【明治安田J1リーグ21節 ガンバ大阪vs町田ゼルビア】再チャレンジする時間はまだ十分に残されている

青黒同士の首位攻防戦

スコアレスドローに終わったアウェイ鹿島戦から中3日、我らがガンバ大阪は、
黒田監督を筆頭にヒールムーブが板に付いてきた首位・FC町田ゼルビアをホームに迎えた。

2月の開幕節でこの2チームが対戦した時点で、
6月に首位攻防戦というシチュエーションで再戦することを予想出来た人は、
果たしてどれぐらいいただろうか。

それぐらいのサプライズとなっている2024シーズンの両チームだけど、
一悶着あった天皇杯の筑波大学戦で多くのケガ人を出してしまった影響からか、
町田のここ2試合は連続でスコアレスドローと得点力に陰りが見ているので、
リーグ最少失点を誇るガンバの守備力であればクリーンシートで試合を終えられるだろう。

この試合に勝ってリーグテーブルの一番上に浮上できるかどうかは、
4位神戸と2位鹿島の直接対決の結果次第になるけど、
宇佐美を筆頭とした攻撃陣の奮起があれば望んでいる結果を得られるはずだ。

挑戦者が自らハンデを背負ってどうする

高いインテインシティのゲームになることが予想される一戦に、
ポヤトスが選んだガンバのスタメン11人は以下の通り。

前線は坂本に代わってジェバリがCFに入り、宇佐美がトップ下という、
守備の強度は多少下がっても得点を奪いたいという意図が見える組み合わせ。

そして、理由はなぜだかわからないけど福岡がベンチにも入らず、
CBのコンビは中谷と今季ここまで出場時間1分の江川という組み合わせになったね。
(もし福岡がしばらく戻ってこれないとかなら今夏のCBの補強は必須だな・・・)

試合が始まって最初に印象に残ったプレーが、平河とマッチアップした半田を、
どこからともなく現れた林がブロックして平河のドリブル突破をアシストするという、
色んな意味で町田らしいプレーだったということが、
この波乱に満ちた試合の幕開けを予感させていたように思う。

ただ、前半の町田は、2月の対戦時に見られたような強度の高い守備は見られず、
ウェルトンが高い位置で前を向いてボールを受ける回数が多く、
97番の突破が何度かガンバにチャンスをもたらしていた。

すると、前半9分という早い時間帯に訪れたガンバの歓喜の瞬間もウェルトンから。

中谷のロングフィードを左サイドで受けたウェルトンがシンプルに宇佐美に落とすと、
宇佐美からのリターンを受けて角度の無いところからゴールネットを揺らし、ガンバが先制。

谷はニアを締めながらクロスもケアしていたと思うけど、
肝心の股下を空けてしまうあたりまだまだ修行が足らんな。

先制後もガンバが主導権を握って試合を進めていたので、
これは前半のうちに追加点を奪うことも出来そうだなと思っていたら、
既に心はパリ五輪に行ってしまっていたのか、
半田が31分、33分と連続でイエローカードを貰って退場になってしまい、
前半のうちに数的不利になってしまった。

カウンターで抜け出そうとした平河を倒した1枚目のイエローは仕方ないにしても、
2枚目のイエローは無理して止める場面ではなかったし、
結果的にこの軽率なプレーが試合を壊してしまうことになってしまっただけに、
半田には猛省を促したいね。

10人になったガンバは山下に代えて松田を投入して4-4-1の布陣に変更。

岡部主審が試合をコントロールできずに両軍ヒートアップする中で、
なんとかハーフタイムまで持ちこたえたかったけど、
前半アディショナルタイムに町田の代名詞であるロングスローの流れから、
ミッチェル・デュークに押し込まれ、スコアを振り出しに戻されてしまった。

まあ、まだ勝敗は決まったわけではないとは言え、
9日間で3試合目という過密日程で、首位の町田相手に10人で試合の3分の2を戦うのは、
厳しいミッションだなと思わざるを得なかったね。

最後までファイティングポーズは取るも力尽く

ハーフタイムで選手交代を行わず、宇佐美とウェルトンのサイドを入れ替えただけのポヤトス。

対する黒田監督は、ガンバに退場者が出ているということもあってか、
町田にも帳尻合わせの退場者が出る可能性を考慮して、
イエローを1枚貰っていた荒木を交代させるあたり、さすが抜かりないなと思ったね。

数的不利なので押し込まれる時間帯が長くなるのは想定通りだったけど、
マイボールになった時に中谷が最終ラインから攻撃参加するなど、
リスクを冒しながら勝ち越し点を狙いに行くガンバ。

しかしながら、ドレシェヴィッチのくさびのパスをデュークが藤尾に落としたところに、
江川とダワンが遅れてアプローチしたプレーがファウルを取られてしまい、PKを献上。

ロングスローと並んで町田の代名詞となっているPK時のボールの水かけは、
中谷がさせまいとボールを取り上げていたけど、
そんな中谷の抵抗も虚しく藤尾にPKを決められてしまい、町田に勝ち越しを許してしまった。

1点リードされたガンバは、選手交代でファン・アラーノと坂本を準備するも、
なかなか試合の流れが切れずにピッチには入れないでいると、
2月に対戦した時にイエローカード2枚で退場した仙頭にゴールを決められてしまう。

2点ビハインドという厳しい状況で投入されたアラーノと坂本だったけど、
2人はなんとか町田のゴールをこじ開けようと最後まで戦っていたと思う。

それに引きかえ、坂本と交代でベンチに下がったジェバリは、
1人少ないにも関わらず前からの守備を怠る場面があったので、
前半に10人になった時にベンチに下げるべきだったのは、
山下じゃなくてジェバリだったんじゃないだろうか。

最後まで町田のゴールを目指したガンバだったけど、結局追加点は奪えず終戦。

数的同数だったら勝機は十分にあっただけにもったいない試合だったけど、
町田も2月の開幕戦について同じことを思っているかもしれないので、おあいこか。

幸い、シーズンはまだ半分近く残されているので、
もう一度ネジを巻き直して優勝争いに再度チャレンジしたいところだ。

昨季の二の轍は踏まない

4月の鹿島戦以来、約2ヶ月ぶりの敗戦を喫したガンバの次の試合は、
横浜F・マリノスとのホームゲーム。

例年であれば「厳しい相手だなぁ」と思うところだけど、何やらあちらさんは、
決勝まで行ってACLのタイトルを逃して以降あまり上手くいっていないようで・・・。

そうは言ってもタレントは揃っているし、
既にサポーターからの求心力を無くしているように見えるキューウェルが、
機能していないアンカーシステムをやめてダブルボランチに変更してきたら、
苦しい戦いを強いられることは必至だろう。

ただホームで待ち受けるガンバとしても、ここでズルズル行ってしまうと、
終盤に急失速した昨季から何も学んでいないことになるので、
昨年からの成長を証明するためにもホームでトリコロールを降し、
7月戦線を勝利から始めたいところだ。

ガンバ大阪1ー3町田ゼルビア
’9 ウェルトン
’45+2 ミッチェル・デューク
’61 藤尾翔太
’69 仙頭啓矢