【明治安田生命J3リーグ25節 FC今治vsガンバ大阪U-23】負傷者と退場者によって狂った歯車

2020年11月4日

岡田武史のクラブ

トップチームの大阪ダービーがある日に
U-23の試合を見に今治に来るような物好きなんてあまりいないだろうと思っていたのだけど、
予想に反してありがとうサービス夢スタジアムのアウェイ席は大盛況。

自分もその物好きの中の一人なのに、
ガンバって人気があるんだなぁなんて他人事にように思ってしまったね。

また、今治は今季がJ3初年度なので、当然ながらこのスタジアムには初めて来たのだけど、
陸上トラックが無いサッカー専用スタジアムなので当然試合は見やすいし、
質素な造りではあるものの、今治の今のクラブの身の丈に合った規模のキャパシティなので、
スタンドに空席が少なく、とても良い雰囲気のスタジアムだった。

今治は今季がJ3初年度にも関わらず8位と健闘しているので、
順調に行けばJ2で愛媛ダービーが見られるのも近い将来の話かもね。
(今治と入れ違いに愛媛FCがJ3に降格して実現しない可能性も割とありえるけど)

画竜点睛を欠いた前半

前節の福島戦でタビナスがイエローカードを貰い、
累積警告で今節の試合を欠場することになったので、
どういう布陣で臨むのかと思っていたのだけど、GKはイ・ユノ、
當間、松田、山口の3バックに、中盤は右から村上、奥野、芝本、黒川、
中村仁郎と高木のシャドーに1トップ唐山という布陣だった。

3−4−2−1なんてあまり見ない形だなと思っていたのだけど、これが機能し、
小気味良くショートパスを繋いで次々とチャンスを作り出すU-23の選手たち。

これは先制するのも時間の問題だなと思っていたのだけど、
最後の精度を欠き、得点を奪うまでには至らず。

すると、これまで決定機らしい決定機を全くと言っていいほど作り出せていなかった今治に、
一発のカウンターで得点を許し、前半39分に先制されてしまった。

取れる時に取っておかないとこうなりますよ、という、
サッカーでよく言われる言葉のモデルケースのような展開だったね。

さらに3バックの左の山口との連携で再三チャンスを作り出していた黒川が、
前半終了間際に太もも裏を痛めて菅野と交代に。

前半の失点するまでのサッカーを続けていれば、
後半に逆転することも十分可能だと思っていたのだけど、
結果的にこの黒川のケガからチームの歯車が狂い始めたように思う。

狂い始めた歯車は修理出来ず

黒川の故障に伴い、右WBにいた村上を左WBに移し、高木を右WB、
菅野を2シャドーの左に配置したのだけど、これが大誤算。

菅野-村上-山口の左サイドのユニットは高木-黒川-山口のユニットほどの連携は発揮できず、
左サイドからの攻撃が停滞。

さらに、今季の序盤に何度か試したものの全く機能しなかった高木の右WBはこの日も機能せず、
2シャドーの右に入った中村仁郎も含めて試合から消え、両サイドが機能不全に陥ってしまった。
そんな状況でもなんとか失点せずに持ちこたえていたのだけど、
當間に代えて荻野、村上に代えてシン・ウォノを投入し、布陣も4−4−2へ変更した矢先、
芝本がこの日2枚目のイエローカードをもらって退場。

前節の福島戦から中4日のU-23に対し、今治は前節の鹿児島戦から中2日なので、
コンディション面のアドバンテージを活かして後半勝負に出られるかなと思っていたのだけど、
数的不利によってそのアドバンテージは生かせなくなってしまったね。

10人になってからは前半の序盤の攻勢ムードが嘘のように防戦一方になり、
後半31分に追加点を許し、ジ・エンド。

最後に高木を坂本に代えるというカードを切ったものの、
メンバー表の選手の名前を書き変える以上の変化はもたらさなかったね。

エッセンスの異なる指揮者は他にもいる

前節、ほぼ2種登録のメンバーで福島相手に善戦したことを考えると、
今節のU-23の戦いぶりは残念だったと言わざるを得ない。

また、芝本の次節出場停止や黒川の故障離脱というのも痛手だ。

次節の讃岐戦で芝本の代わりに攻撃のタクトを振るうのが誰になるのかはわからないけど、
奥野や菅野あたりの奮起に期待しつつ、
今節の敗戦のショックを振り払うような試合をしてほしいね。

FC今治2−0ガンバ大阪U-23
’39 玉城峻吾
’76 林誠道