【明治安田生命J1リーグ26節 セレッソ大阪vsガンバ大阪】何度でも言う、「これは大阪ダービーだ」

そこに魂があるかどうか

もう随分と昔のことのように感じられるけど、
新型コロナウイルス感染拡大に伴う約4ヶ月のリーグ中断期間を経て、
観客が誰もいないパナソニックスタジアム吹田で両者が対峙したのは4ヶ月前の話。

冬眠を終えたばかりの熊の動きのような鈍重なテンポで進む試合に、
試合勘が戻っていない体を痛めないように加減してぶつかる球際の競り合い。

大阪ダービーと呼ばれるこのカードには、重要な何かが欠落していた。

セレッソにホームで敗戦を喫したあの日から4ヶ月後のヤンマースタジアム長居。

ピッチの上で繰り広げられていたのは、
目まぐるしく入れ替わる攻撃と守備、そして火花が出るような球際の競り合い。

スタジアムに響いていたのはチャントではなく手拍子とハリセンの音だけだったけど、
この試合は紛れもなく我々が知っている大阪ダービーだった。

両者一歩も引かないとはこのこと

ピンクの根城に乗り込んだ青黒戦士たちの布陣は、
3日前の札幌戦から渡邉千真とパトリックが入れ替わっただけで、
残りの10人は前節と同じ顔ぶれ。

対するセレッソも浦和戦からの変更は瀬古と藤田だけだったけど、
前節の試合を9月に消化していたため、前の試合から中9日ということもあってか、
コンディション面での利を利用して前半からガンバ陣に攻め込んできた。

この試合ではガンバの左サイドの倉田、福田と、
セレッソの右サイドの坂元と松田がマッチアップする場面が多く、
特に福田と坂元の鍔迫り合いは、
両者が交代する試合の最終盤まで非常に見応えのあるものだったね。

そんな中、どちらかと言うとセレッソ優勢で試合が進んでいたけど、
最初に試合を動かしたのは劣勢だったガンバ。

小野瀬のクロスをファーサイドでパトリックが胸トラップで上手く収めて折り返すと、
セレッソの選手に当たってコースが変わったボールを井手口が蹴り込んでGET。

井手口は前節に続いて2試合連続得点だけど、
チャンスになる見込みが少なそうなクロスの場面なのに、
あれだけ深い位置までボランチが走り込んでいるあたりに、この背番号15のすごさを感じるね。

先制すると今季負けなしのガンバだけど、
すぐさま試合を振り出しに戻されてしまったのはいただけなかった。

あまりピンクの選手を褒めるのは癪に障るけど、木本のシュートが、
クロスバーに当たって跳ね返ったところに詰めていた豊川のポジショニングもまた、
先ほどの井手口のシュートと同様に嗅覚を感じるプレーだったね。

何のための5つの交代枠か

前半終了間際に、セレッソは藤田、ガンバは宇佐美が決定的なチャンスを迎えるも、
お互いに決めきることが出来ず、試合は後半へ。

後半も前半に引き続きセレッソが優勢に試合を進める展開。

両者のコンディションの差を考えると、ガンバが先に動きたいところだったけど、
キムヨングォンが負傷したため意図しない交代カードを使うことになってしまった。

キムヨングォンの代わりにピッチに投入されたのは、
厚別での札幌戦で負傷して戦線離脱していた我らがキャプテン・三浦弦太なので、
プレー面でキムヨングォンに比べて見劣りすることはないのだけども、
常に誰か1人が故障していて、CBが全員揃わないのはなんでなんだろうか。

そんなガンバが次に交代カードを切ったのは、後半35分の話。

小野瀬と福田に代えて矢島と藤春を投入するという交代だったけど、
このタイミングで交代させるべきは宇佐美だったんじゃないだろうか。

最終的には後半44分に渡邉千真との交代でピッチを退くのだけど、
先述の通り、前半終了間際の決定機を逃しただけでなく、
後半の早い時間帯から足が止まって、前線からの守備の強度も落ちていたので、
もっと早い段階で見切りをつけるべきだった。

まあ、宇佐美の前線からの守備にはもともとそんなに期待してないけど、
大阪ダービーという試合の価値を一番理解しているはずの選手が、
この日のピッチで見せていた闘志に欠けるプレーは残念なものだったと言わざるを得ないね。

これはダービーだけどあれはダービーではない

一般論で言えば、前の試合から中2日で2位の我々が、
前の試合から中9日で4位のチームとのアウェイゲームで勝ち点1を分け合ったことは、
悪くない結果である。

ただ、何回も繰り返すようだけど、この試合は大阪ダービーである。

いくら日程面で相手が有利だったと言っても、
時が経てば2020年シーズンは我々がセレッソに勝てなかったという事実しか残らない。

この事実を真摯に受け止め、2021年シーズンでは本当の大阪が我々青黒であることを、
ピンクの連中に思い知らせてほしいと思う。

次節はベガルタ仙台とのホームゲームだけど、
その前にACLの日程の関係で前倒しになった32節の神戸とのホームゲームが組まれている。

おそらく、神戸は”神阪ダービー”と称して我々との試合に臨んでくるだろうけど、
そもそも我々は神戸との試合はダービーだと思っていない。

ダービーごっこにお付き合いするのではなく、2021年シーズンのACL出場権獲得、
そして今季の天皇杯出場権が得られる2位を目指して、神戸から勝ち点3を挙げるまでだ。

セレッソ大阪11ガンバ大阪
’32 井手口陽介
’34 豊川雄太