【明治安田生命J3リーグ33節 鹿児島ユナイテッドvsガンバ大阪U-23】馬鹿試合だったと笑うか、稚拙な試合だったと悔やむか

フットボーラーと同じようにサポーターもまた旅人である

2020年のJ3も今節を入れて残り2節。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
開幕が4ヶ月近く伸びた時はどうなることかと思っていたけど、
なんとかシーズンを完走出来そうでひとまず安堵している。
(とは言え、第三波と称されるここ数日の感染状況を見る限り、
コロナ前の本来のスタジアムの姿が戻ってくるのは来季も難しそうだけど)

そんなイレギュラーなシーズンということで、
どうせなら自分も例年とは異なるサポーターライフを送ろうと思って、
U-23チームを中心に追いかけた2020年。

勝ち試合はほとんど見ることが出来なかったけど、今治や八戸など、
トップチームを追いかけていたら縁が無いような土地にも訪れることが出来て、
個人的にはとても有意義な時間を過ごすことが出来たと思っている。

今季で活動停止するU-23と共に全国津々浦々を巡った旅も、今節の鹿児島がラスト。

白波スタジアムのバックスタンド越しに見える雄大な桜島の姿は、
今季で活動を停止するU-23チームの最終局面に相応しい背景となっていたけど、
薩摩の地で目にした試合は、悪い意味で一生忘れられないようなものだった。

ようやく報われた背番号20

今節のU-23は、前節の長野戦からトップチーム帯同組が外れ、
GKはイ・ユノ、DFは右から村上、當間、松田、タビナス、
アンカーに荻野を置き、中盤は右から伊勢、菅野、高木、山口、
1トップに坂本の4−1−4−1の布陣を採用。

中村仁郎がベンチにも入っていないのが気になったけど、
もしかしてトップチームに帯同しているのだろうか。

U-23は、前節、J2昇格争いの真っ只中にいる長野相手に苦しい試合を強いられたけど、
今節の対戦相手の鹿児島もまたJ2昇格争いに身を置いている。

タフな試合になることは覚悟していたけど、良い意味で期待は裏切られ、
前線からの積極的なプレスが功を奏し、ショートカウンターから次々とチャンスを作り出すと、
前半16分という比較的早い時間帯に先制点を挙げることに成功。

なんとスコアラーは、今季、これまで無得点だった高木。

本来であればトップチームの戦力としてカウントされていて然るべきところ、
オーバーエージとしてJ3の試合に出場し続けながらも、
ことごとく得点機を逸し続けていることに対し、苦悩していたことは想像に難く無い。

そんな高木の苦悩を知ってか、ゴールの瞬間、ピッチにいる選手たちだけでなく、
ベンチにいる監督、コーチも含めて全員が高木を祝福していた姿に、
思わず感動を覚えてしまった。(ゆりかごダンスは誰に対してのものだったんだろう?)

その後、PKで1点を返されるも、前半の終盤に坂本のゴラッソが飛び出し、
1点リードで前半を折り返すことが出来た。

ピッチ上のリーダーは誰?

前半のうちに勝ち越した勢いそのままに、後半もU-23が開始から主導権を握ると、
後半4分に左サイドを崩して坂本がこの日2点目のゴールをGET。

前々節の沼津戦でPKを決め、J3での初ゴールを決めた坂本だけど、
この試合でも2ゴールを挙げるなど、年代別の代表に招集されたことを契機に、
俄かにパフォーマンスが良くなっている。

この年代の選手はちょっとしたことがきっかけでグンっと成長するものなので、
飛び級でU-18の日本代表にも招集された坂本がどこまで伸びるのか楽しみに見守りたいね。

坂本のゴールから7分後に荻野もJ3での初ゴールを挙げ、3点リードとし、
試合の大勢は決しました。

めでたし、めでたし…、といきたかったところだったのだけど、
ここから悪夢の5連続失点で痛恨の逆転負け。

試合運びが稚拙だったと言えばそれまでだけど、
ここまで相手を勢いづかせる前に出来ることはあったはず。

4−1の状況から牛之濱のゴールで1点を返され、2点差となってから、
追加点を奪いたい前線の選手たちと、これ以上の失点は避けたいDFラインの選手たちで、
戦い方の意思統一が出来ていなかったように思う。

本来であればこういう場面でタビナスにリーダーシップを発揮して欲しかったのだけど、
市丸退団以降、腕につけているそのキャプテンマークはただの飾りなのだろうか。

川崎からのレンタルであるタビナスの来季以降の契約がどうなっているかは知らないけど、
プレーでミスが多いだけでなく、精神的にもチームをリードできないようでは、
来季は川崎にもガンバにも居場所は無いだろうね。

最後は笑って終わりたい

コロナ禍ということもあって、今季サッカー観戦で訪れたスタジアムは、
サポーターが歌うチャントが無く、静かなものだったけど、
この日の試合終盤の白波スタジアムの雰囲気は、興奮の坩堝と表現するに相応しいものだった。

鹿児島の選手たちがボールを持つと歓声が上がり、
ゴールが決まる度にハイタッチが巻き起こる様は、
コロナ前のスタジアムの雰囲気を思い出させてくれたね。
(禁止事項に抵触していることについての議論は別にして)

次節のU-23の対戦相手は、J2昇格の可能性を残している岐阜。

前節の長野、今節の鹿児島に続き、
3試合連続で昇格争いの渦中にいるチームとの対戦になるけど、
こういう相手と対戦することで得られるものは間違いなく多いはず。

苦しい試合を強いられることは想像するに難くないけど、
ガンバ大阪U-23のチームとしてのラストゲームを勝利で飾るべく、粘り強く戦ってほしいね。

鹿児島ユナイテッド64ガンバ大阪U-23
’16 高木大輔
’22 薗田卓馬
’41 坂本一彩
’49 坂本一彩
’56 荻野元伸
’62 牛之濱拓
’78 砂森和也
’84 川森有真
’89 水本勝成
’90+4 酒本憲幸