【明治安田生命J3リーグ32節 ガンバ大阪U-23vs長野パルセイロ】これがJ2昇格争い真っ只中にいるチームの強さ

サッカーを生業とすること

今節のU-23の対戦相手である長野は、
選手全員がプロ契約している珍しいクラブだけど、
J3のクラブに所属してプレーしている選手の中には、
仕事を掛け持ちしながらもサッカーを続けている選手も多い。

そんな選手たちにとって、上位カテゴリーであるJ2に昇格するか否かというのは、
自身の生活が懸かった死活問題である。

まさにそのJ2昇格争いに身を置いている長野の選手たちは、
今節、パナソニックスタジアム吹田にて行われる試合で、
自身の生活を賭してU-23から勝ち点3を挙げようとしてくるだろう。

若い選手たちは得てして、
そのような伸るか反るかの戦いを経験をして成長するものだと思うのだけど、
Jリーグが来季から創設しようとしているU-21のエリートリーグで、
同じ経験は出来るのだろうか。

U-23チームをJ3で戦わせる最大のメリットは、
今節の長野のような相手と戦うことが出来ることだと思うだけに、
U-23チームが今季で活動停止してしまうのはつくづく残念だなと思わざるを得ない。

この試合の分水嶺だった先制点

ホームでの試合であることと、トップチームが今週末に試合が無いことも相まって、
この試合には、普段、トップチームに帯同しているU-23戦士たちが久々に集結し、
GKはオーバーエージの一森、DFは右から奥野、松田、タビナス、黒川、
中盤は右から塚元、伊勢、芝本、川﨑、FWは唐山と高木の4-4-2でスタート。

トップチームでは、福田が累積警告で次節の横浜FC戦は出場停止のため、
このU-23の試合は、福田の代役候補アピールの場でもあったと思うのだけど、
チャンスらしいチャンスは、黒川のサイドチェンジから塚元がシュートを放った場面ぐらいで、
長野の強固な守備組織の攻略の糸口をなかなか掴めなかった。

相手のボールの位置に居合わせて、等間隔の4-4-2の3ラインが、
上下左右に奇麗にスライドしていく長野の守備ブロックは、
大宮や甲府を指揮した三浦俊也監督のサッカーっぽいなという印象を受けたのだけど、
それもそのはずで、長野の横山監督は大宮の下部組織の監督を長く務めていたみたいね。

ただ、長野のチャンスもそれほど多くなく、
お互いにシュートの場面が少ない前半だったのだけど、膠着した状況を打破すべく、
森下監督はFWの高木と右サイドハーフの塚元のポジションを入れ替え。

これが結果的に大誤算で、ポジション変更してそれほど時間も経たないうちに、
右サイドをあっさりと崩されて先制点を献上。

先制するまでの長野は、前からボールを奪いに来る姿勢を見せていたので、
敵陣のスペースを使ってU-23も攻めることが出来ていたのだけど、
1点リードした長野は、自陣で守備ブロックを敷いて待ち構え、カウンター狙いにシフト。

これにより、U-23の選手たちが攻め込むスペースが敵陣に無くなってしまったことが、
その後のU-23の苦しい戦いに拍車を掛けてしまったことを思うと、
この先制点がこの試合の全てだったように思う。

明暗分かれたオーバーエージ

1点を追いかけるU-23は後半頭から高木に代えて中村仁郎を投入。

それにしても高木は一体どこのポジションで起用するのがいいんだろうか。

FWで起用すれば、前線からの守備は頑張ってくれるけど、
今季まだ0得点という数字が本来のFWとしての仕事ぶりを物語っているし、
前半に失点に絡んだ右サイドでの起用は、
今季の序盤戦で失点に絡む場面が多かったせいで、そもそも一回見切りをつけられている。

本来は、U-23じゃなくてトップチームで起用するために山口から獲得した選手なので、
福田欠場時に真っ先に代役候補として名前が挙がらなければダメだと思うのだけど、
オーバーエージとして出場を続けているU-23チームでこの低調なパフォーマンスでは、
来季、Jのカテゴリでプレーできるのか心配になってくるわ。

そんな高木と同様にこの試合にオーバーエージとして出場した一森は、孤軍奮闘。

中村仁郎投入に続き、伊勢に代えて菅野も投入し、前掛かりになるU-23は、
必然的にカウンターを食らう場面も増えたのだけど、
一森が再三の好セーブを見せなければ、あと3、4点は獲られていたように思う。

また、セービングだけでなく、華麗な足技や高精度のキックも健在で、
やはり良いGKだなと再認識させられたね。

そんな一森の頑張りに応えるべく、攻撃陣は1点を挙げたかったところだけど、
期待の唐山、川﨑、塚元の三銃士は最後まで長野のゴールネットを揺らすことが出来ず、
完封負けを喫してしまった。

薩摩の国で粘りを見せろ

トップチームに帯同していた選手たちが、
U-23の試合で違いを見せられなかったことは、残念な気持ちもあるのだけど、
今節対戦した長野は、今季これまでU-23が戦った32試合の中で一番強い相手だったと思う。

長野とJ2昇格を争っているのは、相模原と岐阜だけど、
今節の長野を見ると、来季はJ2で信州ダービーが実現する可能性は濃厚だろうね。

まあ、それはそれとして、次節はアウェイで鹿児島戦。

トップチーム帯同組は鹿児島遠征には帯同しないだろうから、
またユースのメンバー中心のチーム編成になりそうだけど、
先週の沼津戦はそれでも勝利を挙げることが出来たので、タフに戦ってほしいと思うね。

ガンバ大阪U-23 01 長野パルセイロ
’40 三田 尚希