【明治安田生命J1リーグ17節 北海道コンサドーレ札幌vsガンバ大阪】またしてもチームを救った渡邉千真

2020年11月1日

北海道の空が見えると力が半減します

ホームで最下位の湘南に敗れた前節から中5日、
今節のガンバの対戦相手は北海道コンサドーレ札幌。

3日前にアウェイで鳥栖と試合している札幌よりも、
コンディション面でガンバが有利なのは火を見るよりも明らかなので、
3試合ぶりの勝ち点3を積み上げたいところ。

ただ、ここ最近のガンバは良い戦いが出来ているとは言い難いのに、
相性の良い札幌ドームではなく、相性の悪い厚別での試合ということで、
どうしても試合前からネガティブになってしまうけども。

適材適所の妙

今季、ここまで頑なに3バックを貫いてきた宮本監督が、
厚別のピッチに送り出した11人が敷いていた布陣は4−4−2。

昨年の秋、しばらく4バックで戦っていたのに、札幌戦で3バックに戻したことがあったけど、
その理由を訊かれた際に、宮本監督は、
「札幌は3バックなのでこちらも3バックにした」と語っていたので、
札幌対策で布陣変更したと言うよりは、
ここ最近3バックで上手くいってないから4バックに変えたという感じだろうか。

そんな布陣変更の恩恵を一番受けたのは左SBで起用された藤春だろう。

先日のFC東京戦でバックパスを掻っ攫われた残像が残っているのか、
いつもなら簡単にバックパスをするところを、
前方に大きく蹴っ飛ばす場面が多かったのが気になったけど、
左MFに”飼い主”の倉田が起用されたことも相まって、
渡邉千真の決勝ゴールに繋がるクロスを上げるなど、この試合では勝利に貢献。

「左MF倉田とのセットで左SB起用」という大前提さえ守れば、藤春はまだまだやれる選手だ。
(逆に言えばこれ以外の起用をしては駄目だ)

大前提を守ればまだまだやれる選手というのは、
後半から途中出場した遠藤保仁に対しても同じことが言えると思う。

この試合でボランチのポジションでスタメン起用されたのは山本だったけど、
山本はボールの扱いは上手いとは思うけど、
戦術眼だったりゲームメイクのところはまだまだ向上の余地がある。

長い時間攻撃が停滞していたのに、
そんな山本を後半29分まで引っ張った判断は腑に落ちないけど、
ピッチに入るや否や試合の流れを変えた背番号7には流石の一言。

また、井手口がシュートを打つと思っていて、
不意に自分に出されたパスに追いつけなかった場面で、
いつもはポーカーフェイスの遠藤が珍しく笑顔を浮かべていたのが印象的だった。

先日の柏戦後に「選手がサッカーを楽しめていない」と語っていただけに、
自分が率先してサッカーを楽しんでいる姿を見せることで、
精神的な面でも試合の流れを変えたかったのかなと思ってしまったね。

背番号33は聖域なのか

お互いに失点の多いチーム同士の試合なので大味な展開になることも予想されたものの、
そんな予想に反してウノゼロという塩試合になってしまったけど、
前半に宇佐美に訪れたドフリーのヘディングシュートのチャンスを決めていれば、
そもそもこんなに塩分濃度が高い試合にはならなかったと思う。

かつての宇佐美は”89分間試合から消えていても1分あれば試合を決められる”選手だったけど、
今の宇佐美は、パスをもらいによく中盤に下がってくるので、
試合から消えている時間帯は少ないのだけど、
その反面、試合を決めることができなくなっている。

ただ、宇佐美の敵陣での怖さが失われたのはここ最近の話ではなくて、
2回目のドイツ移籍のちょっと前くらい、
当時の代表監督だったハリルホジッチに体脂肪率のことを指摘されて、
ダイエットに取り組みはじめたあたりから始まったように思う。

ハリルホジッチは「痩せろ」という意味じゃなくて「筋力をつけろ」という意味で、
体脂肪率のことを指摘したんだと思うけど、ちょうどそのダイエットを始めたあたりから、
宇佐美の最大のストロングポイントである、
コンパクトな足の振りから強烈なシュートを生み出す、速筋が落ちたような感じがするのよね。

そんな宇佐美に代わってこの試合を決めたのは遠藤と同じタイミングで、
ピッチに投入された渡邉千真。

前節の湘南戦では先発出場したものの不完全燃焼に終わったけど、
この試合では、J1通算97点目となる決勝ゴールを決め、
ガンバに3試合ぶりの勝ち点3をもたらした。

二度あることは三度あるなんてよく言ったもので、
渡邉千真のゴールでガンバが勝ち点を獲得するのは、
名古屋戦、清水戦に続き、今季3試合目だけど、
仏の顔も三度までとは言わずに今後もガンバを救うゴールを決め続けて欲しいね。

慣習で勝てるほどサッカーは甘くない

渡邉千真のゴールで勝つには勝ったものの、
収穫はそれだけという内容の薄い試合だった感は否めない。

そんなガンバの次節は、中3日で名古屋との対戦。

名古屋はシーズン序盤こそ、
首位を独走する川崎を追撃する第2集団の筆頭格と目されていたけど、
息切れしたのかここ数試合は失速気味。

名古屋に移籍したオジェソクとの対戦は楽しみではあるけど、
今のガンバにはそんなエモーショナルな再会に浸っている余裕は無い。

勝ったチームはいじらないでお馴染みの宮本監督が、
相手が名古屋とか関係無く、この試合と同じメンバーをピッチに送り出しそうなのが、
なんだか短絡的で辟易としてしまうのだけど、
ホームで勝ち点3を挙げて1つでも順位を上へ上げて欲しいね。

北海道コンサドーレ札幌01ガンバ大阪
’78 渡邉千真