【全国高校サッカー選手権大会 開幕戦 駒沢大高vs那覇西】 生かせなかったホームの利

2018年12月31日

冬の風物詩

12月になると、「年末年始は実家に帰るの?」と訊かれることが多い。

僕は、「高校サッカー選手権があるので帰りません」と答えるのだけど、
その回答に対し、「好きだねぇ」と
半分呆れたように返されるまでがいつものパターンである。

とは言え、今でこそ年末年始はスタジアムで過ごすのが慣習となっているものの、
大阪に住んでいた頃はそこまで選手権に対して深い思い入れは無かった。

しかし、ピッチで戦う選手たちだけでなく、ベンチに座っている選手や、
ベンチ入りすら叶わずスタンドで応援する選手、そして選手たちの親族や友人たち。

そういった色々な要素が絡んだ物語に年々魅せられていった。

また、僕自身にスポーツに打ち込んだ青春時代というものが無いので、
そういう物語に関われる彼らに対する羨望も、
この大会が僕を惹きつける一つの要素になっている。

風上を制する者が試合を制す?!

開会式の後は東京都代表が開幕戦を行うというのがこの大会の特徴である。

この大会では東京都B代表の駒沢大高が沖縄県代表の那覇西を、
駒沢大高のホームと呼んでもいい、駒沢陸上競技場に迎えた。

このスタジアムは、メインスタンドから見て左から右へ、
いつも強い風が吹いているのが特徴であり、
往々にして風上に立つチームが試合の主導権を握る傾向にある。

この試合でも例に違わず、前半は駒沢大高、後半は那覇西が試合の主導権を握った。

選手個々の能力で言えば駒沢大高が勝っていただけに、
彼らが主導権を握った前半のうちに試合を決められなかったのが後々響いた形になった。

美味しいところを全て持って行った那覇西GK新垣

両校とも1点ずつを取り合った試合は、前後半80分で決着がつかず、
PK戦にもつれ込むことになった。

先攻の駒沢大高は1人目の斎藤主将が枠を外し、
いきなりビハインドを背負う形になったことに対し、
後攻の那覇西は、1人目と2人目は確実に決めたものの、
この試合で終始気合が空回りしていた比嘉が枠を外してしまう。

その後は両校譲らず後続のキッカーが落ち着いてシュートを決め続け、
勝負の行方は11人目のゴールキーパー対決に持ち込まれた。

ここで真価を発揮したのは那覇西のGKの新垣。

駒沢大高のGKの宮崎のシュートをストップすると、
那覇西の11人目のキッカーとして試合を決めるシュートも決めてみせた。

新垣は後半に訪れた絶体絶命のピンチもビッグセーブで凌いでおり、
文句無しでこの試合のマンオブザマッチと呼べるほどの活躍だったね。

1回戦負けがお馴染みの光景だった沖縄県勢。

5年ぶりにその壁を破った那覇西がどこまで勝ち進めるのか見モノやね。

熱い冬が始まる

過密すぎる大会日程など問題が呈されることも多い選手権だけど、
この大会はいつもサッカーを見る喜びを僕に与えてくれる。

今大会はどんな物語を見ることが出来るのか、
ページをめくる手には既に大きな期待が込められている。

駒沢大高11那覇西
  PK(10)

’36 原田大渡
’56 宮國永遠