【明治安田生命J1リーグ34節 ガンバ大阪vsヴィッセル神戸】来季はいちサポーターとなった藤春に良い報せが出来るように

負けるのは覚悟の上

前節、広島相手に見るも無残な敗戦を喫しながらも、
湘南が横浜FCを破ったことで辛くもJ1残留を決めた我らがガンバ大阪。

そんなガンバが2023年シーズンの最後の試合で相対するは、
前節、ホームで名古屋グランパスを破り、
クラブ史上初のシャーレを獲得したヴィッセル神戸。

今シーズン最後のホームゲームを勝利で飾って2023年シーズンを良い形で締めくくりたいけど、
6連敗中と深刻な不振に喘ぐチームに、
リーグチャンピオンに勝てというミッションを課すのはあまりに酷だろう。

ただ、退団が決まっている功労者の藤春を、可能な限り良い雰囲気で送り出すためにも、
無様な試合だけはしないで欲しいと願うばかりだ。

残留争いから解放されて動きが良くなった?

この試合で神戸の優勝が決まる可能性があったからなのか、
チケットが完売になった最終節のパナスタのピッチに送り出された青黒の11人は以下の通り。

試合前日の報道にもあったように、負傷の東口に代わりゴールマウスを守るのは石川。

また、選手の並びに関しても、スポナビなどでは4-3-3で表記していたけど、
倉田が高い位置を取って神戸の最終ラインにプレッシャーを掛けたり、
ダワンが山本に近い位置でプレーする時間帯が長かったので、
4-3-3と言うよりは4-2-3-1だったのかなと思う。

広島戦では前半の早い時間帯に立て続けに失点して、早々に戦意喪失したガンバだったけど、
この試合では、初瀬のFKに飛び込んだ大迫に対し、
半田が果敢にヘディングでのブロックを試みて流血するなど、
試合前と試合後でユニフォームの色が変わらなかった広島戦とは打って変わって、
序盤から気持ちのこもったプレーが見られる。

その後も、基本的に神戸のペースで試合が進むも、
半田の右サイドからのクロスに宇佐美がヘディングで合わせるなど、
この日はやられっぱなしではないようだった。

まあ、神戸の選手たちにしてみたら、先週優勝が決まって、
この試合に懸けるモチベーションが難しかったというのもあったと思うけど、
それを差し引いてもガンバの選手たちはいつもより戦えていたので、
こんな試合が出来るんだったらなぜもうちょっと早く出来ないんだろう?と思ってしまった。

ただ、その後もジェバリの折り返しに合わせた倉田のシュートが、
山川のブロックに遭って枠から外れてしまうあたりは、
さすが3ヶ月半も流れの中からの得点が無いチームと言ったところか。

さらに、前半終了間際には、
藤春同様、こちらも今季限りでの退団が決まっているクォン・ギョンウォンが、
大迫との接触で首を負傷し、福岡と交代に。

まあ、稼働率の悪いクォン・ギョンウォンらしいラストマッチだなと思ったけど、
昨年のアウェイ戦での福田と言い、この試合での半田と言い、
大迫はガンバの選手を何人ケガさせれば気が済むんだろうか。

今オフは解体的出直しを

お互いにハーフタイムでの選手交代無く迎えた後半は、
開始早々に扇原がふくらはぎの裏を痛めて山口蛍と交代になるも、
さすがは今季のJ1を制しただけあって、この程度のことでは動じない。

CBのマテウス・トゥーレルのドリブルでの持ち上がりに対し、
ガンバの選手が複数人で奪いに行くも、左サイドのジェアン・パトリッキに繋がれてしまう。

パトリッキは、ゴール前にポジションを取った大迫にクロスを送ったんだろうけど、
このクロスは手前にいた三浦に当たってゴールマウスに吸い込まれてしまい、
不運な形で神戸に先制点を献上してしまった。

まあ、不運だったとは言え対する神戸は、宇佐美のカットインからのシュートも、
ニアのコースを山川がちゃんと消しているし、
後半アディショナルタイムの山見のシュートも、初瀬がちゃんとシュートコースに入っているし、
神戸の選手たちの方が最後まで体を張る意識が高いのは明らかだったので、
単なる不運で片付けてほしくないところではあるけども。

1点ビハインドになったガンバだったけど、
追撃のために交代カードを切ったのは失点から20分以上経った後半32分ということからも、
ベンチの層の薄さが窺い知れるところ。

ただ、オフサイドでノーゴールになったとは言え、
この試合のガンバの選手で唯一ゴールネットを揺らしたのは、
後半32分から投入された唐山だったので、
ポヤトスはもうちょっと若い選手を信頼してもいいんじゃないだろうか。

さらに、後半40分には藤春と塚元を投入。

塚元も今季限りでの退団が決まっているけど、
故障から復帰後のパフォーマンスは決して悪いものでは無く、
この日も良い動きをしていたと思うので、
もうちょっとチャンスをあげて欲しかったなというのが正直なところだ。

そんな交代選手のパフォーマンスもあってか、
後半アディショナルに怒涛の攻撃を仕掛けたガンバだったけど、
結局最後まで神戸のゴールを割ることが出来ず、2023年シーズンは7連敗フィニッシュ。

夏場には一桁順位も狙えるんじゃないかなんて夢を見たこともあったけど、
終わってみれば、J2に降格した2012シーズンよりも悪い戦績になってしまった。

来季からJ1が20チームになることで、
今季はJ2への降格枠が1つだけだったからJ1に残留出来たけど、
下位3チームが自動降格になる来季もこんな体たらくな試合をしていたら、
最終節を待たずしてJ2降格になっても何らおかしくない。

チームを覆う生温い雰囲気を一掃し、戦える集団として2024年シーズンを迎えられるように、
このオフには選手だけでなくフロントにもハードワークを求めたいね。

さらばレフティーファイター

試合後、ホームゴール裏の前に立った藤春に対して、
レフティーファイターのチャントが送られる。

今季の使われ方や、来季から法政大学の今野が加入することを考えると、
今季限りで退団になるだろうなとは思っていたし、
下手したら引退するんじゃないかとも思っていた。

ただ、今季ここまでのリーグ戦で唯一の出場となっていた、
アウェイの川崎戦でのプレーを見る限り、まだまだ体はキレていたので、
退団して現役続行という道を選んだみたいだね。

思えば、あれは忘れもしない12年前のアウェイの福岡戦。

緊張して前日から寝られなかった背番号15の左サイドバックは、
前半からミスを連発し、ハーフタイムでお腹が痛くなって途中交代。

まさかあの時は、こんなに長くガンバでプレーする選手になるとは思わなかった。

昨季契約満了になったパトリック同様、一芸特化型で、
色々出来るというタイプの選手ではなかったけど、その誰よりも優れた一芸と、
倉田との左サイドでのコンビネーションに多くのファンが魅了されたし、僕もその1人だった。

チャンピオンシップ浦和戦のあわやオウンゴールからのカウンター発動での右足フィニッシュや、
アウェイの大阪ダービーでの「なぜそこに藤春?!」というゴールなど、
記憶に残るゴールも多かったしね。

来季は何色のユニフォームを着てプレーするのかは知らないけど、
どのチームでプレーしていてもそのチームの左サイドを見れば、
タッチライン際を駆け上がっていく藤春の姿があるだろう。

ありがとう藤春廣輝、また会う日まで。

ガンバ大阪01ヴィッセル神戸
’56 ジェアン・パトリッキ