【全国高校サッカー選手権大会 3回戦 國學院久我山vs昌平】駒場のピッチでぶつかった両校の信念

死の組の戦いもベスト16

先月の30日に開幕した高校サッカー選手権も、もう3回戦。

見ている方は毎日試合があるので楽しいのだけど、高校生の大会とは言え、
やっぱり二日連続の試合はやめた方がいいよなとは常々思っているところ。

そんなAブロックの3回戦の試合が行われた浦和駒場スタジアムは、
地元・埼玉の昌平高校が登場することもあって、
普段は解放しない2階席を解放するほど大勢の観客が詰めかけていた。

年末年始という開催時期もあり、
例年であれば、決勝戦以外は閑古鳥が鳴いている高校サッカー選手権の会場だけど、
僕が今大会で訪れた試合会場はどこも盛況だったことからも、
このAブロックに対する注目度の高さを裏付けているように思う。

技と技の戦い

この試合の第一試合で対戦した國學院久我山と昌平は、
ショートパス重視の久我山とドリブルを織り交ぜる昌平という違いこそあれ、
どちらもテクニックをベースとしたチーム同士。

そんな両者の対戦は、「相手の嫌がることをする」というよりは、
「どちらが自分の得意分野で相手を上回るか」という争いを繰り広げていた。

昌平の中盤がコンパクトなのにも関わらず、あえてそのスペースが無い中盤で、
ワンタッチ、ツータッチでショートパスを繋ごうとする久我山からは、
清水監督の信念が感じられたね。

対する昌平は、世代を代表するクラックである10番須藤を始め、
個の能力に長ける選手が多いこともあり、少ないタッチ数でパスを繋ぐと言うよりは、
ドリブルでマークを剥がしたり、引き付けたりしながらパスを繋いでゴールに迫っていた。

この試合を見ていた人であれば、「もっと長いボールを使えばいいのに」という、
至極真っ当な意見が頭に浮かんだことだろう。

実際、僕もそのうちの1人なんだけど、
そんな意見はピッチに立っている彼らにとってはくだらないことだったのだろうな。

両校のプライドを懸けた技と技の鍔迫り合いは非常に見応えのあるものだったと思う。

サヨナラゴールは突然に

そんな両者の攻防は昌平が押し気味に試合を進めていたけど、
これは単純な実力差というよりは、
両者のコンディションの差が影響しているように思えた。

今大会前に関東プリンス昇格プレーオフを戦っていたのは同じだけど、
選手権は2回戦から登場の昌平に対し、1回戦から戦っている久我山の選手は、
開幕戦の前原戦の時と比べると動きが重いように感じられた。

しかしながら、それでも久我山が失点せずに試合を進めることが出来ていたのは、
GKの17番村上の活躍が大きかったと思う。

2回戦の専大北上戦のPK戦勝利の立役者になった2年生は、
セービングだけでなく、ロングフィードに最終ラインでのビルドアップにと、
この日も八面六臂の活躍でチームを牽引していたね。

PK戦に持ち込めばまたこのGKが活躍するんじゃないかと思っていたのだけど、
後半アディショナルタイムに途中出場の昌平の1年生・13番篠田が、
弾丸ミドルで久我山側のゴールネットを揺らしタイムアップ。

昌平は篠田の他にも、6番柴、14番小川、11番小見など、
2年生、1年生に面白い選手が多いので、来年度以降も楽しみなチームやね。
(先述の須藤も2年生だし。)

残念ながらベスト16で終戦になってしまったけど、
過密日程の中、素晴らしい戦いを続けていた久我山には拍手を送りたいね。

まだ武蔵小杉の街を歩きたくないというのもある

明後日はいよいよベスト8。

1試合ぐらいAブロック以外の試合も見ておこうかなと思っていたけど、
市船も尚志も敗退してしまったので、結局、1月5日は等々力に行くことになりそう。

そんな等々力で昌平が対戦する相手は、この日の第二試合で、
インターハイ準優勝の富山第一を、4−1で難なく退けた青森山田。

富山第一のように、失点しないようなセーフティな戦い方を昌平がするとは思えないので、
4失点以上の大量失点の可能性も十分に考えられるけど、
埼玉の県北の技巧派集団が絶対王者を一泡吹かせることが出来るのかが見ものやね。

國學院久我山01昌平
’80+2 篠田大輝