリギ